16話 帰還
『目標惑星エルトリア、周回軌道に到達、
特徴的な電子音声が船内に響く。
『長距離航行中型武装輸送艦ベンチャー1、大気圏突入開始、地表までおよそ80秒』
ゴゴゴと轟音を響かせ大気圏突入の為に長距離ブースターを切り離し
宇宙船の窓を強化プレートで覆い衝撃に備える。
「強化人間クリス・エンフィールド、脳内管理デバイス起動しました。」
『大気圏突入終了』
『着陸態勢に移行』
『地上に到達、ハッチ開きます」
ハッチが開き1人の強化人間と一体の電子生命体が降りてくる。
『おかえりなさいませ、マスタークリス』
強化人間支援AIの1人であり洋上都市艦の制御を担っているエレンはメイド服姿でクリスと支援AIの先輩であるイリスを出迎える。
「やっと帰って来れた....」
寝起きなのかあくびをしながらパジャマ姿のクリス、腕には茶色い猫のぬいぐるみが装備されている。抱き枕にでもしていたのだろうか?
「エレン、現在の復旧状況は?」
小型浮遊ディスプレイを手に現在の復旧状況を説明するエレン
『現在復旧が97%になっておりますが一部腐食が多く進んでいる箇所があるため、修理するより作り直す方が早いかと思われますが...いかがいたしましょうか?』
「うん、資金は渡すから全面的に作り直しちゃって」
『承知いたしました。すぐに手配いたします。』
端末を操作して作業用AIに指示を伝えるエレン。
「それで...食糧生産はどんな感じかな?」
本命の食料生産事業は新興企業のスペースエンフィールド社(従業員1名)にとって一大事業だった。
「はい。現在効率が良いものを優先的に生産していますが、クローン胚で生産している豚や牛などの家畜は前よりは効率が上がっていますが大量生産が思うように進んでいません。」
「やはり植物とは違う...か...」
植物とは違い生産が大幅に難しい動物類にクリス達は悪戦苦闘していた。
『この際です、生育ポットを使用した生産に切り替えてみては?』
生育ポットは遺伝子を元に急成長させる機械であり安定した生産を確立できるが
その実態は合成食料と変わらなかった。故にまずい
「それだと肉が不味くなるんだよねぇ...」
困ったものだ...
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます