異世界銀河農家 世界のすべての人に食料を

第２話 少年、大地に立つ

星間企業アストレアグループ

数十もの星系を資産に持つ巨大企業同盟（アライアンス）の一つ

本社を星系エルメスに構えエルメス周辺の星系を勢力圏としている。

元々持っていたとされる星系を含めると今までに開拓されてきた星系の約三割を有していた....のだがライバル企業同盟（アライアンス）としてはこのまま開拓権を独占される訳にはいかなかった為に一時的に敵対関係の企業同盟と停戦しアストレアグループの勢力圏に攻勢を始め外部星系の殆どを奪い去った。

これによりアストレアグループは企業同盟（アライアンス）ランク下位に転落したことにより資金繰りが悪化資金確保のために不採算企業を精算し、売れ行きの厳しい商品を削除し人員を削減してきたがまだ足りぬ。もっと資金を集めなければ、そう思ったアストレアグループ上層部は辺境のある惑星を売り出すことにした。

これを売った事を契機にこの企業同盟（アライアンス）を立て直す...と。

惑星エルトリアと名付けられたその緑豊かな惑星はとある個人によって権利が落札され、史上3番目の個人所有惑星（パーソナルプラネット）となった。

そしてこれは惑星エルトリアに降り立った一人の男の物語....

『目標惑星エルトリア、周回軌道に到達、搭乗者（強化人間）の休眠状態を解除します。』

特徴的な電子音声が船内に響く。

『長距離航行小型惑星入植船ヘルメス大気圏突入開始、地表までおよそ60秒』

ゴゴゴと轟音を響かせ大気圏突入の為に長距離ブースターを切り離し

宇宙船の窓を強化プレートで覆い衝撃に備える。

「強化人間※※※※※、脳内管理デバイス起動しました。」

『大気圏突入終了』

『着陸態勢に移行』

『地上に到達、現在惑星内大気収集中.......毒性物質の存在は確認出来ず、人類種の活動に問題無し。周囲に敵性生物の存在は認められず。』

『行ってらっしゃいませ、マスタークリス』

クリス、そう呼ばれた少年は船の気密ロックを解除しエルトリアの大地に立った。

一歩

また一歩と

進む足は震えていた。

「...此処が...エルトリア...此処が僕だけの星」

この自然豊かな星のすべてが自分の所有物であるという事実に震えていた。

今まで人口の大地、人口の空、人口の空気の中で生きてきた少年は自然という物に触れることは無く、自然という物を映像として見る事はあったが旅行に行ける金は無かった為生まれて初めての自然を前に立ち尽くしてしまったのだ。

その、あまりの美しさに魅了されてしまったのだ。

青い空、キラキラと眩い光を放つ澄んだ川、様々な花、草木の葉がカサ...カサ...と動く音。

「あぁ...良い」

「凄く.....良い...」

草の上に寝転がる。

青い空を見ながら今後暮らすことになるこの星の未来を、夢に描いて...

その姿をジッと監視する1人の少女の姿があった。

「.....あれは.....」

つづく