第6話 話し合い
【 ( の後に名前は発言者を指します。】
「先ずは現状の報告から、いきましょう」中川校長の挨拶から会議は始まった。
「食料関係ですが備蓄食料と食堂関係で88000食ですが人数で割ると約127日分となります。その間に食料確保が必要となります」(中川
「水の確保は各校舎の屋上タンクに十日分、プールは満水で非常用には60000ℓ程有ります。又ドローン探査の結果、森林の方向、転移前の方角で言えば西に1kmの所に川が有ります。又同方向には森林が有り材料と食材探しは現地調査が必要です」(中川
「電力は私の方から、現在、通常の照明で有れば現在の太陽光発電で問題ありません。唯、実習棟の機械を動かすと電力調整が必要となります」と電気科の学年主任の山﨑徹43歳教諭が発言する。
「それでは予備電源等については私から、現在、ネットは繋がっていまませんが」と情報技術科の古屋武志教諭34歳が語る。
「データは外部に頼る事が無い様に校内にサーバーを設けた為に無事ですが… データ活用には問題は有りません、でも外部からのデータは取り出せません」
「それとサーバーとパソコンをフルに活用し実習棟の機械を動かすと電力が足りません」(古屋武志
「それについては電気科より提案が有ります。水力なり風力なり発電機を製作しては如何でしょうか?」(山﨑徹
「機械科としては材料が有れば製作は可能です」機械科主任の湯川隆三(43歳)が発言する。
それに応える様に「電気科には銅線ケーブルの予備が有ります」(山﨑徹
「ふむ、すると電気は大丈夫そうですね」(中川校長
「後、電源喪失時対応のバッテリーも校内の照明電源等で有れば3日持ちます」(山﨑徹
「まぁ、そこら辺は製作機械を備えている我が高の強みですなぁ」(湯川隆三
「機械科主任の話は私も同意する」(中川校長
ふふふっと参加している者達から安心か安堵か笑みが溢れる。
そうだ我等の得意な事をすれば良い。悪い状況だけど見通しが出てきたからだ。
「あのぉ、ちょっと提案が有るのですが…」(菅野翠
「君は弓道部で機械科の菅野さんだったね、どうぞ発言して下さい」(中川校長
「あのう、生徒の武装化についてです」(翠
「武装化⁈ 学生の君達がかね」社会科教諭の御前崎太郎(おまえざきたろう)50歳が女生徒の翠を睨みつける。彼は教頭派で非武装中立論者(お花畑)で他人の意見を聞かずに他人を論破しようとする癖が有る。非武装中立論やアジアに謝罪しなければならない説は生徒と良く口論になる。
その口論をした生徒達が言うには『考え方は分かるよ。でも誰でも家に鍵は掛けるでしょ。それが現実でしょ、御前崎先生は自説を絶対に曲げ無いし、人の話しを聞かない』と御前崎先生と口論(生徒は討論とは言わない口論だと言う)
『なのに話し合いで〜が口癖だし』と或る女生徒
『アジアへの謝罪って済んだ話しじゃ無いの』『日本から金が欲しいだけでしょ』とどちらか大人か分からない対応で有る。
「武装化なんて認められる訳が無いだろう‼︎」「それに非武装中立は憲法第九条は世界に誇れる条文だ‼︎」と声を荒げる(御前崎先生
「あのう、今私達が置かれている現状と憲法に何の関係が」(翠
「五月蝿い!学生は大人の言う事に従い黙っていれば良い‼︎」(御前崎
中川校長が話しに割って入ろうとしたが生徒達の反撃が早かった。
「では御前崎先生は、あの怪物と素手で、お話し合いをすると」強力なカウンターを繰り出す東麗羅であった。
「五月蝿い‼︎黙れ小娘‼︎」と怒りに我を忘れて暴言を吐く御前崎先生だった。
「御前崎先生、その言動は教育者としてどうなんですか?」(佐々木凛子養護室教諭
「話し合いになりませんね、御前崎先生は退席に賛成の方」と素早く決を取る中川校長、全員が退席に賛成の挙手をした。何名かはまだ教頭派が居たはずだがと思いつつ退席を促すが、何かと罵詈雑言を撒き散らしている。
「御前崎先生は体調が優れ無い様なので私が保健室までお連れします」と体育教師の山本太郎(やまもとたろう)32歳が自ら動いた。
「お願いします山本先生」と言いながら中川校長は思った、彼も教頭派だった筈だがと体制を読み取るのが巧いのか現実主義者なのか、いずれ判明するだろう。
「すまなかったね、菅野さん東さん」と言いながら中川校長が頭を下げる。
「いえ、校長先生が悪い訳ではありません。確かに体調が悪かったのでしょう」
と目の笑ってない笑顔で微笑む麗羅。
麗羅の大人な発言で、ホッとした空気が会議室内に流れる。
どっちが大人か分からんなと思いつつ中川校長は翠に先を促す。
「もうバケ物と素手で戦えと言う方も居ない様なので先を続けます」翠の発言に失笑が湧き起こる。
「今、我々の倒した異世界生物は角や牙や道具を持って攻撃してきます」
「一般生徒も武装させるにはボーガンが有効だと思います。製作も簡単ですし」(翠
「ボーガンかぁ、確かウチのサーバーに設計図が有る筈だ」と情報技術科の古屋武志教諭が発言する。
「ふむ、ボーガンなら本体は木材でどうだろう。ウチの科から提供できるが」とはインテリアデザイン科の篠原涼子学年主任44歳だった。(この工業高校のデザイン科は前進が木工科で木材加工の機械も存在していた)
邪魔者も居なくなって議題はどんどんと進んでいく。
皆それぞれ、この異世界で生き抜く為に必死なのだろう。
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