第3話 墜落するもの

『起床時間です、マスタークリス』

強化人間支援AIイリスは自身の主人に起床時間を伝える

「まだ寝たいのに....」

眠気が治らないクリスは特注した人工羽毛で作られた毛布に包まる。

『規則正しい生活の為には時間通り起きることが大切です。マスタークリス』

強化人間手術を受け若返ったクリスにとって起床時間程嫌いなものはなかった。

硬いベットから降りて作業場兼食事場に向かうクリス

「はいはい....起きますよー」


起きてきたクリスを待っていたのは味気ないカロリーバーと

「今日もこの味気ないカロリーバーかぁ」


『我慢してくださいマスタークリス、現在食料に成りそうな植物を探査中ですので...」(回収された植物は合成食料に加工される)


「仕方ない....かこの世の中だからねぇ...」

天然食料なんて企業の上層部や富裕層でも滅多に食べられないくらい貴重な物

観光地でも、家でも、飲食店でも、提供されるものはすべて、合成食料な為だ。

『.....マスタークリス、報告が一件あります」


「ん?なにかな?」



『現在停泊中の地点から西に45キロ地点に人工物と思われる塔のような建造物があります』


「人工物だって?この星には移住者は僕以外誰1人にないはずだろ?」

人工物があったとすればそれは調査員の旧拠点か探索者の仮拠点後か...

あるいは....

『そのはずですが....現在調査中ですので原住民がいる可能性は否めません、すぐに建造物内部を調査する必要があるかと


「塔....いや艦橋か」

三つの塔のような形をしているが拡大してよく見ると恒星間航行用の装備が確認でき

る。





『建造物周辺に到着しました、敵性生命は確認できませんが万が一に備えて強化装備を着用ください』


「うん、そうするよ。」



「あれは....型番と名前....か?」


「型式番号GP-008 都市型惑星入植船グリーンノア...製造場所は....旧日本管区、地球の船か」

珍しい物があるなと思いながらライト片手に艦橋内に入るための扉を探す。

非常用扉くらいあるはずだと思い、探していると小さいがギリギリ入れそうな穴を見つけた。誰かが脱出した跡だろうか?

中に無理やり入ると中は原生生物か何かに荒らされまくっているが電子機器はまだ生きているようだ。


『どうやら、何年も昔に墜落した入植船のようです。端末から船内地図を入手したので表示します。』

「うん、お願い」


『船内ロック解除の為、メモリーを指していただきたいのですが』


「OK、どこに刺せばいい?」

『コアユニットが最適かと』

「ここか」


カチリと言う音と共にメモリーが艦橋コアユニットに嵌まり中に吸い込まれる

10分後キュイーンと音を立てて艦橋コアユニットが再起動する

【都市型惑星入植船グリーンノア、所有者、生死不明....船内の生存者を探査中...生存者一名、クリス・エンフィールドに所有権を譲渡します。ようこそマスターエンフィールド】



『艦内機能を再起動しました。これで船内の全ての扉が開くはずです。』



6枚目の扉の先には数千はあろうかと言う箱に何かの液体入った無数のポット

異様なその光景に


「これは....」

そこはありとあらゆる農業や料理に関しての資料や作物の種子、生物の遺伝子データが保存されている生命保管室ノア

『大戦前の地球の動植物のサンプルデータと種子のようです。』



「まさに現代の...と言うべきか」


ワクワクするねぇ.....


つづく




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