第15話 おじいさん、胃が痛くなる

アンはロッテンマヤーさんを椅子に座らせました。

「ハイジ、助手をお願いね。」アン


「じょしーー、わーい、じょーー!

やるわ、私、昨日みたいに。」ハイジ


おじいさんは見てられないとヨーゼフと表に出て行きました。


アンはヘアピンを丁寧にとりました。

それをハイジに渡します。

全部取り終わった髪を手櫛でそぅと広げていきました。


「ああ、やっぱりだわ。

とてもステキだわ。これで貝殻のブラジャーと

オヒレをつけたら人魚姫だわ。

人魚姫は王子様に恋をするの、、。」アン


ハイジはあんまりの変身ぶりに、黙ってしまいました。この人、本当にロッテンマイヤーさんなの?


「いったい、どうなってますの?アンさん。

メガメと手鏡を貸してくださらない?」

ロッテンマイヤー


「お待ちになって!ロッテンマイヤーさん、

お化粧道具はお待ちですか?

それをお貸しください。」アン


「あ、ええ。

そうですね、口紅と白粉だけですが。」

ロッテンマイヤー


アンは白粉をつけて、血色の悪いロッテンマイヤーさんの頬に口紅を指でぽんぽんとしました。そして口紅もつけました。


「ほら、見て。ハイジ。人魚姫の出来上がりよ。」アン


「うん、アン、この人、本当にロッテンマイヤーさんなの?」ハイジ


「そうよ、あー、神様、こんな機会を与えてくださり感謝致します。」アン


そこへ、ペーターがやって来ました。

「おはよう、オンジ。あれ?ハイジとアンは?」

ペーター


「うむ。

なんだか、恐ろしいことが起こっているのじゃ。大将、ひとつ覗いて見てはくれんか?」

オンジ


「えーっ!やだなぁ、オンジが怖がるなんて余程の事だもんな。

ヨーゼフも一緒に行っておくれよぅー。」

ペーター


ヨーゼフはおじいさんが頼むとガン見してくるので仕方なく引き受けました。


ペーターとヨーゼフは抜き足差し足忍び足で木の扉から入ろうとしたのです。

「うへーーっ、誰だ?あの綺麗な女の人。

オンジは恐ろしものって言ってたけど?

アンの知り合いかなぁ?

どう思う?ヨーゼフぅー。」ペーター


ばっかじゃねーの、大将。

俺は匂いでわかるぞ。ありぁ、ロッテんイヤーさんだ。しかし、女つうのはおっそろしいもんだよとヨーゼフは思いました。


「あ、ペーター!おはよう!ねぇ、ねぇ、

こっちに来てよーーっ。」ハイジ


「あのう、そのう、初めまして。僕、ペーターです。きっれいな人だぁ〜。

アンの知り合いかい?やっぱり、アボンリーってすごいところなんだな。」ペーター


「何を仰ってるんです?ペーターさん、、。

あたくしです。ロッテンマイヤーです。」

ロッテンマイヤー


「ええっ!!からかってるだな!

ひどいぞ、ハイジ、アン!!

あーんなガリガリの鶏のトサカみたいな頭して

顔色もゆーれいみたいでさ。

全然違うよぅ。」ペーター


「んまあ!なんて失礼なんです?

あたくしは紛れもなく、ロッテンマイヤーですわ。」ロッテンマイヤー


「まあまあ、ロッテンマイヤーさん、

手鏡でご自分をご覧になって。」アン


「ええええええーーーっ!

こっここここれはーーー!

誰ですのぉーーーーー!」ロッテンマイヤー


ロッテンマイヤーさんはあまりの変貌ぶりに

口から泡を吹いて失神しました。


それを見ていたヨーゼフは、こりぁ、おじいさんに伝えんとまずいな、、。

とおじいさんに報告に行きました。

おじいさんは嫌々ながらロッテンマイヤーさんの様子を見に来ました。


「うむ。

確かに、別人のようなんじゃがなぁ。

わしには、男が女装しとるようにしか

見えん、、。

やはり、ペタンコの胸のせいだろうかの。

いかん、胃が痛くなってきた。」オンジ


おじいさんは、こりぁいかん!と背負い籠を持つと、

「わしは村に行ってくる。お医者様に診てもらわんと、あとは大将頼んだ!」

そう言ってヨーゼフの背中に乗って行ってしまいました。


「あらぁ、どうしたのかしら?

おじいさん、病気なんかしたことないのに。」

ハイジ










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