第4話

 1Fは出荷場所になっているらしい。小型から大型までのトラックが並んでいる。轢かれたのかトラックの下敷きになったままのゾンビもいた。とりあえず照明のスイッチを探すために歩く。この建物自体が環境に配慮してあって、太陽光発電や地熱発電を駆使し、自家発電のみで運用されているとテレビCMで見たことがあった。


 複数のゾンビが徘徊しているが、やはり襲いかかってくることもなく、目があってもすぐに逸らされてしまう。


「あ、見つけた」


 大きなレバーがあった。どうにか力を振り絞り持ち上げれば、瞬く間に明るくなった。懐中電灯をしまい、リュックをおろす。


 2Fに上がると数えるのも億劫になるくらいに、無数の棚が整然と並んでいた。ただジャンルごとに並んでいるのか、配達地域ごとに並んでいるのかは不明だが。


「とりあえず、あいつらに復讐するためには、ここで力をつける必要がある。それに、武器と防具に服もいるな。全裸で走り回っているわけにはいかないし」


 壁にかかっている時計は、深夜1時をさしている。眠たくなる予感もなく、食欲もわかない。


「これなら、永遠に探し続けられるな、まずは近くの棚から順番に攻めていこう」


 一つ一つ箱をあけていく。届かないところにあるものは、脚立を持ってきて中身を確認する。おもちゃ、洗剤、PCモニター、マウス、プラモデル、ぬいぐるみ、電池、など、多種多様なものが収められている。


 もう何個箱を開けたのかわからない。足元にはありとあらゆる商品が散らばっている。


「こんなにも見つからないものか」


 時計が3周したころ、ようやく目的のもの一式揃えることができた。


 頭にはフルフェイスのヘルメット、上にはよくしらないバンドのロングTシャツに、サバゲー用の防弾ベスト、肘にはプロテクターと手にはレザーの手袋をはめている。下はスカジャンに膝にはプロテクト、足はランニングシューズを履いている。武器として、金属バット、ポーチには、催涙スプレー、ベルトには、ナイフとスタンガンをいつでも取り出せるように装着している。


「最強だ」


 流石に日本のため銃はなかったが、イカついガス銃みたいなものがあったため、それも腰にさしている。さっそくスキルの検証と、この武器の性能を測らないといけない。あと、倉庫内の位置関係を把握しておかないと、侵入者が現れた場合に、戦えない。あとは逃げ場も考えておかないと。


 ゾンビになってから、人間のときよりも腕力が強くなっているのを感じる。ゾンビが全員そうなのか俺だけが特別なのかはわからない。





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