第8話 用水路建設


 学校転移から一週間が経った。学校の周りに堀を掘ってから川からの用水路建設に取り掛かっている建築会社本田組と手伝いの学生達の面々だった。 


 本田組が監督を含めて17名と共に手伝いをする学生が30名ばかり、周囲を警戒する為の武装した学生達が10名が各1班で3班、30名ほどで2班がボーガン装備、1班が近接用の鉄棒装備だ。剣道部の有段者には機械科特製の刀が支給されている。

 

 付き添いの教諭が5名、都合82名の大所帯である。

 

 手伝いの学生達には建築科の学生が10名ばかり混ざっている。

監督の測量手伝いや補助が主な役割だ。

 将来の自分の後輩達への指導に熱の入る有栖川監督だった。残り20名は体力自慢の運動部の学生達だった。


 川より傾斜を付けて運河を掘削し水の流れをコントロールする。それは途中に小型水力発電器を設置するからだ。一旦学校の堀まで通った水路は学校を一周して川への復路で川に還流される。コレも水流を作る為だ。100分のI勾配で傾斜を付け水の流れを作る。流水の勢いで水力発電をする為でもある。


 小規模水力発電というモノがある。

 小規模水力発電はわずかな水の流れと落差があれば発電できる発電方法であり大規模な土木工事を必要とせずに設置でき、コストも太陽光発電を導入するよりも安価になり 河川や農業用水路の流れでも発電できる様なシステムだった。


 コレは教材用のキットが複数、電気科にあったのでそれを流用した物である。

用水路の両側はいずれは何らかの畑にする予定だ。


 その時は用水路も農業用水になる事だろう。


 そんな働く者達は皆んな食堂のおばちゃんお手製のお弁当を持参している。


 運河作りは道路作りから始まった。草を刈り道を均す、コレだけで車両の通行が楽になる。掘り出した土砂は学校の周囲の土塀の補強に使われる。


 土砂の搬入には工事現場に置いてあった8tダンプが大活躍している。


 それに合わせて周囲100m程の草原の草を刈り取った。コレは見晴らしを良くする為だ。敵性異世界生物を早期に発見、駆除する為だった。


 それとゴブリンは喰えないというより喰う気も起きないが、第一に臭い‼︎

ホーンラビットは食べらるんじゃないかと猟師の免許を持っている本田組作業員の廓参十郎さん45歳が捌いて自分を実験体にして食べてみて1週間、今の所、異常は無い。


 今まで討伐されたホーンラビットは100羽を超える。コレらは全て捌かれて部位毎に冷凍保存されている。希望者を募り解体を手伝って貰った学生にランダムに解体スキルが発生した。相変わらずステータスボードの仕様は謎だが…


 食料確保の為に好んでホーンラビットは狩られた。狩る者から狩られる者へと立場が変わった瞬間だった。


 用水路の往路と復路の2本が完成すると次は宿舎を作る予定だ。集団で寝起きするプライバシーの無さから来るストレスの傾向が顕著であると保健室の佐々木教諭より指摘も有り、2階以上の教室内に仕切りを作り個室化して取り敢えずを凌ぐ。


 これはインテリアデザイン科有志で2畳程度の個室にベッドと簡単に椅子と机が設置される。仕切りはあるが照明の関係等で天井は既存の天井のみで上部は吹き抜けでプライバシーは余り無い。


 いずれは本格的な宿舎を作る予定である。それと同時に学校内でのネットワーク環境を作り学内の各科でネット環境が構築される事になり学校内ではあるがiPhoneやiPadが使える様になった。


 学校というよりは段々と要塞化している母校であった。





 


 

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