水族館デート

「どこにつれていくんだ」


「ついてからのお楽しみってやつさ」


俺は九条輪廻に恋人繋ぎをされながら目隠しをされて連れていかれる


だんだんと涼しい気持ちになってきたように感じてでもここら辺はたしか海はなかったはず


それに水着を持ってきてと言うはず


「なら海関連で水族館かな」


「うんあってるよさすがだね」


そういって目隠しを解かれた俺の目の前にはたくさんの魚たちが泳いでいて子供の頃のわくわく感がよみがえってきた


「なんで目隠しなんてしてまで隠したのかと思ったけど俺にわくわくしてもらうためか」


「うん真っ暗闇から明るい場所に出たら気持ちが沸き上がるって聞いたからしてみたいと思ったんだ」


「実験台かよまあでもありがとうなんかすごい嬉しいよ」


今は夏だから涼しい場所は嬉しいからな裸で学校デートも涼しかったし水族館も涼しいし二人とも考えてくれたのかな


この自然の優しさに俺はなんだか涙が溢れてくる


やはり愛されている気持ちになれるのは良いな


「ええ実験台じゃないよ」


ふざけて目をそらす九条輪廻を見て俺はなんだかクスッと笑えてくる


「ああ笑ってますねもうふざけないでくださいよ」


そんな冗談めかした言い方に俺はいつもどおり答える


「ごめんごめん面白くてさ」


このいつもの関係が俺はすきだな


生徒会として支え合うままが一番ましなのかもしれない


それなのに俺がいたから二人で争奪し合う関係に変わってしまった


いや俺が変えてしまった


そんなことをきれいな風景の中を歩きながら俺は考えていた


九条輪廻は覗き込むように俺を見てきて俺はその笑顔を見ていたらなんだか笑えてくると同時に涙がこぼれてくる


「どうしたんですか涙なんて流して聞きますよあたしでよければ」


「別にただこの関係で本当に良かったのかなと思えてきてさ」


「良いに決まってるじゃないですか」


そうかっこよく確定のように言われて俺はああこうやって自分が思ったことは譲らずありのままでいられる九条輪廻が羨ましかったんだ


だから俺は主人公だと思うようになった


そんな彼女に惚れられて認められたようになった気分になってどこか俺も主人公になれるんじゃと昔諦めていた気持ちがふたたび目覚めたんだ


そんな時だ彼女が俺の目の前に現れたのは


一人の少女が俺をまっすぐ見てきた


たくさんの人がこの狭い廊下をぎゅうぎゅうづめであるくその中でどこか異質な雰囲気を身に纏う彼女を見て俺の肌はぴりつく


「ねえ山田太郎きみはこのままで良いの?」


「なにがだ」


「だって生徒会できみが一番要らないでしょ」


「……それは」


「なのになんでまだこの関係に固執するのかなと思ってさ」


俺は九条輪廻の手を離して少女との手を繋ぐ


「悪い」


そう一言謝り俺は生徒会から去る

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