個人的に、めちゃ面白かったです!
タイトルの通り、主人公の森居林太朗が生源寺治佳との出会いから柔道を通じて成長していく姿を描いた作品。
努力×勝負×成長がテーマの青春柔道小説がテーマの青春柔道小説って感じでしょうか。
物語の軸となるのは、勉強や運動といった「精力善用」。心技体を整えることが個人の成長につながるという考え方で、それが林太朗の自己発見の過程をサポートしています。
途中、生源寺との深い対話や、主人公が経験する葛藤が物語に深みを与えていますし、柔道を軸にしながらも、登場キャラクターたちの感情や背景が丁寧に描かれているため、スポーツ小説の域に留めるのも勿体ない。青春柔道ですね、まさしく。
柔道経験者の逆井先生だからこそ描ける緊迫したリアリティある試合描写に、ちょっと洒落た会話も楽しめます。
個人的に、
「何だそれは。本当にShall we danceするつもりか?」
「Will be大外刈をするつもりだ」
「それじゃCould be大外刈が関の山だろう」
のやり取りが好きでした。
物語の最後、林太朗が努力の成果を実感しながらもまだ完全に安心していないという描写からは、まだ続きがあるのではないかという期待感も◎。
あとは、逆井先生めちゃくちゃ楽しんで書いてるな、っていうのが文面からも伝わってきたので、読んでて楽しくなりました。
書籍としてフルで読みたい作品です!