第26話 機械のお話し 機械科3年 林譲治くん

 機械科3年の林譲治である!ちょっと我が高の機械科について説明したい。


 機械科では、機械加工の基礎基本から先端技術のコンピュータを利用した設計・加工(CAD/CAM※1)までの知識と技術を習得するんだ。


 機械技術は、あらゆる産業の基盤だから、その役割はますます重要になっている。また、近年のICT※2を用いた技術の発展により、これらの知識、技術も必要になっている。


 我が校の機械科では、これまでの、機械加工の基礎である旋盤、鋳造、溶接だけでなくICTを用いた2次元・3次元CADやレーザー加工機、※3マシニングセンター、NC旋盤などの先端技術の知識・技術の習得に取り組んでいるんだ。


 普通旋盤作業、フライス盤作業、鋳鉄鋳物鋳造作業、危険物取り扱い者などの資格を取るのが目標である。


 そんな目標を掲げ日々勉強に励む日々だったのが、いきなりの大事件、驚愕の異世界転移だった。


※1CAD/CAM(キャドキャム)は1つのソフトで、図面設計からNCデータ(コンピューターで数値を制御するためのプログラム)を作成するまでの一連の流れをまとめて行える。

※2デジタル化された情報をインターネットなどの通信を利用して伝達する技術の総称

※3マシニングセンタは、自動で切削や研削などの刃を自動交換して自動制御で機械加工を行うNC工作機械


 人はそれぞれである、異世界転移キャッホー派も多いが、1年生の中には親と離れて不安になる子も大勢いる。だって彼等、彼女等は春まで中学生だったんだから。

不安になる者は各学年や大人達にも一定数がいる。


 でもそんな中で中川校長の『共に力を合わせて生き抜こう』は一つの指標になった。(異世界転移キャッホー派は、ほっといてもこの世界を楽しんでいるが…)


 身を守る為に我々は戦った。異世界の敵性生物が襲ってくるからだ。

学校の周りに堀と塀を作り、異世界生物の侵入を防ぐ為に工事を直ぐに始めた。


 でも周りは敵性生物ばかりだ。後でそれ等の生物がゴブリンやホーンラビットだとは異世界小説が好きと言う友人に教えてもらった。


 ステータスとやらもだ。最初の戦闘で戦った者達には皆んな芽生えた。

堀と塀の工事で運動部の弓道部と剣道部の学生を中心に護衛部隊を作った。


 残念ながら柔道部は1、2年生の多くが学校の外を回るランニングに出ていて消息が不明だ。彼等は事件に巻き込まれていないで無事で居る事を祈る。


 獲物を狩るとレベルアップという不可思議な現象が起こり体力等が上がる。

なんか後輩に言わせると『異世界行ってレベルアップ!俺ツエェ〜』って事らしい。


 実際に体育教諭の山本先生と養護教諭の佐々木希先生でレベルアップを果たした各生徒のデータを取って各生徒の身体能力が上がった事を立証した。


 因みにだが私は100mを7秒代で走る。オリンピックで簡単に優勝出来るぞ。

なんてこったい。『俺ツエェ〜』って奴の気持ちが分かったよ。


 弓はやや特殊なので弓道部の面々や先生方の提案でボーガンと言う武器を作った。

クロスボウとも言うらしい。ボーガンは優先的に弓道部から与えられた。


 運動部から中心に配布されて我々の強い味方になったボーガンだった。

接近戦をしなくても敵性生物を屠れるのが一般生徒には受けた。


 私も最初の戦闘では木刀を使ったが、その後には大バール、そして現在では自分で打った愛刀、虎龍閃を使っている。鍛治師という職業を得て打った刀だ。


 機械科3年の林譲治のステータスは以下である。

種族  人族 名前 林譲治

年齢  18歳

レベル 16

職業  鍛治師、錬成師

    剣士 (愛刀虎龍閃)

スキル 九頭龍閃、 覇王乱撃、匠鍛造師、匠研ぎ師

    魔法 火魔法、土魔法


 錬成師が芽生えたのは、学校で作った錬成台で魔力を流して錬成を繰り返したからだ。


 ちょっとここで錬成陣と錬金術陣の違いを解説しよう。ざっくり言うと錬成陣は素材を加工する魔法陣。錬金術陣は素材を抽出する魔法陣の事になるみたいだ。


 そして膨大な魔力を必要とするのが錬金術だ。良く錬金術だと、無から有を作ると言うイメージがあるが、それは違う非効率だ。


 無から有を生み出す、なんて出来ない。空気中からは金は生み出せ無いのだ。

中世、地球の歴史でも無から金を生み出す為に錬金術は発達したが、結果、金は生み出せ無かった。ただその試行錯誤の結果が科学の発展に繋がったのだ。


 だから錬金する種、例えば鉄鉱石から鉄を抽出するのは簡単だ。空気中の大気から魔素や物質を変煥して変換して物を抽出するには膨大な魔力を必要とするのだが。


 錬成陣は主に加工に使うと言ったが、分かり易いのが発酵とかの即成加工だ。


 錬成台、錬金台は魔法陣解析を進める内に錬成台と錬金台が存在する事を知り購入して解析をして複製した物である。


 錬金術師は錬金台が無くとも錬金術を熟せる者。錬成術師は錬成台が無くとも錬成術が熟せる者の事だ。勿論、それぞれの作業台が有れば作業効率は格段に上がる。


 錬金台は錬金術師専用の作業台で錬成台は錬金術師以外が錬成の魔法陣で魔力を込めれば錬成作業が出来る作業台である。


 魔力が有れば錬成術師で無くとも錬成術ができるという事にある。錬金術は適正の無い者が錬金作業台で魔力を込めても発動しない。

 錬金術師とは唯無二の存在なのである、電気分解や溶鉱炉とか無くとも素材を抽出出来るのだから。


 錬金術師が校内に100名を超えた現在は科学と魔法の両方の良いとこ取りを検証している。電気や石炭を使わなくても素材が無理なく抽出出来る様になったのだから


 石油素材は燃料に使わなくなって来たのだ。燃料の代わりは魔石で代用できる。

石油素材には加工物としての無限の可能性が有る。


 

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