第1公演 主演「妃かえで」様
第1幕 妃かえで(1)
愛おしかった。
大好きだった。
アタシを求めていたその目が、他の誰かを求めるのがたまらなく嫌だった。
他の何処かを向かないように、彼のために必死に努力した。
元々、少しぽっちゃり寄りだったアタシの身体は、骨と皮しかないんじゃないかと疑うくらいにダイエットしたし。
今までスッピンだった顔も、朝早く起きて何時間もかけてメイクするようになった。
料理だって、家事だって、なんだって覚えた。
全部、彼が求めたものだったから。
今、アタシは彼の部屋にいる。
彼が用意した紅茶はもうすっかり冷めていたけど、それを飲んだ私の心は、かつてなく満たされていた。
暫くすると、彼女の身体は震えだし、身が強張り、汗が止まらなくなる。
苦しみながらも、後ろのベッドに横たわった彼に這い寄る。その彼の表情は、驚いたまま固まっている。
そうして彼の横で、アタシは眠るように息を引き取った。
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