異世界から持ってきた面倒ごととヤンデレさん
第11話 風雲急を告げるペット参上
僕の身体を暖かいお湯が包み込み、疲れ切った神経を癒してくれます。異常な愛持ち3人娘に囲まれてとんでもないプレッシャーを感じた身からすればなんともリラックスできます。
「ふぅ……ストーカー対策は明日以降ということになりましたし、今日はゆっくりと羽を伸ばし「新悟!!!勝手に一人で風呂入るなっていつも言ってるでしょぉぉ!!!!」……だと思いましたよ」
生まれたままの姿を一切隠すつもりがない由良江がバスルームにやってきました。
いつ見ても黄金のような輝きを放つ芸術品のような身体です。白い肌に程よい大きさの胸、キュッとしまったくびれに色々と整えたであろう下半身……これが全て僕の為に磨き上げたのだというのですから普通なら垂涎ものというしかないのですが………普通じゃ……尋常じゃないので仕方ないですよね。
「愛する男女が一緒にお風呂に入らなくってどうするって言うのよ」
「愛してませんってば」
「あたしは愛してるんだから良いのよ」
「どういう理屈ですか」
「ほらほら」
由良江は僕の身体を硬直させて、僕の顔を胸で包み込みました。いつ感じても天国のような感触です。
ポフポフポフポフ
不思議ですよね、もう数百回はされてるはずですが飽きると言うことがないのです……僕も男の子なんですよね。いえ、これほどの極楽の感触ならば女性であっても間違いなく快楽に溺れることでしょう。こういうところでも神に愛された美少女なんですよね。
「ちっ、やっぱりたってない」
「嫌ですからね」
それはそれとして絶対にセックスはしませんが。欲情に屈するつもりは皆無なのです。
「それで会長のストーカーのことについてどう思う?」
お風呂では突撃してきた由良江が僕を誘惑してその後普通に会話をするというのが今や恒例となっています。
「そうですね……好きな相手に上手にアプローチできない方がなりやすい、もしくは相手の行動を曲解して粘着質にして陰湿な行為をするというのは聞いたことがあります。なんにせよ歪んだ愛の形ですね。小鳥遊さんを保護するとともにストーカーさんを更生させなければなりません」
「はっ。あたしにとっては信じられないわね。好きな奴に陰湿なアプローチをするだなんて。好きなら好きらしく愛を心にガンガンいけっての」
「貴女が言うと説得力ってものが違いますね」
「ふふふ、全世界をみてもあたしほど積極的かつ適切なアプローチをしかけてる女はいないわよ」
「適切とは言ってませんよ。恐らくですが僕以外の男だったら精神がいかれてます」
「あんただからいいのよ」
「そうっすよ、旦那さん相手だから姉さんもイカレたアプローチをし続けられるんす。にしても初めて見たけれど姉さんが言ってたよりも冴えない顔「何ほざいてんのぉぉぉ!!!」ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
突然現れた翼をもったアルパカと犬を併せて二で割った後にデフォルメしたような小さな動物が由良江の手によって湯船にツッコまれていきました。「ごぼぉ……!!ごぼぼぼ」と息を欲する生に満ち満ちているのに死に近い声が聞こえてきます。
「由良江……お知り合いですか?」
「知り合いって言うか、なんていうか………ほら、あたしってこの前まで異世界にいたでしょ」
「らしいですね」
「gぼbそbりばいbりrjsbrぐいおps!!!!!」
「そこでのあたしのペット的な奴なのよこいつ。もっとも勝手についてきただけなんだけど」
「tgんbにおsbgるいおpくぇbぷいあbfくぃおbgとこぶおgjlbai」
「あの。早く水から上げてあげませんか?死にますよ」
「まぁ新悟が言うなら」
首根っこを掴まれたペットさんがようやく息を吸いました。
「はぁはぁ……相も変わらず姉さんはバイオレンスっすね……ほんま死ぬかと思いましたわ
せっかく姉さんの為に自分もこっちの世界まできたってのに手厳しいことこの上ないですわ」
「へぇ、あたしのためねぇ。でもその前に新悟に自己紹介しなさい」
「ああ、すんません。自分姉さんのペットとして魔王討伐に多大な貢献をしました「何もやってなかったでしょあんた」すんません。
とにかくパカーと申します」
「そうですか。どうも初めましてパカーさん」
「いやまぁ、にしても姉さんがこんなに楽しそう顔して話してるところなんて初めて見たっすよ。敵をいたぶっている時は生き生きとした顔をしてましたけど、真っ当に人間らしい系の楽しい顔もできたんすね」
いたぶってるシーンが容易に想像できますね。
「余計なことを言わないでちょうだい」
またしてもお湯の中にぶち込みました。
「すんませんした…t年tgんをsんgtぽのpbpそぶおp」
「まったく」
「はぁはぁはぁ………それで、本題に入っていいっすか姉さん」
「そうね。あたしにどんなピンチが訪れてるって言うの?」
「実はですね」
パカーさんの顔が一気に真剣なそれになりました。つられて僕も気を引き締めてしまいます……と言うか我ながらこんな珍獣を一瞬で受け入れヤンデレ娘の命の危機とやらが本当のことだとすぐさま判断するようになるとは……自分が思っているより適応力が高いんでしょうかね。
「魔王軍四天王が姉さんたちが暮らしているこの世界にやってきたんすよ」
「四天王が?」
「はい。知っての通り魔王は姉さんの手によって葬られましたが、四天王は激戦の最中逃げていました。そんな四天王がこの世界に来たということが判明したんすよ。自分はそのことを姉さんに伝えるとともに大恩ある姉さんを守るためにこっちにやってきたんです」
「ふーん……なるほどそいつは殊勝なことね。献身的であるともいえるわ」
「でしょう。姉さんは自分たちの救世主っす……でも四天王にとっては魔王を倒し世界征服の野望を砕いた相手……別世界まで追ってくるほどの憎しみを持たれてるんすよ」
「…………分かったわパカー」
「姉さん、また自分と一緒に四天王を倒してこの世界を守りましょうや」
由良江はにこりと笑みを浮かべました。自分の為にわざわざ異世界までやってきてくれたかつてのペットに感動しているのでしょう……由良江にも真っ当な神経が残っていて嬉しい限りです。
数分後
「姉さん!!!!ここあけて!!!あけてくださいよぉぉぉ!!!!!」
悲痛な叫びが窓の向こう側から響いてきました。
「五月蠅いわよ。あたしと新悟の愛の巣にあんたみたいな珍生物置いておけないのよ。ましてやこれからお楽しみのベッドタイムだって言うのに。明日には犬小屋作ってあげるから今日はベランダで寝てなさい」
「そんな!!酷くないっすか姉さん!!!自分は姉さんの為にここまできたんですよ。一日くらい一緒に寝てくれてもいいんじゃないとちゃいますか姉さぁぁん!!!って言うか犬小屋って、今日を耐えても犬小屋ってなんすか姉さん!!!!!」
「五月蠅いわね。四天王がやってきただか魔王がやってきたんだか知らないけどあんな負け犬集団がやってきたとかそんなことどうでもいいのよ。勝手にお節介焼いておいて厚遇を求めるなんて虫がいいんじゃないの」
「いや、だって緊急事態」
「あたしにとっての緊急事態は新悟に関することだけよ。ペットはペットらしく縄に繋がれておきなさい」
「堪忍してください姉さーん!!!!」
…………やっぱり由良江は由良江ですね。でもここまでSを見せてるってことは相当に仲は深いのでしょう。どのような形であったとしても。ふふふ、異世界暮らしもなかなか満喫していたんでしょうね。
その後僕の説得でパカーさんは物置になっている部屋で寝ることになりました。
……にしても魔王軍四天王ですか………一般の人たちに迷惑をかけなければいいのですが。
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