第22話 ふたりで村まで買い物したら

ペーターがやって来て、おじいさんにヨーゼフはおばあさんが面倒をみてると伝えました。


「おお、そうか。あの人ならヨーゼフもゆっくりできるだろう。よかったわい。

大将、おばあさんに礼をくれぐれもな。」

オンジ


おじいさんは安心したので干し草を刈りに

ハイジはペーターとヤギと出かけました。


アンはひとりで朝食の片付けをしました。

「ロッテンマイヤーさん、私ね、毎日、黒パンとチーズの食事はどつかって思うんです。

やはり、たまには違う物も食べるべきではないかと思うのです。

そこで、村に行って食材を買いに行きたいんです。」アン


「それ、あたくしも感じておりましたの。

飽きますわよね。デザートなんかの甘い物が

恋しいですわ。

アンさん、買い物に行きましょう!

ゼーゼマンさんから、生活費として頂いたお金がありますのよ。おーほほほ。」ロッテンマイヤー


アンはそれを聞いてシメシメと思いました。

パトロンがいるなら、買いたい物をたっぷり

買えるわ、こう言う時にはロッテンマイヤー

さんって役にたつわと悪い顔で微笑みました。


二人はおじいさんの背負い籠を背負って

下へと降りて行きました。


「ところで、アンさん、何を買うのですか?」

ロッテンマイヤー


「えーっとお、メモをしてきたから、、。

まずはパン、ジャガイモ、玉ねぎ、にんじん

果物があるといいんだけど。

小麦粉、砂糖、はちみつ。

お肉!これは、絶対だわ。

トマトも欲しいけれど、これは瓶詰めでもいいわ。」アン


アンはマリラ直伝のジャガイモのミートパイが作りたかったのです。

あと、甘いパンケーキ。


村の人に聞きながら、何とか食材は手に入れました。

アンには、目論みがありましたので、

最後にそのお店に寄りました。


「アンさん、こんな所には食べ物は売ってませんわよ。」ロッテンマイヤー


「ねぇ、ロッテンマイヤーさん。ほら、中を見てみましょうよ。とても素敵じゃありませんこと?女性の楽しみが詰まってるじゃありません?」アン


「そうでしょうか?あたくし、あまり興味が湧きませんわ。」ロッテンマイヤー


アンは無理矢理、ロッテンマイヤーさんの腕を掴んでお店の中に入りました。


「やぁ、いらっしゃい。おや、あんた達はオンジのところに来ている人達だね。

どんな物をお探しだい?」

お店の太った女の人は聞きました。


「この人に合うサイズの服を全部出して見せてくださらない?」アン


「なんだって?この人に合うサイズの服かい?

沢山あるさね。待ってな。」店主


色んな服を持ってきましたが、アンが心惹かれたのは、ただひとつでした。

こういう場合、アンはロッテンマイヤーさんの

気持ちは無視です。


「まぁー。これがいいわ。せっかく、スイスに来ているんですものね。

おばさん、試しに着てみることはできますか?」アン


「いいよ、奥で着替えておいで。」店主


アンはロッテンマイヤーさんを連れて奥の部屋で着替えを手伝いました。

髪は頬の横を三つ編みにして、右と左を後ろで

束ねます。

そこに、リボンをクルクルと巻き巻きしました。


「あのう、アンさん、この格好は、、。

あたくしには、おかしいのではありませんか?

派手過ぎると思いますわ。しかも髪をこんな風にするなんて、、。」ロッテンマイヤー


「ロッテンマイヤーさんは何もわかってらっしゃらないのね!

ご自分がもし、こんな赤毛で顔中そばかすだらけで痩せっぽちで、、、。

そんな風だったら、おしゃれも楽しめない、、。」アン


ロッテンマイヤーさんは基本的に人の痛みはわからない人でしたが、この所、自分も病んでいたので、アンの言う痛みがわかりました。

そうね、アンさんはそれで傷ついていたのですね。アンさんは私を着飾ることで、夢を叶えようとされてるのかもしれませんね。


「アンさん、わかりました。

そうですわね、せっかく、日常から離れているのですから冒険してみたくなりましたわ。」

ロッテンマイヤー


「本当!嬉しいわ。

お似合いなのよ。嘘偽り無くお似合いなの。」

アン


裏から出てきたロッテンマイヤーさんをみた

店のおばさんは驚きました。

「えーーっ!この人があの魔女みたいな服を来てた人かい??

見違えたよ。うーん、スイスの衣装がとてもお似合いだね。

白いワンピースに赤いベスト。このワンピースはね、袖が大きく膨らんでるだろ?

スカートにはたくさんのギャザーが入ってる。

こんだけ布を使ったワンピースは余程のお大尽でも無けりぁ。

赤いベストも刺繍が凝ってるだろう?

スイス中探しても、これほどの物は見つからないよ。」店主


「まあ、そうですの?

あたくし、決めました。

これを買いますわ。」ロッテンマイヤー


ロッテンマイヤーさんは支払いを済ませて

るんるん気分です。

アンは少し不思議に思いました。

なーんで、こんな辺鄙な村にこれほどのスイスの民族衣装があるのだろう?

しかも新品。オーダーメードとみた!!

アンはおばさんに

「あれって、訳ありでしょう?

私にはわかりますわ。昔、洋服の仕立て屋さんのところで子守をしてた事がありますのよ。

あの布、そして、刺繍糸、とても高価ですわ。

それが、こんな山奥の村にあるなんて

おかしいですもの。」アン


店のおばさんは、アンを見てニヤリとしました。
















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