19話 傭兵の会話

傭兵の王、死す


数日前にランクワンの乗艦から挙げられたその報告は瞬く間に銀河中に広まった。

ある者はあり得ないと笑い


ある者は歓喜し


ある者は絶望した。

傭兵達の頂点に君臨するファイヤーワークス。

最初期に登場した第一世代強化人間でありながら、頂点を維持し続けたその戦績は

第二位を大きく引き離していた。


そして傭兵たちが集まるこの酒場もその話で持ちきりだった。


「ファイヤーワークスが落とされた?冗談はよしてくれ」

傭兵が

「本当だって!ランキング変動があったから間違いない。」


「そうか...あいつは死んだか…それで、誰にやられたかの情報はあるのか?」


「噂では例の3番目の個人所有惑星プライベートプラネットを持ってるやつがファイヤーワークスを落としたらしい、まだ無名の新人らしいが最新世代第10世代の強化人間って噂もある。」最新世代の傭兵は10人にも満たない。

居ない理由に手術の額が桁違いというのもあるが、容姿をいじるくらいなら、機体に金をかける者が大多数を占めるからだ。


「第10世代ってあれだろ?容姿も自由に操作できるって噂の。」


「あぁ、その第10世代だ、まさかあんな物に金を出すやつがいるとは...」



「聞こえてるわよ?」

席の後ろから声がする

赤い髪に燃えるような赤い瞳、そしてそのボディースーツという特異な見た目。

【ランキング第6位傭兵ネームアリア 搭乗TS名フラワーガーデン】

それが彼女だった。

「同じ第10世代の悪口を言わないで欲しいわね。」


「ア..鉄杖のアリア」

鉄杖のアリアとは3年前に起こったある星系を手に入れようとする企業間抗争時に

敵企業勢力の半数を単騎で滅ぼした時に企業によって彼女につけられた二つ名のような物である。(アリア本人は気に入っていない)


「その名前…そこまで好きじゃないんだけどな〜」



「「すみません‼︎」」

顔を青くした傭兵の2人はすぐにアリアに向かって頭を下げる。



「わかればよろしい。お前達は無駄死にするんじゃないよ。」


そう言ってアリアはドックへ向かった。敵討ちとは言わないが、ファイヤーワークスを殺した男を見極めるために...

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