第17話 お勉強の再開と開発を色々と


 自衛手段を得て食糧品も供給の目処がたった。

それで勉強を再開する事にした。ブーイングも一部にあったが1年生は前向きだった。実生活で自分達の技術が有益になる技術だと分かったからだろう。


 作業も色々あるので午前中を授業に充てることにした。

なんだか学校全体がピリッとした感じがするのは私だけだろうか? 


 と中川校長は思う。


 それに此処は学校である。冒険者の集団では無いからだ。

本田組には実習名目で絶えず3年生を中心に30~50名程が作業に加わっている。


 今ではグランドに作っていた宿舎の建築がほぼ終わり農場と第二グランドの建築に入っている。農場の外側には幅5mの水堀と高さ3mの塀が造られている。


 警備は一つの櫓に3名づつ三交代制で15ヶ所に教師も含めて135名が昼も夜も警戒に当たる。現在は赤外線と動体監視カメラの警戒網の構築中だ。


 監視カメラはマネキン人形を作り頭部にカメラを仕込んである。

マネキンも上半身だけの物で顔は鎧兜で人に似せているし自動照準する優れ物だ。

自動照準器と連動したボーガンの矢を使った吹き矢は圧搾空気で矢を次々に番えるという優れた大型の吹き矢である。


 連装で10発ほど発射できるし、それが櫓一つに三方向に三機ほど装備する予定である。現在は櫓15基中、10基程がこのシステムに変わっている。


 現在配置に付いてる人員は45名程になる。


 新システムでは櫓の数をもう25基、全部で全周を囲む40基にする予定になる。


 本校舎2階にある放送室を改良して集中監視室に鋭意改造中だ。

元々、校内放送もできるし、これで生徒を夜間警備に出さずに済むし教師の負担も減らせるだろう。


 交代で監視室の夜間警備を教員だけで回せる様になるしな。

昼間は生徒達も手伝ってくれるしね。と中川村長は思う。


 後は食堂の8名のおばちゃん達を中心に女性徒と男性の有志、約30名が交代で朝、昼、晩の食事を提供している。657名分の食費は無料で提供している。


 食事も未だに米は見つかっていないがパンと麺類はうどんにスパゲッティなどだ。

カレーにはナンを付けるとか、食堂のスタッフには頭が下がる思いだ。


 オヤツ替りの惣菜パンと麦芽糖を使った甘味類などを売店で売っている。

校内の流通には現地の硬貨を使いだした。


 魔物討伐1匹が銀貨1枚として支給している。

惣菜パンが銅貨2枚、甘味類は大体銅貨1枚だった。

色々な工業製品や労働対価には、それぞれに労働分に似合った金額を出している。


 時給換算で1時間を銀貨1枚としている。太田組と教職員関係は大銀貨1枚を目処に支給している。現在は毎日払って居るが、何は月一にしたいモノだ。毎日は煩雑だが校内に硬貨が回るまでは事務方と数学の先生には大変だがお願いしたい。


 銅貨は次で大量に仕入れて硬貨というより銅素材として扱うつもりだった。

鉄鉱石と石炭の定期購入の目処は付いたので、暖房は火災予防の為に1箇所にボイラーを作りセントラルヒーティングにする予定である。


 どうやらこの異世界ではこれから冬に向かうようだし、どれぐらいの寒さになるか分からない。


 それとこの世界には魔法と魔石が存在する。魔法で現在、分かっているモノは火魔法、水魔法、土魔法、聖魔法、雷魔法、闇魔法と鑑定魔法である。


 それと突然、全ての生徒や教職員達に芽生えた無属性の生活魔法だった。生活魔法は小さな火を起こして着火に便利だ、後はコップ一杯の水を出せるウォーターと言う魔法、ライトと唱える光の魔法だ。室内程度の空間ならライトで充分に明るくなる。

 

 意外に便利なのが『クリーン』と一声唱えると着ている服は勿論のこと、身体も綺麗になるからだ。事の発端は物臭な少年が此処は異世界なんだから生活魔法があるだろうと唱えたのがクリーンだった。瞬く間に全員に広がったよ。だって便利だもんね


 タダシ自分は絶対に入浴派だ。だって気持ち良いんだモノ、やはり自分は昭和の男だよなぁ。いや、入浴は日本人には必須だ。それにクリーンは綺麗にはなるが入浴の様なリラックス効果は無いしね。実際に肉体労働系に従事する人間程、入浴を欲する

傾向に有るとの事、日本人には温泉と入浴は必要だと強く思う中川校長であった。

 

 聖属性は、佐々木希教諭と、その手伝いをしてた女性徒が使える様になった魔法だヒールとは所謂、回復魔法だ。聖属性と生活魔法は光魔法も使える。


 聖属性の光魔法は多分、アンデット系の魔物に効くだろうとの事。生活魔法ではただの灯りだけだ。

 

 闇属性は、自分の存在を打ち消し隠れたりする魔法だ。

 魔石は火属性、水属性、土属性、雷属性となるゴブリンは土属性、ホーンラビットは水属性だった。今のところ討伐は2種類の魔物だけなので他の魔石は不明だ。

特に聖属性の魔石は重要だと中川村長は思っている。


 各属性魔石の研究は素材システム科が中心となって研究している。


 今度、冒険者が講習に来るので、その時に質問すれば良いだろう。

教職員でも希望者は受けられることにした。大体、若い先生に希望者が多い。


 酒のラインナップにウィスキーが加わった。エールの蒸留は簡単だが樽の自作が難しかった。木材のオークを森で見つけて来て、インテリアデザイン科の木材乾燥機に掛けて即成乾燥をさせた。元が木工科だったので古い機材だが未だに稼働状態に置かれていたのが幸いだった。


 オーク樽で寝かす事、1ヶ月でフレーバーを付けてアミノ酸・有機酸・ミネラル・タンニンなどで成分調整をして味付けを行っている。


 ウィスキーは10ℓ樽詰めと瓶詰めの二種類がある。当然の如く瓶詰めが高い。

樽詰めは熟成で寝かす予定の樽がある。瓶詰めにはインテリアデザイン科の学生がデザインしたラベルが貼ってある。日本語を崩してデザインした『うぃすきぃ』という文字が描かれている。三色刷りのデザインだが中々に洒落ている。


 中川村長はデザインした生徒には金貨1枚をボーナスで支払った。

斯様にして生徒達は様々な労働を対価にして金額を得ていく。


 現在は学校の外には農場や工事関係以外では出て居ないが何はこの異世界の身分証を得る為に冒険者ギルド等への登録が必要だろう。これも生徒達の受け売りなのだ、

 

 


 本当に生徒達の応用力は凄まじい。


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