第34話 図書室の秘密基地
「哲くん、こっち来て!」
俺はアイサに手を引かれて、図書室の奥へ連れて行かれる。
図書室の右端にある、本が積み上げられた場所。
「なんだかここ、秘密基地みたいじゃない?」
書架の間にある通路に、本が積み上げられていて空間ができている。
人ふたりぐらいが入れるくらいの広さだ。
「こんなところがあったんだ……」
「えへへ。あたしが作ったんだー!」
どうやらこの「本の秘密基地」は、アイサが作ったらしい。
アイサはしっかり者のギャル、という印象が強いが、意外と子どもぽっいことをしていたことに驚く。
「すごく落ち着くんだ。たまにここへ来て、一人で本を読むのが好きなの」
「そうなんだ。たしかに落ち着くよ」
「うん。自分だけの場所なんだー」
ふふっと柔らかく笑うアイサ。
ギャルだけど本が好き、そんなギャップがあるキャラがアイサだ。
常に人に囲まれている人気者のアイサが、唯一、一人になれる場所……
「あたしの秘密基地、連れて来たの哲くんが初めてだよ」
「いい場所知れてよかった」
「ここなら……誰にも見えないね」
本の壁の、狭い空間にいる俺たち。
少しずづ、アイサが身体を近づけてくる。
「ここは私の秘密基地。私が誰にも見せたことない場所で、あたしの秘密が隠されているの」
「どんな秘密があるの?」
「ふふ。知りたい? 知りたいなら、ここでしよ?」
アイサは身体をぴったりと密着させてくる。
お互いの体温を感じられるくらい近くに……
「まだ図書室に人がいるだろ」
「いるね。でも大丈夫だよ。ここは見えないから」
「いや、そういう問題じゃ……」
……と、俺がそう言いかけた時、
「うん……はぁ」
アイサが俺にキスをした。
柔らかい唇の感触、甘い匂いのする髪、俺の理性がゆっくりと揺さぶられる。
そしてアイサは——
「どう? あたしのって、結構大きいでしょ?」
アイサは俺の右手を掴んで、自分の胸に押し当てた。
ふにょんとした柔らかい感触が、俺の手の中に。
「アイサ、ダメだ……」
「ふふ。声出しだら聞こえちゃうよ? 真面目な受験生たちに」
「おい。これ以上は——」
「哲くん、嵌められたね。キミはもう、あたしとえっちする運命なのだ。逃れられないよ?」
ヤバい。
いつの間にか、アイサに外堀を埋められていた。
——プルルルルっ!
俺のスマホが鳴る。
桐葉から電話だ。
「あ、桐ちゃんからだね。出ていいよ」
俺が電話に出ようとすると、アイサが背中から俺に抱きつく。
豊かすぎる胸が、ぎゅうぎゅう押し当たる。
わざとらしいぐらい、おっぱいが存在を主張して——
「た・だ・し、この状態で電話に出てね」
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