第4公演 主演「弓弦サヤカ」様

第10幕 弓弦サヤカ(1)

わたしは、ちかいうちにしんじゃうらしい。


かんごしさんがはなしてるのをきいた。

わたしのおへやのちかくは、すみっこだから、いどばたかいぎ?にさいてきなんだって。


「……でね、もー症状が最近酷くって。」

「あー、わかる。もう、いい加減にしてって感じ。」


また、わたしのこと、おはなししてるみたい。


ごはんたべても、はきだしちゃうから、たぶん、かんごしさんもたいへんなんだろうなぁ。…ごめんなさい。


わたしは、うまれてから、ずーっと、おへやでおえかきと、えほんばっかり。


ふつうのこは、がっこうにいってるんだって。


わたしは、ふつうのこじゃ、ないんだって。


なんだか、なみだがとまらなくなった。


しんぱいしたのか、かんごしさんがちかよって、せなかをさすってくれた。

また、めいわくかけちゃった、ごめんなさい。


ママ、だって、わたしのことなんか、めんどうでしかないよね。


そんなことをかんがえてたら、いつのまにか、いちばんたかいところにきていた。


てすりをしっかりつかんで、そとのけしきをながめる。


とりさんが、とんでいくのをみて、とてもうらやましくなった。


わたしも、いつか、あんなふうに。


ガチャっておおきなおとがした。


きづいたときには―。


―わたしのからだは、おそらをとんでいた。




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