第12話 眠れない夜の葡萄酒
夜になりました。
ロッテンマイヤーさんは昼寝のしすぎで
眠れないのです。
「おじいさま、あたくし、このところ眠れませんの。きっと朝まで起きてますわ、、。」
ロッテンマイヤー
おじいさんは、いや、あんだけ昼寝したら誰でも眠れないぞと思いましたが、口にはしないでおきました。
「おお、そうだ。アンのところのマリラさんが
手作りの葡萄酒を送って下さったのがある。
それを薬だと思ってお飲みなさい。」オンジ
「寝酒などはしたないですが、おじいさまがお薬と仰るなら、、。」ロッテンマイヤー
ふたりはマリラの葡萄酒を飲み始めました。
「まあ、美味しい。あたくし、今までワインやシャンパンなども頂きましたが、これは
とても飲みやすいですわ。」ロッテンマイヤー
「そうですな。マリラさんは葡萄酒作りの名人らしいが、葡萄の味や香りが残っていて
穏やかなお酒になってますな。」オンジ
ロッテンマイヤーさんは元々お酒に強く無かったのですでに一杯目でほろ酔いです。
なのに、美味しさに負けてごくごくお代わりしました。
「あたしだってねぇ、好きでこんな地味で
陰気なおばさんになりたかった訳じゃないわけよ。しよーがないじやん、仕事ないんだもんね。うちは貧乏だしさ、女がひとりで生きてくには覚悟ってもんが必要な訳よ。
わかる?おじいさん?」ロッテンマイヤー
おじいさんは、ロッテンマイヤーさんは酒癖が悪いので、ああ、なんてこった、またひとりとんでもない人を呼んでしまったと大きなため息をつきました。
酔い潰れたロッテンマイヤーさんを背負ってハイジ達のところへ連れて行き、そのまま干し草のベットに寝かせました。
「やれやれ、夏の間にやらにゃあならん仕事がちーとも終わらん。
ペーターんちの家の壊れたところも直してやりたいのに、、。」オンジ
おじいさんが下に降りて行くと、寝ているはずのハイジとアンが起き出しました。
「うわー、ロッテンマイヤーさん、お酒くさいわ。みてみてー、靴も履いたままよ。洋服もメガネもしたままよー。あはははー!」ハイジ
「しーーっ。起きちゃうでしょう?
とりあえず、靴や洋服、メガメは外してあげなきゃ。これは、親切ってことよ。」アン
「しんせつーしんせーつーー!
なんだか楽しいわね、しんせって。」ハイジ
ふたりは靴や洋服を脱がせてメガメもしまいました。
「ねぇ、アンさっきから何を見てるの?」ハイジ
「ねぇ、ハイジ、ロッテンマイヤーさんの髪って黒くてとっても艶々だわ。
なのに、なんでこんな髪型してるのかしら。
私なら、まとめたりしないわ。
風になびく黒髪、ああ、憧れだわ。
そうだわ、このお団子をとっちゃいましょうよ。」アン
「えー、ダメよアン。それって悪い事じゃない?」ハイジ
「そうかしら?ロッテンマイヤーさんはご自分の髪の美しさに気づいてないのよ。
これは神様への冒涜だわ。そう、絶対にそうだわ。」アン
アンはそう言って、ロッテンマイヤーさんの髪の毛を探りました。
ヘアピンがどんどん出てきます。
ハイジもあんまりヘアピンが出てくるもんだから面白くなってきました。
「うわー、すごいわ、すごいわ。」ハイジ
ロッテンマイヤーさんの頭からヘアピンがどんどん出てきます。
まるで黒柳徹子さんの頭から飴玉が出てくるみたいです。
「ふぅー、ヘアピン50本はあったと思うわ。
私、よくやったと褒めてやりたい気分よ。」
アン
「えらい、えらいわー!アンってすごい!」
ハイジ
アンは考えこんでました。
「ねぇ、ハイジ、この黒髪がカールしてたら
まるで女優みたいよ、きっと。
ああ、ビーナスのように波打つ黒髪。
ハイジ、カールにしましょう!そうよ、それが
私に与えられた使命なんだわ。」アン
「かーる?それってなあに?」ハイジ
「ほら、ハイジの髪ってくるくるしてほわほわでしょう?まあ、そんなところかしら?」アン
「ロッテンマイヤーさん、こんなになるの?
すごい、すごい!あははは!!」ハイジ
「では、ハイジは私にヘアピンを渡す役割を命じます。私は指に髪を巻きつけてヘアピンでとめるわ。」アン
「わかったー、やるやるーー!」ハイジ
ハイジは干し草のベットで跳ねまくってます。
こうして、ふたりはロッテンマイヤーさんの髪の毛をカールしてヘアピンでとめまくりました。
「ふうーー。流石に手が棒のようだわ。
さぁ、ハイジ、あとは明日の朝のお楽しみよ。」アン
アンが振り返るとハイジは干し草のベットで
夢をみて、ゲラゲラ笑ってました。
ロッテンマイヤーさんも寝言を言ってます。
「ちっくしょう!
ゼーゼマンのあほーー!もっと給料あげろ!」
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