第2話 庭の探索

 僕と弟のトウマは別荘周辺の探索をすることにした。

  

「ママー。ちょっと庭を見てくる」

「離れの小屋には行っちゃダメよ。それと遠くまで行かないでね」

  

 家の周りは芝生になっている。そこにポツンと木がある。

  

「ちょっと登ってみるよ」

 僕は木に登ってみた。意外とすんなり登れた。家の周りは柵で覆われておりその先は森になってる。

  

「ハルトー。何が見える?」

「柵の奥はずっと森だな」

「柵ってなんの柵だろ?」

「確かイノシシから守るものだっと思う」

「前にも聞いたような気がするね」

「森の奥はずっと山だ。あそこにイノシシがいるのかな」


 以前にも同じように木に登った記憶がある。たしか以前も夏休みだったような


「ハルトー。海は見える?」

「見えないよ。山の中だし」

「そうだよね」

「なんで海を見ようとしたんだろ。近くにあるのかな?」 


 なんか引っかかるような気がする。


 ◇◇◇


 それから僕たちは離れの小屋に行ってみた。行ってはダメと言われると行くしかない。玄関の鍵が閉まってたので窓から入った。

 僕は壁に写真が飾っているのを見つけた。


「トウマ。家族四人の写真があるね」

「ほんとだ懐かしいね」

「そういや家族四人が揃ったのいつだっけ」

  

 机の引き出しを開けるとスマホがあった。

「このスマホ見覚えがある。トウマ覚えてる?」

「ハルトのスマホじゃない? パパの古くなったスマホを貰ったんじゃなかったっけ」

「電源を入れてみよう」

 電源を入れようとしたらバッテリーが切れていた。ケーブルを繋いでもう一度電源を入れてみた。

  

「あ。起動した。ロックも外れた。顔認証だ」

 写真アプリを開いてみた。パパ・ママ・僕・トウマの写った写真が出てくる。ひとつの写真に目をやる。ママと青い車が写っている。

  

「トウマこの青い車はなんだっけ?」

「この青い車は小型だけどスポーツカーなんだって。ママが喜んでた」

「ママって車が好きだったよね。でも今のママは車を運転できない」

「ハルト。怪しいと思わない? ママは誰かと入れ替わったんじゃないか?」

「入れ替わる? 別人ってこと? さすがにそれはないよ。パパも会ってるし」

「じゃなんで急に会うことになったんだろう。一年も離れてたのに。それに怪我で整形してるんだよ」

  

 僕はママの写真をじっと見る。ママはとても明るくいつも笑っている。僕たちを楽しませるためにいつもはしゃいでくれる。

  

「そろそろ出ようか。なんとなくだけどこのスマホのことはママには内緒にしておこう」

 トウマもうなずいた。僕はスマホをポケットに入れた。

  

 離れの小屋を出るところをママに見つかった。

「ダメじゃないのここに入ったら。大丈夫だった?」

「大丈夫。特に何にもなかったよ」

  

 僕たちは家に戻った。

「ハルト服が汚れているじゃない。着替え用意しておくからお風呂に入りなさい」


 僕の服はドロドロだ。弟のトウマは木に登ってないから綺麗だ。僕は風呂に入った。風呂上がりにママがジュースを入れてくれた。ひとり分しかない。トウマのコップを持ってきてジュースを注いだ。ママは忘れっぽい。

  

 子供部屋に戻った。僕は思っていた事をトウマに聞いた。

「そもそもなんで小屋に行ってはダメなんだろ。別に危険なこともなさそうだし」

「飾ってある家族写真を見られたくないとか」

「なぜ見られたくないのだろ。うーん。何か思い出せそうで思い出せない」

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