第12話 味
「炒めた
お皿に盛られた回鍋肉と白米が座っていた席に配膳される。
白米は通常つかないが初めてのお客様だからサービスで付けたと店主は使った調理器具を片付けながら話す。
「やっぱり肉料理には白米がないとね」
「これが...
天然食料で作られた料理は初めて見る。
「本当に...この値段で間違いない...のよね...」
天然食材の貴重さを知っているが故に声が震えてしまう。
『はい、この値段であっていますので遠慮せずに召し上がってください』
「ふうん...いただきます。」
疑っているがとりあえず食べてみることにする。
恐る恐る備え付けてあった箸で肉とキャベツをご飯に乗せ頬張る。
瞬間、合成食料とは比べ物にならない程の旨みが老婆を襲う。
ひと噛みする毎に脂に含まれた旨みが溢れ出す。
一口目の感想...それは「美味い」の一言に尽きた
旨みがつまった脂が全体にまわって、きれいな照りに食欲が唆られる。
キャベツはシャッキリと歯ごたえがよく、ピーマンも苦味が抑えられフレッシュ。
これが香ばしい豚肉によく合う。そして豆豉(トウチ)の絶妙な塩味がなんともいいアクセントになっており、これも箸が進む理由になる!!
一口、また一口と口に運んでいく。
「美味い...美味すぎるッ!?」
こんな美味い料理は生まれて初めて食べた、今まで食べてきた料理はなんだったんだと食べながら思ってしまう。それ程までに美味かった。
あまりの美味さに皿の上の回鍋肉が無くなってしまい残ったタレをご飯にかけて食べる。これも美味い。
「そうだろうそうだろう、美味いだろう?」
「これ...本当に1500クレジットでいいのよね?」
「1500クレジットで合ってますよ。ご婦人」
星間クレジット(InterStellar Kredits)が入ったクレジットカードを取り出し
クレジット支払機にかざし支払う。
減ったクレジットの額は...ちゃんと1500クレジット減ってる。
「美味しかったよ。またくる」
「はい。お待ちしております」
1人目のお客が帰ったあと、こちらを見る視線に気がつく
「おや?ドアの向こうにお客さんか」
「おじちゃん!僕にもその
クレジットが入ったカードを手に少年は回鍋肉を注文するとそれを境に次々と注文が入る。
「お兄さんと行ってほしいが...まぁいいか、しっかり食べろ。大盛りにしておくよ。」
「おれにもその
現場作業員の男が注文する。
「僕にも!大盛りで!」
白衣の青年が大盛りで
「あいよ!」
「私にも!」
「あいよ!」
さぁて、忙しくなるぞ!
結局、その日は食材が切れるまで注文が入る程の大盛況だった。
つづく
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