第12話 次の商談に向けて、作戦会議


 商人と次の商いの約束をして中川村長(校長改め)←商談の場にいた翠と麗羅が皆んなに広めた為に村長呼びが定着した。


 中川校長自体も娯楽が少ない中での事であり咎め立てもしないので、次第に村長呼びは定着していく。差し詰めマイスター村の村長さんである。


 前回の商談で様々な事が分かった。

 例えば貨幣価値


金貨1枚  (10万円、大金貨100万円もあるらしい)

大銀貨1枚 (1万円)

銀貨1枚  (千円)

銅貨1枚  (100円)

鉄貨1枚  (10円) それ以下は無い模様


 硝子製品が高額なのが分かったのも良い。工業レベルで大変なアドバンテージを得て◯◯工業高校、改めマイスター村は工業製品を売って異世界で暮らせていける。


 武器もボーガンが無い様なので戦略的、戦術的なアドバンテージも高い。

だが、基本的に武器は売らない事にする。それを使って攻められると怖いから。


 マイスター村の工業製品を売っている内に農園や農場を作り、自給自活の体制を作らなければ・・・


 中川村長は学生達をなるべく忙しくさせている。郷愁やら親恋しさをなるべく感じさせなくする為に。


 引き取った商品で大体の品物の価値も分かった。


 小麦が俵入りで1トン程、コレが金貨2枚分20万円、大麦が俵入りで1トンで大銀貨8枚8万円分、大豆が20kg入りの袋で10袋、1袋が銀貨5枚x10袋で大銀貨貨5枚5万円、エールが二樽40ℓ入りx2、1樽大銀貨5枚で金貨1枚10万円、ワイン1樽40ℓ金貨1枚10万円、農業用の鍬(木製)x 10本、一本が銀貨5枚x 10=大銀貨5枚5万円、農業用の鋤(鉄製)が大銀貨2枚で5本、5本x大銀貨2枚=金貨一枚10万円と他、雑貨諸々で大銀貨5枚分5万円、布地で金貨3枚40万円と大銀貨7枚7万円で都合金貨11枚110万円分の荷物だった。


 これからは大事に取引をしなければならない。今は彼が学校関係者657名のライフラインなのだから。


 大まかな戦略を立てる、というより売れる商品の開発だ。


 生活用品としての硝子類だが簡単に増産出来る。板硝子とグラス類、グラスは種類を揃えても良いかもしれない。デザインはインテリアデザイン科が張り切るだろう。


 電気溶融炉をもう一つ増産する事にした。硝子が高額で売れる事が分かったからだ。


 もう一つ硝子製品で手持ち鏡はどうかと案が出た。板硝子でアレだけ興奮したのだ。鏡なら絶対に売れるだろう。


 鏡は板硝子に銀メッキで簡単に作れる。大きな物ではなく小さな手鏡が良いだろうと女性徒から提案があった。インテリアデザイン科で手持ち台を作る事になった。


 素材システム科から布織はどうかという話が出た。買った布地はあまり品質が良く無かった。

 だから機織り機を作れば校内の需要を満たした後に売りに出せば良いだろうという事になった。校内向けには化繊も良いだろうが、麻などの繊維が欲しいところだ。


 特に女性徒達から下着の替えを何とかして欲しいと切なる要求があった。

コレは生理用品も含まれている。


 ある時、資源探索グループが探索に出かけた時に鑑定持ちが、ふとそこら辺に生えている草を鑑定したら、フラックスと出た。フラックスとは亜麻科の一年草で、何の事はない麻の原材料だった。彼女の母親が手織りを趣味としていて、その女性徒にはそんな知識があった。直ぐに学校へ報告された、布の材料が有ると。


 その為に移植作業の別働班が組まれ無事に畑の地区に植え替えが行われた。

ただフラックスは連作できないため収穫量に限りがあり、多くの耕作面積を必要とする。


 100坪のフラックスの畑から作ることができる布は、せいぜい10~20メートルくらい。なので、サッカー場くらいの約2000坪の耕作地を造った。


 今のところは様々な品物は防災備蓄倉庫の備蓄で賄っているが。

備蓄類を食い潰す前に対策を取らねばならない。


 後は水の大型の濾過装置だ。川の水は飲まないように達しているが、簡易の浄水器キットにも限りが有る。それなのであまり使いたく無い。川とかの出先で仕事をしてるグループには川の水を煮沸消毒した物をペットボトルに詰めて携帯させている。


 後は農機具とかの鉄製化だろうか、コレを売りに出して鉄鉱石を仕入れる事が出来れば良い。原材料を仕入れて加工品を売るのだ。


 後、各科合同の意見で馬車はどうだろうか?と提案があった。

極力、木材を使用して板バネ等やクッションを備え、帆布はゴム挽きにして防水性を高める。タイヤはどうするか?ゴムを使うか?木材のままか?


 コレは継続協議となった。次回、商人のカーク氏が来た時にゴムの木があるかどうかだ。後、欲しい物でジャガイモがあった。ポテチが食べたいんだと。


 森の方で椿の木と同様の物が見つかったので、コレは早速に畑に植えて増産を図っている。育て方とかは情報技術科が必要な人間にメールで送る事にした。


 フラックスに椿の木とマイスター農園には着々と品目が増えていく。


石鹸の製造にも油は必要だった。


 メールで配布しているのは用紙の節約である、今後、紙資源は自分達で作るしかないのだから。


 錬金術師グループが木材からパルプを抽出し紙を作る事を目指しているが、まだ目処は立っていない。


 後、砂糖の代用品の為の麦芽糖を研究し始めた。

エールやワインなどのお酒を仕入れて蒸留をして付加価値を高めても良い。


 それと『そろばん』だな。と中川村長は思う。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る