第9話 感激のあとには落胆

おじいさんは丁度、山から帰ってきた

ハイジ、アン、ペーターを呼びました。


「びっくりする物が届いているよ。

さあ、来てごらん。」オンジ


三人は家に入ると、小包の周りに集まりました。

「あー!これ、クララからだわー。

絵本だ!えほーーんだ!こっちの本はきっとアンのだわ?そうでしょう?おじいさん!」

ハイジ


「うむ、アンの本だ。アン、クララからの贈り物だよ。」オンジ


「ええ?私にもですの。

ああ、なんて優しい方なのかしら。

一度もお会いしたこともないのに、私にまで

本を送ってくださるなんて。

神様、どうか、夢だなんて言わないで下さい。」アン


「うへーーっ、いいなぁ。」ペーター


「大将、ちゃんとあるぞ。」オンジ


「ペーター、このお菓子はプレッチェルよ、

カリカリしててしょっぱいの。こっちは

ビスケットだわ。このビンはレバーペースト、

缶詰はハムよ。良かったわねぇ。」ハイジ


「ご馳走だなぁ。こんなに沢山、本当に

貰っていいのかなぁ。」ペーター


「勿論よ!クララがペーターのために送ってくれたんだもの。ねっ、おじいさん?」ハイジ


「ああ、そうとも。

それと、もう一つあるんだよ。見てごらん。」

オンジ


「こっちはマリラだわ。このテーブルクロスはマリラの刺繍だもの。

おじいさま、マリラの作る葡萄酒は特別のレシピなんですの。私は子供だからわかりませんけど、とーっても味わい深いんですって。

是非、おじいさまに飲んでいただきたいわ。

杏の砂糖漬け、リンゴジャム。

あー、懐かしいわ。ほんの少しの間なのに

不思議だわ。マリラの味が恋しいの。」アン


「マリラって人、アンの事が大好きなのね。

だってこんなにしてくれるんだもの。

良かったね、アン。」ハイジ


「ええ、いつもはとーっても厳しいの。

今、マリラの愛を感じたわ。

私ったらマリラは私の事をめんどうな子だと思ってうんざりしてるんじゃないかって。

こんな送り物をされたのは初めなの。

お母さんってこんな風なのかしら。

ああ、マリラ、こころの母。」アン


「うへー。また始まっちゃったよ。

アン、手を合わせると絶対にぼけーっとなっちゃっていくら呼んでも知らんぷりなんだな。

本当に面倒見切れないよ。」ペーター


「まっ、そう言うな。大将。

ところで、もう一つみんなに話しておかなきゃならん事があるんだ。

実はな、ロッテンマイヤーさんがな、

明日にはアルムに来るんじゃよ。」オンジ


しーーーん。

一気にハイジとペーターは凍りついた。

アンはと言うと空想の世界に飛んでいるので

おじいさんの話なんか耳に入らない。


嬉しい事の後にきっつい報告って、、。

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