第9話 レベルアップとステータスボード
佐々木希養護教諭は目の前のデータを見ながら溜息を吐いていた。
今年28歳になる彼女の様子を見て、成る程、男子生徒に絶大な人気が出る筈だ。
と思いつつ、視線を彼女から外した、そうでもしないとガン見しそうだからだ。
山本太郎体育教諭32歳はまだまだ若かった。
異世界転移からの生き残る為の連日の過酷な業務。その中でも凛とした姿勢を崩さない彼女も流石に疲れが見える。椅子に座り長い脚を組みちょっとミニ目の紺色のスリットスカートから溢れて見える太腿の白さにゴクリと唾を呑み込む。
何を10台の生徒の様に彼女にドキドキしているんだ。四つ年下の彼女と二人切りで保健室に居るからと言ってもガキじゃあるまいし、と自分を叱咤する。
連日の業務による疲労感が彼女の表情に陰を与えてアンニュイな美貌を見せていた。何故、彼女は養護室の教諭をしているのかと思うほどの美貌とモデル並みのスタイルを誇る。それでいて男子生徒のみならず女子生徒にも人気が有るという反則の様な女性だった。
そんな彼女が白衣の下には白いブラウス(第二ボタンまで外れている)に紺色のスリットスカート姿で長い脚を組んで悩まし気に溜息を吐いて居るのだ。
『堪らん』と偽りの無い、雄としての感想で有るが理性で衝動を押し殺す。
二人切りでベッドも有る、とはいえ此処は学校の保健室だ。いつ誰が来るのかも判らない。教師としての理性で暗い情動を抑え込む。
山本太郎体育教諭の雄としての情動を抑え理性をフルに必要としている彼女の溜息。その溜息の原因になっている物はステータスボードと呼ばれる物だった。
異世界転移で現れたステータスボードと呼ばれるモノ。
半透明なボード状のモノに色々な数字が現る不思議なモノ、その特徴は。
※ 他人には見えない
※ 何らかの形で経験値?(生徒達はそう呼ぶ)で進化?する
※ レベルという物で体力値等が示される
ステータス
種族 人族 名前 ◯◯◯◯ (人以外の種族が有るのか?)
年齢 ◯◯歳
レベル ◯ (レベルの向上により身体能力が上がる)
職業 ??術師 (今のところ、錬金術、木工、鍛治、建築、細工等、様々)
◯◯師 (どうも戦闘適性らしい、剣、弓、拳闘、槍、盾、等)
スキル ◯◯◯ (戦闘や職業に関して有用と思われる技術、複数所有者あり。職業と戦闘適性に現れる。弓師→ストライクショット『命中補正と思われる』錬金術師→鑑定眼『物を見ただけで内容を判別出来る』など様々な職業とスキルが表れている)
魔法 ? (発現した者は現在、土魔法のみ本田組作業員多数に現れている。学生では用水路工事等の土木作業に従事した者に多い。用水路の法面を硬く締めれれば良いなぁ、とふざけて『アースクリエイト固まれ!』と生徒が言って発現したのが始まり。今では用水路や盛り土は全てコンクリート並みの強度に固まっている)
※尚、最初に始めた人物はインテリアデザイン科の麻生律都君という噂があるが定かではない。
個人差は有るがレベル1〜2で身体能力の向上が約10%。レベル3〜5で15%位
レベル5以上では約20%の向上が見られた。
例えば高校生の平均の100m走のタイムが14〜5秒台、トップクラスで10〜11秒台だがレベル5の者は9〜10秒台ととんでも無い数字なのである。
生徒の身長、体重等の健康データは保健室に身体的能力は体育科にデータがある。
それらのデータに新たにステータスボードに表示される内容を加味したモノを2人で作っていたのだ。生徒には希望者のみとしてステータスボードの内容をアンケート調査したが、ほぼ全ての生徒が答えた。
体力アップの観点から佐々木教諭もボーガンを借りて狩に出かけてステータスボードが見える様になった。以下は彼女のステータスボードで溜息の原因でもある。
ステータス
種族 人族 名前 佐々木希
年齢 28歳
レベル 2
職業 聖女
弓師 (ボーガンを使った為と思われる)
スキル 癒しの手
魔法 初級治癒魔法(簡単な怪我と軽い病気が治せる)
「どうしよう、わたし聖女になっちゃった」
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