僕はやっぱり小説が書けない

あまり読まれてはいないが、僕も小説を書いている。


手探りで言葉を綴っていくと、キャラクターはまるで自分の意思を持っているかのように勝手に動き出す。


とりとめのない文章になり、ストーリーは思ってもいない方向に進んでしまう。

僕の場合は、未熟ゆえなので、「良い意味で」ではない。


目の前の文字が文に成り、文章となっていく中で、僕の書くものはいつの間にか、僕の小説ではなくなっていく。

そうして書かれた文章は、誰の何に分類されるのだろう。



学生時代、僕は漫画家になりたいという漠然とした夢を抱いていた。

特に絵を描くこともなかったが、その気持ちだけは何故かあったのだ。


小説を書くのなら、あのころ生まれたキャラクター、霧原きりはら無尊なたかが日の目を見るチャンスなのかもしれない。


しかし、僕はまだその時ではないとも思っている。

もっと文章を書くことについて深く理解し、言葉の持つ力を学ばなければならない。


……などと、書かない言い訳をして、霧原無尊は再び生まれることなく消えていく。


今は、僕に書けるものを書いていくしかない。

どんな形であれ、想いを言葉にするということを大切にしたい。

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