第21話 JK冒険者登録に行く
初回講習者の30名は冒険者登録をさせる事を中川校長は決断した。
転移した原因とか、前の世界への帰還方法とかが全然解らない状態で我々年寄りはやがて寿命で死んでいく。
そして後20年も過ぎれば40~50台の者達は守る側から守られる側になるだろう。
その時、学生達は、この危険で暴力的な異世界で現代人として理性ある振る舞いをしなければならない。いや、そうして生きて欲しい!
その前にもこの世界で生徒達が幸せに生き抜く術を見つけなければならない。
情報技術科のホストコンピュータの主記憶装置に記憶された前世のあらゆるデータ。機械科や電気科、素材システム科などの、この世界より何百年も進んだ機械。
そして概念と知識だ。凡ゆる物に対しての圧倒的なアドバンテージがある。
それは、或る意味、危険でもある。
どうやらこの世界には貴族と言う階級が存在するらしい。封建制度など前時代的な遺物だ。この学校の持つ知識と工業力が理解出来れば、どうなる?
攻撃して制圧する?政治的な圧力を掛ける?凡ゆる事に対処しないといけない。
この我が母校の持つ力は、この世界で覇王となる力を秘めているのだから。
既に異世界に来てからレベルアップにより超人的な力を得て暴力的な言動や行動が目立ってきている生徒達がいる。が、
体育会を中心としたレベルのトップグループが諫めている。良い子達だ。
そのトップグループだが、第1陣としての冒険者登録をする事にした。
この異世界での身分証明書を得る為だ、幸いなことに隣りのビアビンゴ村には冒険者ギルドがある。そこで生徒達を冒険者登録をしようと思う。
それとこの土地だ。此処はロマーノフ帝国のキーエロフ辺境伯領の果ての地。
開拓した者が土地の所有者となるような誰の支配の及ばぬ土地だった。
そして学校周辺の開拓を商人のカーク名義にして貰った。
コレで納税義務とかの問題が発生してもカークが全てを処理してくれる。
名義上の雇われ村長ということになる。
魔物の多い大草原と大森林を超えた所に在る大河、その向こうにある大山脈。
その大山脈を越えて隣りの国の神聖サバストロー国へは細い山道が続く。
そんな辺境の大地で我々は生き抜いていかなければならない。
その手始めとして冒険者登録をする。冒険者登録は身元調査も無く、簡単に登録出来るらしいから、付き添いをアルテミスの涙に依頼した。
教諭の付き添いは体育教師の山本太郎氏と養護教諭の佐々木希嬢に頼んだ。
勿論、彼等も登録をしてくる。第1陣の冒険者登録だった。
菅野翠は馬車なんて物に揺られている。隣りには東麗羅も座っている。
香川武志先輩と林譲治先輩に当然の如く麻生律都も乗っている。
彼等はそのままパーティを組んでいる。パーティ名は未だ無い。
荷台には納品をするホーンラビットの角と毛皮、麻袋に入ったゴブリンの耳、それとフォレストウルフの牙と毛皮が積まれている。カークの商会に納めるホーンラビットの乾燥肉(ジャーキー)と腸詰の燻製も積まれている。
表の街道は結構なガタガタ道だがマイスター村謹製の馬車は見事にショックを吸収する。翠は長閑な田舎道だなぁと思いつつも、何も無い所じゃのぉとも思っていた。
ダラダラと続く道と広大な草原しか無く文明の痕跡など何も無く、道が続くのみ。
そんな草原を馬車に乗って行く事、30分程で畑が見えて来た。
ずっと麦畑が続くと畑の先に木の塀が見えてくる。隣り村のビアビンゴ村だ。
門の所に兵士?が2人立っていた。おおっ、小説のまんまじゃんと翠は思う。
門番に止められて身分証はこれから作るとアルテミスのマーガレットさんが説明して身分証が無い場合の1人分の入場料銀貨1枚を人数を渡していた。
我々5名分の銀貨5枚とアルテミスの涙の分の銅貨4枚だ。身分証が有れば銅貨1枚で入れるらしい。
尚、村や街によっては入場料は異なるということだとマーガレットさんは教えてくれた。初めての異世界村で翠はドキドキしたが何の変哲も無い田舎の村だった。
ほんと‼︎ 超田舎なのよね。
カークさんの商会が目新しいぐらいだったよ。先に冒険者ギルドに登録に行く。
剣に盾の看板が架かつているのはお約束通りじゃのう。
何かドキドキするなぁ、異世界小説何かのテンプレで絡まれたりするのかなぁ。
と思っていたら、何も事件は起こらず、絡まれもしない。まぁ11名の団体さんだし
アルテミスの涙もベテラン冒険者らしいので、誰も絡んで来ない。
先ずは先に冒険者登録を済ます。それから納品だ。その方が納品数が貢献値としてカウントされるからだとマーガレットさんが教えてくれた。
カウンターに行って手続きだ。とても綺麗なお姉さんは居なかった。
おっちゃんしか居無いカウンターに向かう。
「アルテミスの、今日は引率かい?」とおっちゃんが言えば、
「そうだよ、この子等の新人登録をして欲しい」とマーガレットさんが答える。
年齢と性別と名前と得意な武技や魔法を書く欄があった。
あまり詳い個人情報を書かなくて、ざっくりしてるのね、と翠は思った。
私達はその羊皮紙に個人情報を羊皮紙にカリカリと記入していく。
異世界チートの異世界言語翻訳という奴だろう、スラスラと書ける。
水晶玉に手をかざすというイベントも起こらず、あっさりしたモノだった。
簡単な規約を読み上げられて登録は直ぐに終わった。
冒険者にはランクがあると言う事だった。
G、F、E、D、C、B、A、Sの8段階でGが1番下っ端だ。党是私達はGだった。
そして納品をするので納品所に向かう、大量に有るからとマーガレットさんが言うと
裏に回れと言われた。表の馬車にはアルテミスの涙のメンバーの弓師のリンダさんと魔法使いのエリスさんが見張り番で残っていた。
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