館の一階 前編

「気を取り直してっと」

俺は再度ここの館内図を見て、エントランスホールから離れた。

「にしても、1階も2階も超広い…。よし、まずは今いる場所から近い部屋に行こう」

俺は一番右端のドアの取手を引き中へと入った。そこには、大きいダイニングテーブルとそれを取り囲む10脚の綺麗な模様の椅子。調理器具や調味料揃いのキッチンに立派な冷蔵庫などの家電製品ががある。

「ここは見た感じ、ダイニングキッチンだな」

俺はふむふむ、と部屋を見渡しながらふと、違和感を覚えた。

「こんなに大きいダイニングテーブルに10脚の椅子…。本当にこんなにいるのか?」

百歩譲って大きいダイニングテーブルとかはまだ分かる。だが10脚の洒落た椅子には妙な違和感を覚えた。

「とりあえず今は他の部屋も見て回ろう」

俺はダイニングキッチンを後にして、その隣の部屋に向かった。

 「ここは…リビングか?」

ふかふかのソファベッドの目の前には木製のテーブル。窓から差し込む光がリビングルーム全体を包み込む。無地の白い壁にはよう分からん女の人の絵が飾られてあった。

「この窓の光から察するに…夢の中での時間帯は朝方ってこと?」

俺は館の外が気になって日差しの差し込む窓に手を掛けた。

「あれ…おかしいなぁ。全然開かないどころかこれどうやって開けるんだ?」

今はどうすることもできないので放置。ふいに上を見上げてみると時計があることに気がついた。

「時計の針は10時4分。いつもなら寝てるな。今は現在進行形で眠りについてるわけだけど」

俺はリビングを後にし、左隣の部屋のドアノブに手をかけ次の部屋へと進んだ。

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