強面

後ろ暗いことがある。


それは、背が高いことがコンプレックスだと言っていることだ。


もしかしたら、それは嘘かもしれない。



本当のコンプレックスは、たぶん顔面にある。


僕は顔が悪い。


さらに、怖い顔であり、不快感を与える顔をしている。


顔が良ければ、背の高さなど苦に思うこともないかもしれない。



会社の同僚たちが、なにやら楽しそうに話していた。


なんでも、「強面の人と話したら、意外に柔らかい口調でギャップがあって笑えた」というではないか。



分かる、分かってしまう。


強面の方に共感してしまう。



我々は見た目にハンデがあるのだから、優しく話さなければならない。


きっと、その強面さんも、そう考えているのだろう。


我々が「普通」のフィールドに立つためには、そういう努力が必要なのだ。



優しく話せばギャップで笑われ、素で話せば怖がられる。


……ならば、笑われるしかないだろう。


笑われるということは、少なくとも相手に安心感を与えているはずだ。


そうであるなら、大いに笑っていただきたい。


そうしてもらうと、こちらの心も少しばかり軽くなりますので。

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