【10000PV突破!!!】自分と付き合わないなら死ぬと言ったヤンデレな超絶美少女が本当に死んだと思ったら蘇って再び告白してきましたが、それでも付き合うつもりはありません
第25話 世界の命運を背負ってるんですよね
第25話 世界の命運を背負ってるんですよね
あたしの名前は西園寺巫女子。あたしたち西園寺家は代々神職をしている……そして数世代に一人特別な力を得て生まれてくるの。
残念ながらあたしはその力をひいてはいないのだけれど、あたしの従姉のお姉ちゃんが未来視の力を持っていた。もっとも好きな時に好きな瞬間を見えるなんてものではなく、災いをもたらすような恐ろしい未来限定なうえにある時突発的に見えるというだけである。
そんなお姉ちゃんが一月前突然泣きながら呻いた。それはあたしたちが住んでいた区域全部に響き渡るような大声で。
何事かとあたしがお姉ちゃんの元に向かうと、あたしを掴みながらこう言ったの。
「近い未来に大いなる破壊と絶望が訪れる……それは放置していれば世界全体が滅亡されるほどに大きな災い。
八尾神市に行きなさい、そこにいる希望の光を見つけなければ災いを防ぐことはできないでしょう。ってね。あたしはその光が新悟だって思ってる」
新悟はあたしの話を落ち着いた様子で聞いていた。そしてゆっくりと唇を動かす。
「……ちなみにその従姉のお姉さまは他に何か言っていましたか?」
「信じてくれるの!!??あり得ない話だって思わないの?」
「他ならぬ巫女子ちゃんの話ですよ、ホラ話だと一蹴する方が僕にとってはあり得ないことです」
「新悟」
ああ、相変わらず優しいなぁ……いや、あの時よりもっともっと優しくなってる。
「ありがとう。
そうだね、確か災いは『異世界からやってきた愛に飢えた女王と四つの凶星がこの世界にやってくる。災いはその女王がもたらすでしょう』って言ってた」
「………そーなんですねーーー」
何故か新悟は目をぎゅっと閉じた。あたしの話の真偽を考えているのか、それともこれからのことを考えているのか……正直今の大きく成長した新悟の考えは分からない……けれど信頼しているよ、新悟。
~~~~~~~~~~~~
その災い、すっごい心当たりがあります…………って言うかほとんど間違いなく由良江ですよね……完全無欠に由良江の特徴と一致していますよね。四つの凶星って魔王軍四天王のことですよね。デリーさんとかのことですよね。
……由良江がこの星を滅ぼす………ですって???いったいどんな風に滅ぼすのかは分かりませんが、これだけは言えます。
そのトリガーは間違いなく僕でしょう。
「……………………」
まぁ薄々気づいてはいましたよ、あのヤンデレが世界を滅ぼしかねないほどの超能力を得てしまったことからそうなるのではないかと心の隅っこでずっと思ってはいましたよ。
僕の対応如何で由良江がこの世界を滅ぼしてもおかしくはないって……最悪、この星ごと僕と心中するかもしれないって。
確信できました……僕は今世界を背負っているんですね。
「巫女子ちゃん、僕は」
ゾクゥゥゥ!!!!!!!
「なっ!!??」
後ろに何か途轍もなく存在感のあるものを感じて反射的に振り向きました。しかしそこには何にもありません。ただいつも通りの平和な自然があるだけです。
「どうしたの新悟?」
「いえ……何でもありません」
気のせいでしょうか?それとも由良江が何かの超能力を使った?いえ、だとすれば真正面から現れるはずです………
なんでしょう、この不気味な感覚……何かとんでもない絶望が僕の足首を掴みかけているような……
「新悟?大丈夫?疲れてるの?」
「問題ありません……ただ巫女子ちゃん今日のところはいったん解散しましょう。少々考えたいことが色々ありますから」
「そうなの?まぁ色々あったし、世界を一緒に救ってほしいなんて大きなことを言ったんだから整理する時間も必要だよね……分かった。じゃあ」
巫女子ちゃんはスマホを出しました。
「連絡先交換しよう」
「はい」
僕もスマホを出そうとすると急に巫女子ちゃんが僕に抱き着いてきました。何事だと思ったと同時に
パシャッ
「えへへ、再会記念のサプライズ写真撮影大成功。新悟、見て見てあたしたち良い顔してるよ」
「巫女子ちゃん……もう」
楽し気に笑う巫女子ちゃんと間抜けな顔をした僕が写っています。不意打ちで撮ったのに随分と綺麗にとれているのはスマホの性能なのか、それとも巫女子ちゃんの腕がいいのか。
「新悟、また改めて一緒にたくさんの思い出作っていこうね。
そのために……世界を一緒に救って」
「もちろんです」
もちろん世界は救います。由良江を何とかするのは僕の使命ですから。
不意に風に舞った木の葉が巫女子ちゃんの頭に乗りました。それを払うと今度は僕の胸に引っ掛かります。
「あはっ」
「あはは」
なんだかおかしくなって僕たちは一緒に笑いました。
~~~~~~~~~~~~
そして家に帰ると
「あっ、お帰りなさいしんちゃん」
「お帰りなさいませ、新悟さん。少々待ってくださいませ」
まだ帰っていなかったクレアさんがテコテコと愛らしい足取りで僕の元にやってきました。その胸にはエプロンをつけています。
「それで新悟さん、ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも、わ・た・く・し?」
「誰に教わったんですかそれ」
「お兄様です!!!お兄様以外の殿方にこれ一回やってみたかったんですよね。あっ、ご飯の準備もお風呂の準備もちゃんとしてますわよ」
「それはありがとうございます……しかしクレアさん、貴女は由良江の敵じゃないんですか?僕に世話を焼いてもいいんですか?」
キョトンとしました。そしてあっと、何かを思い出したようです。
「そういえばそんな感じのことをお兄様が仰っておられましたね。
ですが、私は鬼畜聖女様のことを敵だとは思っておりません。そもそも私魔王様のことも魔王軍のこともさほど愛着ありませんでしたし、正直私の力に頼る人が多すぎて疲れておりました。この世界に来たのもお兄様がどうしてもと言うのでついてきただけなんです」
四天王の自覚ないですねぇ。いいことですけれど。
「そうなんですか?由良江のことを始末するつもりはないってことですか?」
「もちろんですわ。
私のモットーはいつでもどこでも変わりませんわ。楽しく、優雅に、幸せに暮らす!!だから敵なんて作りたくもないんですの!!だって敵を作るのは面倒ごとしか起こしませんもの。鬼畜聖女様ともあればなおさらですわ。
と言うわけで新悟様」
小さな手を伸ばしてきました。僕はそれを掴みます。
「お友達になってくださいませ」
「はいっ」
手のひらから感じる彼女の気持ちからは邪気は少しも感じられませんでした。
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