第4話 レベルアップ⁈ まんま異世界じゃん


 異世界の魔物を倒す度に電子音が鳴る。

違和感を感じながらも付近の魔物を掃討していく菅野翠と東麗羅達。


 付近に魔物が見当たらず落ち着いた頃に教師達が校庭にやって来た。

実習棟の改築工事に来ていた工事関係者も居る。


 大人達がやって来て、ホッとする生徒達だった。

泣いてる女の子や周りの生徒を庇って怪我をした男の子とか生徒達は混乱状態だったからだ。


 翠や麗羅達も興奮の極致だった。普通のJKが命を刈り取る行為はしない

仲間達を救うとはいえ人生で初めて命を刈り取ったのだ、異世界の魔物だったとしても冷静に居られる訳が無い。極度の興奮状態だった。


 其処に教師達という大人達が来てくれた。普段は反発や、やや馬鹿にした態度を取るのだが、今は頼り甲斐のある大人に見えた。翠達は暫くすると冷静になった。


 一部のオタクに分類する生徒達は「やったー‼︎ 異世界転移‼︎」とか「ステータスオープン」などと騒いでいたが、何も起こらなくて「なんだよ〜!」とかガッカリしていた。


 翠も先ほどのピロリンという電子音が気になって

『うん、異世界物の定番だもんね』と思い唱えてみる。


 「ステータスオープン」と唱えると、あらまぁ、びっくり‼︎

半透明なボードの様な物が浮かび上がるじゃ、あ〜りませんか。


 内容は・・・


 種族 人族 名前 菅野翠

 年齢 17歳

 レベル 4


 職業  ??術師

     弓師

 スキル 命中補正 

 魔法  ?


 と出てしまった。目玉をパチクリとさせて中空を見つめる翠に麗羅が心配そうに訪ねる。


 「翠、み・ど・り・お〜い、どうしたのぉ〜」

 「麗羅、麗羅、コレ見えないの?」

 「何?何?」


 どうやら麗羅には翠のステータスボードが見え無い様だ。


 「あっ!麗羅、ステータスオープンって言って見て」

 「何、異世界小説みたいな事言ってるのぉ〜」

 「いいから言ってみて」

 「ステータスオープン?」言って麗羅は固まる。


 「何なのぉ〜これぇ〜」麗羅の前に現れた本人にしか見え無いボードにはこんな風に書かれていた。


種族 人族

 年齢 17歳 東麗羅

 レベル 3


 職業  ??術師

     剣士

 スキル 稲妻突き

 魔法  ?   となっていた。


 「何これレベル3って」麗羅

 「麗羅っちはレベル3なの?」翠

 「翠は?」麗羅

 「レベル4だよ」翠

 「何で差がつくんだろう」麗羅

 「あっ、麗羅っちゴブリン何匹倒した?」翠

 「アチシは3匹かな、翠は?」麗羅

 「私は5匹だよ」翠

 「ん〜ん、倒した数の差だから経験値の違い?」翠

 「あはっ、なんか、異世界転移みたいだねぇ〜」麗羅


 それとステータスオープンと言って何事も起きなかった生徒達だが戦闘を行なっていない生徒だったりする。


 「てか、なんか魔法陣みたいな光にゴブリンとか異世界転移じゃん」翠

 「あれっ?そしたら今夜の連ドラ見れなくね」麗羅

 「心配するとこ、そこ〜!」翠


 「でもこれからどうするかだよね」麗羅

 「防衛戦かぁ、一晩中起きてんの、眠いじゃん」翠


 「堀を掘って、その土を盛り土?」麗羅

 「戦国時代じゃあるまいし」翠

 「でも、そういうのって麻生氏、詳しくなかった?」麗羅

 「あぁ、アイツお城オタクだもんね」翠


 翠に告白15連敗中の麻生君を呼びに行こうかな?と麗羅が考えていると教員と学生達の集団が現れた内には救急箱を持った保健室の佐々木教諭と校長先生が混じっていた。麻生君もその集団に混じっていた。


 都合良いね〜ナイスタイミングと翠は思った。


 「校長先生、現状についてご相談が有ります」麗羅

 「君は確か電気科の東さんだったね。何かね?」校長

 「現在外部と連絡は着きますか?」麗羅

 「いや、電話もネットも繋がらないよ」校長


 「校長先生、異世界転移って分かります?」翠

 「あぁ、分かるよ。若い人達が良く読む本とかネット小説とかだよね」

 「僕などの時代は漂流◯室とか言う漫画があったが漂流学校か…」と校長

 漂流学校の件は周りに聞こえ無い様にボソッと呟いた中川浩(なかがわひろし)55歳であった。


 「先生も、そう思います?私達は生き延びねばなりません」麗羅

 「それには戦える環境が必要です」翠

 「戦える環境?」其処に実習棟の改修工事に来ていた現場監督の有栖川祐樹(ありすがわゆうき)38歳が興味深そうに話に加わる。


 「そうです。異世界の魔物と戦える体制が必要と思いませんか」翠

 「麻生君、こっちへ来て」翠


 「何?何?菅野さん」犬が尻尾をブンブンと振り回してる様にやって来る麻生君

彼はわんこ体質と振られ体質、それと城オタクという3属性持ちみたいだ。


 「君お城とか野戦築城とか詳しいよね」麗羅

 「野戦築城とは、異世界生物対策かな?」有栖川

 「そうです、監督さんも戦われましたか?」翠

 「ウチの方は角の有る兎、ホーンラビットとか言うのかな」有栖川

 「おっ、監督さん分かってんじゃん」麻生

 「ウチの方は肉体派が多いからねぇ、裏口は塞いで警戒に何人か残しているよ」と有栖川が答えると『ふむ』と何事か校長が考え込む。


 直ぐに答えを出した中川校長は皆んなに指示を出す。


 「佐々木先生と山本先生は怪我した生徒を保健室へ、後、心身不安を憶えてる生徒もお願いします」と佐々木先生と体育教師の山本先生に怪我人等のケアをお願いする中川校長だった。


 「有栖川さんの所は何名、今回の件に巻き込まれましたか?」中川

 「今日の作業員数は私を含めて17名ですよ」有栖川

 「では、彼等の掌握は監督に任せるとして、生徒が言っている野戦築城は可能ですか?」と校長が問うてみると有栖川監督は、にやりと笑って


 「面白そうですね」と答える



ここに建築会社、本田組のプロの職人集団が協力する事になる。





 


 

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