第13話
「…なるほどな。とりあえず何をするにもこの「コイン」とやらが必要ってわけだ」
零次は大まかにアプリのルールについて把握する事に成功していた。そしてスマートフォンの画面に以下のメッセージが表示される。
<初回サービスで500コインを進呈するわ。感謝しなさい>
「……」
何も言えないという表情の零次。そしてピロン!という音と共に、画面右上に500という数字が追加された。
(知りたい事は色々ある。それはもうたくさんあるが…まずはこのコインについて調べないとマズイな)
貨幣に関する知識は必須級の情報だ。今後零次がどのような行動を取るにせよ絶対に頭に入れて置かなければいけない知識と言えるだろう。
「これか」
零次が迷うことなく「コインについて」という情報に100コインを投入する。
<コインについて>
初めにこの情報を解禁するとはね。良いセンスだと言っておこうかしら。あなたの判断は間違っていないわよ。そんな懸命なあなたに有難い情報を授けてあげる。感謝するといいわよ。コインというのはこのアプリで使用可能な通貨のこと。レートは1コイン=1円。1円=1コイン。簡単でしょ?ともかくこのコインを稼ぐことが成長の近道だと進言しておこうかしら。ちなみにコインは「ミッション」や「課金」で手に入るわよ。デイリーミッションは小まめにチェックしときなさい!
「…ミッション?」
(まさか…俺におつかいをさせるつもりか?)
零次の脳裏に国民的RPGゲームの画面が自然と浮かぶ。
「勘弁してくれよ。あんなことを別世界でもやれってのかぁ?」
零次が画面をタップしミッションメニューへと進む。するとすでにいくつかのミッションがクリア済となっていた。
「お?これは予想外だな」
デイリーミッションメニューには5つのミッションが表示されており、24時間経過で内容が変化するという形式だ。達成したミッションの報酬を一括で受け取り合計金額が画面左上に表示される。
「合計3400コインか。効率的には意外と悪くないかもな」
零次のモチベーションがふつふつと燃え上がっていく。ややハイテンションな状態で零次はアプリの機能のテストを始めた。
「ヘルプに、倉庫に、ショップとかもあるな……なにっ!?」
そこで少しだけ零次の思考が止まる。それはうれしさと期待が限界を超えてしまった事で起きた脳のエラー現象だ。
「ショップだと!?ま…まさか…まさかじゃないよな!?」
零次のボルテージが急上昇する。大慌てでショップ画面を開くと、そこには零次が心から待ち望んでいたある食べ物が販売されていた。
「まじかよ!?カップラーメン売ってるじゃねえか!?」
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