第2公演 主演「村井ケンジ」様

第4幕 村井ケンジ(1)

俺は、ここらのローカルランキングで最速のドライバーだ。


今日も、峠を駆け抜ける。

ぐんぐんと加速させた愛車が、通り過ぎた後にはテールランプが置き去りにされて怪しく光る。


ラップタイムを画面上で確認して、ベストを更新していることを確認すると、心のなかでガッツポーズをする。


スピーカーから聞こえるアップテンポの曲が、俺のテンションを更に上げた。


「よっしゃ!このまま全国1位目指してやるぜ!」


ガチャガチャとシフトレバーを操り、ヘアピンカーブでドリフトを決める。


テンションが上がり、興奮しすぎていたのか、急に目眩がしたかと思うと、俺の意識は闇に飲まれていった。

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