2007
美雨へ
久しぶりにお便りします。中学生、いやになるね。いやにならない?
なんだか、急に大人の枠組みに放り込まれたみたいだって、万智は言っていました。ぼくもそう思う。急に社会って感じがする。上下ができて、先輩と後輩になって、いきなりぼくらの知らないところで何かが始まったような感じがします。ぼくらは、別に望んではいないのに。
万智は相変わらずです。相変わらず、のはずです。男子相手に喧嘩をふっかけて、ぼくがあわてて止めています。制服なんかくそ、スカートなんかいやだって言う割には、校則通り膝丈に揃えてるあたりが、万智っぽいなと思うのです。
美雨はどうですか。中学校に慣れましたか。友達、できましたか。
万智が心配していました。(手紙にも書いたかもしれないけど)美雨の趣味は特殊だから、引かれたりしないか心配、って言っていました。告げ口です。
でも、ぼくは美雨の趣味のことをすてきだと思っているし、趣味を通じて友達ができたのなら、それはそれでいいことだと思う。でもたまには、ぼくとか、万智とかのことを思い出してくれたら、うれしいなと思う。
またお便りします。元気で。
慎太郎
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