第3話 ヨーゼフの必死も通じない

ヨーゼフは、大きな口を開けると

アルムの山の空気をぜーんぶ吸い込むように

息をしました。


それからのーー。

「ワンーーー!!!!!」

ビビビイイーーンとその鳴き声は響き渡りました。


もみの木はびっくりして、その葉っぱを

バサっと落としました。

アンは頭からいきなり葉っぱが大量に降ってきたので我にかえりました。


地面もズザザザーーンと振動したので

側転していたハイジは尻餅をつきました。


ヨーゼフはやれやれ、これでご飯にありつけるな。全く、手間がかかるなぁ。と思いました。


ところがどっこい。

「あはははーー!ヨーゼフの鳴き声って

すごい、すごい!!

びよよーんってなったの。足も手もね。」

ハイジ


「私、もみの木のドレスを着てるみたい。

ふふふ、わらわはもみの木の王女である。

皆のもの、わらわを讃えよ〜。」アン


「うわー、アン、もみの葉っぱがいっぱい。

アンは王女さまなの?そうなの?」ハイジ


「そうよ、ハイジ。

わらわの前にひざまつきなさい。」アン


「ひざまつくって何?」ハイジ


「えーっと、こうやってね、しゃがむの。

片方の足は立ててね。

そうじゃなくて、こんな風に。」アン


ヨーゼフはだめーだ、こりぁ、、。と

諦めたのでした。

そして、おじさんに事情を伝えました。


おじいさんとヨーゼフは深くため息をつきました。

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