異世界銀河農家 世界のすべての人に食料を

赤ぬこ むぎ猫

第1話 宝くじ当たった、惑星買った

「なんだ...こりゃ...夢じゃないよな」

表示された番号を何度も確認する一人の男

黒髪に赤い眼をした若い男、少年以上青年未満といった容姿をしているが

何かを諦めたような眼をしていた。

「58組 154089...間違いない特等当選だ」


「ははっ、本当に...本当に当選したのか。」

ヴェスバーグループ主催の銀河規模で行われる超特大宝くじ。

その当選番号の発表を男は見ていた。

特等 100兆クレジット(100T)


この宇宙時代でもここまでの金額を手にしたものは指で数えるほども居ないだろう。


ましてやそれを一市民が手に入れたことは全くの異例だった。

殆どは金に物を言わせた富裕層がくじを買い占めて普通の市民が当たることはない

3等までならたまにあるが...何年かに一度あるくらいで基本無いと言っていい。

きっと買い占めたのに当選しなかった富裕層は憤慨している事だろう。

もちろんここまでの金額は毎回最高額を記録するヴェスバー宝くじでも異例であった。

その後ヴェスバーグループに当選した事を連絡した男は即座に自身のクレジット口座に振り込まれた事を確認しその大金にニヤケが止まらない。

何に使おうか...そんな事を考え始める。

「まずは親に送っておくか...今まで育てもらった恩を返すにはちょうどいい」

男は口座から1Bクレジット10億クレジットを親の口座に振り込んだ。

これで親孝行は済んだ事だろう。そう思った男は残った金で何をしようか

考え始める。

普段飲んでいるような工業用アルコールのようなまずい酒ではなく天然物の美味い酒、きらびやかな衣装に身を包んだ美しい女、普段では到底手を出せない程高い天然物の飯など。

考えうる限りの様々な誘惑に目移りする中、ふと窓から見える空中浮遊ディスプレイに映されているとある広告が目に止まった。



「あれは...」


ディスプレイに映されていたのはアストレアグループ所有の開拓惑星の売り出し広告だった。


惑星の値段はおよそ65兆クレジットという企業規模の金額で

100Tクレジットの半分以上使ってしまうが残った35兆クレジットでも男にとっては十分すぎる金額だった。この世界の平均年収は職業にもよるが400万クレジット台であり生涯に稼げる金額は1Bにも満たない。

ましてや惑星開発は危険と隣り合わせ故途中で死亡する者も少なく無い。







「星....買ってみるか」

そう呟いた男の行動は早かった。



そして、男の姿は緑豊かな惑星に向かう、宇宙船にあった。





つづく



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