【10000PV突破!!!】自分と付き合わないなら死ぬと言ったヤンデレな超絶美少女が本当に死んだと思ったら蘇って再び告白してきましたが、それでも付き合うつもりはありません
第18話 聖女だから攻撃よりも回復の方が得意なのよ
第18話 聖女だから攻撃よりも回復の方が得意なのよ
少し古びたコンクリート造の一室が『光龍探偵事務所』でした。大きな観葉植物と新品のソファーが目を引くこじんまりした場所で、探偵事務所と言うより単なる応接室のように見えます。まぁ個人がしている事務所と言うのはこのくらいが丁度いいのです。あんまり豪華だと見栄を張っているように見えますからね。
「ふーん。ここがにいにの仕事場所なのね。思ったよりちゃんとしてるじゃない、掃除も行き届いているし」
「あっ、僕が掃除したんだ!!」
「伊織が?なんで?」
「あのね、僕と館母さんはね、ここでバイトとして働いているんだ」
乙葉さんが目を真ん丸にします。
「まさかとは思ったけど……いつの間にそんなことしてたの?私何にも聞いてないよ」
「ごめんねお姉ちゃん」
「いや、別に伊織を責めているわけじゃないのよ。ただなんにも聞いてなかったから驚いちゃって……でもなんで探偵事務所でバイトしてるの?」
「だって、探偵ってなんかカッコいいもん」
全面的に同意します。
「それにさ、僕っていつもお姉ちゃんに頼ってばかりでしょ。だから独り立ちできるように色んな事が出来て立派な男の子になれるようになりたかったんだ」
「そうだったの……伊織がちゃんとそう考えたんなら別にいいけど……言って欲しかったな」
「ごめんね。バイト代がでたらお姉ちゃんにサプライズでプレゼントをしようと思って」
「そうだったの!!??」
顔がぱぁっと花開きました。伊織君をそのまま抱きしめます。
「もうっ、あんたって子はなんて可愛いの!!可愛い可愛い可愛い」
「お姉ちゃん抱きしめすぎだよ」
「いいの、そのくらい嬉しいんだから!!!」
「ふーん、館母さんも同じところでバイトしてんのね」
「ええ、私は所長にナンパされてそこから流れでね」
「ナンパ?」
光龍さんに目をやると露骨に目を別の空間に逸らしています。探偵であればもうちょっと泰然としてほしいものですね。
「にいに、あんた10も下の女の子になにやってんのよ」
「いや……だって………大学生くらいかと思ったし…………それにすっごい美人だったし」
「あら、嬉しいわ」
「ふんっ、まぁいいわ。それで二人はラブホに何してたのよ」
「不倫の尾行をしていただけよ。あんなところを歩くからカップルのフリをした方が自然だと思っていただけ。所長はそんな私たちを遠くから見守ってくれていたの。なにせ初めての仕事だったからね。
これで事情は分かってくれたかしら?」
「ええ、分かったわ。にいにが相も変わらずだらしないってこともね」
「うう……別にいいだろ、これでもしっかり生きてんだぜ」
「とか言って実は今もひもでもしてるんじゃないの?あたしと似て顔面だけは良いんだからダメンズ好きな女の子から世話されてそう」
「してないしてない、もうしてないから!!心を入れ替えたんだよ」
光龍さんは大学に通っていた時にギャンブルに明け暮れ、生活費を使いつくし女性に養ってもらっていた過去があるのです。ちなみにこのことが判明したのはヒモ生活が判明してから半年が経ってからのことです。そのせいで由良江の両親は烈火のごとく怒りそれ以来両親とは少々不仲だということです。
「三つ子の魂百までって言うしねぇ、あたしのように劇的にして感動的な愛を知ったならともかく大した変化もなさそうだし」
「うっせぇうっせぇ、お兄ちゃんをもっと信じなさい!!」
「実績がないもの……まぁいいわ。新悟、そろそろ帰りましょう」
「そうですね。それでは光龍さん、僕たちはお暇します。お仕事頑張ってくださいね。暇なときは連絡してくれていいですよ。探偵の仕事は僕も興味がありますので」
「あっそうなの、じゃあタダでいいなら」
「はぁ????あんた新悟をタダで使う気?」
「はっはっは、俺がお前の旦那にそんなことするつもりないじゃないか。じゃあ二人とも愛の巣にかえ……」
何か引っかかったようで顔をしゃくらせました。そして由良江に向き直ります。
「待った、お前らもしかして今同居してんの?」
「してるわ」
「不本意ながらしてます」
「何だとぉぉぉ!!!!まだ高校生の分際でそんな不健全なことをしてんのかお前ら!!許しません、お兄ちゃん許しません「許しなさい」………言ってみたかっただけだよ」
由良江からの有無を言わさぬオーラを発しまくった一言に光龍さんはしゅんとしました。
「ま、許されなくても続けるつもりだけどね。にいにの意見なんて紙切れほどの価値もないもん」
「お前なぁ」
「うふふ、来年には甥か姪を見せてあげるから楽しみにしてなさい」
「見せられませんよ、適当なことを言わないでください」
「見ての通りあたしの魅力に堕ちるのも時間の問題よ」
「どこをどう見たらそうなるんですか?」
「じゃ、そういうことで。久しぶりに会えて嬉しかったわよ。バイバーイ」
「……ったく」
そうして僕と由良江は探偵事務所から出ていきました。
この数十分後、乙葉さんが超絶アピールをして伊織君と同じくアルバイトとして雇われることになるのは今はまだ知らない話です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
帰り道の由良江はいやにご機嫌でした。
「ふふふーん♪」
「どうしたんすか姉さん」
「ん?にいにに結婚宣言もしたからね。着々と外堀が埋まってることにニヤニヤしちゃうわ」
「何が着々とですが、動画で僕を紹介して『こいつと結婚します』とか言いましたし、翠安佐高校に入って初日に放送室を占領して僕に色目を使う奴は許さないとか放送してたじゃないですか」
「姉さん、何してんすか」
「愛を公表してるだけよ。
それににいにが元気にしてるのもちょっとくらいは嬉しかったしね」
そうですね、確か1年くらいは顔会わせてなかったですし懐かしいんですよね。
「それにね、にいにのこと以外にもいいことあったのよね」
「へー、なんすか?」
そんなことを話しているとうちに到着しました。そして玄関を開けます。
「……すいま………せんでし………た」
パタン
「……今なんか変なものが見えた気がしましたけど………なんでしょうか」
「なんかボロボロにされたデリーっぽい奴が磔にされていたようなきがしたっすけど………」
「あはは、気のせいですよね。もしくは僕の扉の開け方がまずかったから並行世界への扉を開いちゃったんですよ」
「なるほど~~~~~旦那さんったらうっかりさんすね~~~」
「いや~~すいません。今度はちゃんと開けますよ」
開けました。
「………もう………歯向かいません…………」
パタン
「由良江、今の光景はもしかして現実ですか?いいことってまさか……捕まえたことが」
「そうよ。あんたらが散歩している間に会長のストーキングしてたのを発見したから軽くボコって捕まえといたのよ。
この前は不覚をとったけど『死の記憶』にさえ気を付ければあんなのミジンコより雑魚だし」
由良江は思いっきり楽しそうに笑いました。
「99パーセント殺して全回復してまた99パーセント殺しを1000回はしたから気分爽快なのよ!!!!」
ドSな鬼畜聖女ここにありですね………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます