第2話 何でもするって言ったわよね
人の存在はこの広大な宇宙に比べれば砂粒よりも小さなものです。しかし、人の想いはそんな広大な宇宙よりもさらに大きなものであったりします。
きっと先ほど死んだはずの幼馴染に襲われているこの状況もそんな大きな想いに起因しているのでしょう。
ジーッとファスナーが開けられます。すると由良江の顔が疑問で歪みました。
「は?なんで大きくなってないのよ」
「……当たり前です。僕はあらゆる欲を超越する悟りを開いた男……僕は僕が本気で愛した女性以外で肉棒を大きくするつもりはありません」
「…………ちっ、流石に一筋縄じゃ行かないわけね………せっかくあたしみたいな超絶ウルトラスーパーミラクル美少女の初めてをもらえるってんだから黙ってもらっとけばいいのに……まぁいいわ」
由良江は僕を解放し先ほど自分が乗り越えた手すりにもたれかかりました。
「腹立たしいことこの上ないけれど、そんなあんたを好きになった女の義務よ。我慢してあげる」
「ありがとうございます………それで」
「分かってるわよ。なんであたしが生き返ったかってことでしょう。
実はね、あたしさっき転落死した後に異世界に転生したのよ」
「何を言ってるんですか?病院に行きますか?」
「元気ピンピンだから必要ないわよ。
いいから話の腰を折らずに正座でもして聞いてなさい」
「はい」
「言われたからって本当に正座する必要はないんだけど………まぁいいわ。とにかくそこで聖女として世界を救ってあげたのよ」
聖女なんて似合いませんね。
「それで、そこで得た力を使って再び元の世界に東雲由良江として転生しなおしたってわけ。新たな力を携えてね……どうせあんたは信じないだろうから百聞は一見に如かずをしてあげるわ」
「どういうことですか?」
由良江は不敵に微笑み指パッチンをしました。すると僕の身体がぐるりと回り、制服が脱げていきます。
「なっ??」
「私は超能力者になったのよ……これは基本的な力の一つサイコキネシス、まぁあっちでは別の名前で呼ばれてたけど郷に入っては郷に従え、普通にサイコキネシスって呼ばせてもらうわ」
「……どうやら本当のようですね」
僕は下着まで脱がされ、生まれたままの姿になりました。由良江は僕の脱ぎたての服を抱きしめてニヤニヤとします。
「まぁこっちに帰るために相当の力を失ったけど……それでもこの世界を滅ぼすくらいの力は残ってると思うわ。
と、そんなことはどうでもいいか……新悟あたしとセックスができないって言うなら他のことをしてもらいましょうか」
「………何をすればいいんですか?」
「あたしと同棲をしなさい………都合のいいことにあたしもあんたも一人暮らしだから問題ないでしょう」
「なっ??僕たちは年頃の男女ですよ。正気ですか?」
「いたって正気よ。って言うか正気じゃないとこんなこと言えないっての。何でもするんでしょう、そのくらいしてちょうだい。さもないと」
荒々しい力を持っていそうな光が由良江の手に集中しています。
「死ぬわよ。本気だってことは分かってるわよね」
そういうところですよ………もうっ………
「…………分かりました………ただ、その力を悪用しないと誓ってください」
「いいわよ。最初っからあんたを堕とすこと以外に使うつもりはないし。それ以外には必要もないだろうしね。
さて、そうと決まればあたしは色々用意することがあるから一足先にお暇するわよ。あとであたしの家に来なさい。じゃあね」
「えっ、ちょっと待ってください」
僕の声に反応することなく目の前から由良江は消えていきました。これは瞬間移動と言う奴でしょうか………まぁ消えたこと自体は良いんです。
僕の服と一緒に消えなければ。
「………どうしましょう」
肌に直接あたる空気がとても心地よいです。世界は僕の一部、僕は世界の一部、そう言うことを思い知らされるような気分です………清々しい……とても清々しい。
「現実逃避してもどうにもありませんね………」
無になるのです………無に………誰にも気づかれずに帰宅をする…………それしか手はありません。
「いざいかん!!」
そう言った途端、屋上の扉が開き女生徒が現れました。僕のことに気づくや否や目を大きく見開いて顔を真っ赤にさせます。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「違うんですぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕の高校生活、首一枚となりました………
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私の名前は東雲由良江、他にいない唯一無二の美少女にしてつい最近異世界転生から帰ってきた恋する乙女よ。
「るるるるるんっ♪」
今日から新悟と同棲っ、同棲っ♪
「可愛いエプロンつけて、美味しい料理を用意して、ダブルベッドも用意して、ムダ毛の処理も念入りにして、念のためにゴムも用意してっ♪♪」
ついに同棲……長かったわね………あたしが新悟と出会ってからもう10年近くたつのかしら……そして好きになってから約3年………人生の半分以上を過ごしているあたしの愛しい人……
次に死ぬまでもう離さないわよ。
「うふふふふふふふ♪♪♪」
あの頑迷極まりなくて、ダメ人間だった新悟のことをここまで好きになるなんて思わなかったわね……あたしの命を救ってくれて、そしてあたしに第二の人生を生きる活力を与えてくれた誰よりなにより愛しい人。
「絶対にあたしのものにしてあげる♡♡♡♡」
ゲットしたてホヤホヤの服に顔をうずめて決心をした。
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