嫉妬心

「ぼくたち付き合いました」


そういって恋人繋ぎをした右手を周りに見せつける


それが俺はどうしようもなく恥ずかしいのだが早島梨花は少し赤らめた顔とは反対に冷静だった


「それじゃあこれからどこにデートに行きましょうか太郎」


むにゅんと胸が俺の右腕にぶつけられてあっはヤバいヤバい頭が爆発しそう


俺は早島梨花の耳元でボソッとこんなことを呟いた


「なんで俺たちこんなことになったんですかね」


「ぼくが偽物の恋人になってくれなんて言ったかは伝えたでしょ」


「そうだが」


その理由とは新崎伸介が早島梨花に対して嫉妬してくれたら嬉しいなと言うもの


「だって既に彼女がいたからもう気にしてないのかなと思って」


「……いやそんなわけがないだろ」


「なんで少しだけ間があったの?」


「それは俺が恋人いたことないからどういう気持ちなのかよく分からなくてな」


まあ恋人みたいなことを一緒にした人はいるけど


「そんなの分からなくても良いじゃない」


「よくないだろ」


「だって恋人なんていなくても気持ちは分かるでしょ」


「それは違うかな確かになんとなくは分かるけど恋人がいることでそのなんとなくが確証にかわるんだと思う恋ってのは人が成長するために必要なものだとも思うしな」


「そうまあ分かる気はする」


二人が出掛けたデートの場所は恋人が行くことが有名なおしゃれなカフェだった


新崎伸介はバレバレの追跡を行っていた


伝説の情報屋なんて言われているのに好きな女には弱いらしい


俺たちはハート型のストローでイチゴ味のジュースを共に飲む


「あの恥ずかしいんですけど」


「こんなの恥ずかしいなんてうぶなところもあるのね」


「うぶとかそういうのじゃないですから」


普通知らない美女と間接キスなんてしようものなら恥ずかしいなんてものじゃないだろ


そう思って早島梨花の顔を見ると耳まで真っ赤でああ可愛いな少しだけ早島梨花に好かれている新崎伸介が羨ましいとさえ思えた


あとこのジュース意外と美味しいな


てっきり味よりも一緒に飲むことの方が中心で味は美味しくないと思っていたぜ


ぎぃぎぃという音が後ろから聞こえてきて新崎伸介が壁を壊したのだとすぐに分かった


早島梨花はそんなこと気にしていないみたいに俺に話しかけてくる


「よくぼくの無茶振りに答えてくれたよね」


「そのとおりですよマジできつかったんですからね」


「あははごめんごめんでもあなたに頼んでよかったわありがとう」


「どういたしまして」


「それじゃあわがままを色々言ったお礼に今からぼくが教えるわね」


「おう」


「でも」


早島梨花によって語られる写真部の二人の過去の物語

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