第17話
「水分を補給し、食事を摂取して、体をしっかりと休める。それでようやく次の日の快調が約束されるんだ。この3つを欠かすことはできない」
ケトル内部を満タンの状態にし、再びドアの内側の部屋に戻る零次。ケトルを元の場所に戻し、電源ボタンと思われるスイッチを作動させた。
「スイッチオンと」
グツグツという音を立てながら池水が温められていく。
「~♪」
その様子を踊りながら眺める零次。そして2分程でピッピッピ!という音が室内に鳴り響いた。フタを開け中身の状態を確認する零次。
「ん。確かに熱湯になってるな」
白い湯気が上空へと立ち上り消えていく。
(目視でおよそ70度というところか。少し冷ましてそのまま飲んでしまおう。
ケトルを元の場所へと戻しガサゴソと食料棚の物色を始める零次。
「ん~…どれもこれもインスタント食品ばかりだな。まあこの場合はそっちの方が有難いとも言えるが」
(カップラーメンとか置いてないかな?)
だが零次がどれだけ探そうとも何故かラーメン類だけは置いてはいなかった。
(この休憩所を作ったやつはアホか何かか?ラーメンだけ置いてないとか俺を舐めてやがるだろ…)
「まあ、贅沢を言っても現実は変わらねえか。とりあえず食べられそうなものをリストアップしていこう」
置かれていたインスタント食品の大半は零次には解読不可能な言語でプリントアウトされていた。
「フタの写真だけ見て、とりあえず作れそうなものは…こんなところか」
おそらくはうどんとそばをイメージして作られたであろうカップ食品を零次が手に取る。
「…んん?中には変な粒みたいなものしか入ってないぞ?これどうやって作るんだ?」
食品のフタを開けた零次はシンプルに困惑していた。
(フタの裏側に書かれた絵を見るに…このままお湯を入れればOKってことなのか?)
零次がケトルを手に取り恐る恐るお湯を注いでいく。すると数秒程で麺のようなものがお湯の中で膨れ上がった。
「おお…すげえ。マジでうどんになったぞ」
置かれていた割りばしを手に取り両手を合わせる零次。
「いただきます」
ズルズルと麺を啜り始める零次。
「む…」
うどんとは違うザラザラとした食感に戸惑いつつもこれはこれで悪くはないと零次は思い始める。
(うどんなのに生のパスタを食べているときの感触がする。スープの味は昆布みたいな感じだ)
「ん~……稀に食べるには良いんだが毎日だと飽きが来る味と言ったところか」
文句を言いつつも全てを完食する零次。手早く空になった容器を片付け締めの挨拶を口にする。
「ふいいい…ごちそうさまでした」
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