超人のオリジン?

 警告:【差別的な胸糞発言あり】

 文字数が多いです。

 また戦車や元軍人の描写が割と適当ですが、ご容赦ください。

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「ワシラ超人の力は、天皇さまの命脈と引き換えに授かったものなんじゃ。

 歴代陛下が弱者に手を差し伸べ、ご公務に真摯に取り組まれて【統合された国民の象徴】であり続けたように。

 超人の力もまた弱者をおもんぱかり、公正な社会の為に使われるべきなのじゃ。」


 ーーここに引っ越してきたばかりの頃、つりがね本家に挨拶に行ったら。

 ちーちゃんの祖父にして「お師匠様」が、

 こんな感じの訓示を、門下生たちにしていたんだよね。


 天皇制が廃止された翌年から、日本全国に巨大な変化が何種類も起きた事が、今となっては分かっている。

 その全てを「偶然の一致」だけで片付けるのは難しいんだよね。

 ちょっと確認してみよっか。


 1つ。ちーちゃんやアタシのような、通常の人類を大きく超えるような〈能力〉と、それに伴う〈代償〉を持つ存在・・・「超人世代」が産まれてきた事。


 最初の超人世代は、もう40歳くらいだけど・・ちーちゃんの祖父(82歳)のように、後から力が顕現した人もいるし、はっきりとは説明できない。


 2つ。新生児の男児の出生割合が、急激に減少したこと。

 そうなってから40年、全人口の男女比は現在45:55になった。


 ネット上には「弐翻にほん人は、新たに女性天皇を認めないままに皇室を消滅させた。

 8方10代の歴代女性天皇がそれに怒って、呪いをかけたのだ!」なんて記述も。

 おかるとちっくな説はともかく、確率論から言っても、確かに不自然な数値ではあるよね。


 3つ。翌年に、自然災害が頻発したこと。

 それって毎年の事のように思うけど。この年の災害数だけ、前年の3倍近くもあったんだよね。

 このときの日本は財政状況が極度に悪化し、先進国会議から落ちる瀬戸際でもあった(現在はG7から除名されている)。

 で、復興予算が枯渇した結果、「人が住めなくなった街アネクメーネ」も、未だに残されているみたい。


 災害の被害は「男尊女卑が強すぎる地域」に集中しているけど。

 これも、「歴代女性天皇達の御霊みたまが、怒りの鉄槌を下したからか?」と疑う人も、意外といるっぽい。


 ・・・とまあ、そんな感じだね。

 そーいや、「人が住めなくなった街」って、ちーちゃんの「例の動画」のロケ地だったっけ。

 アタシは作業に戻りながら、動画の内容を思い出していた。

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 会員制18禁サイトYour Violenceユア・バイオレンス配信動画

処刑人エグゼキューター】JCが戦車を素手で破壊してみた〜元自衛隊員の死刑囚3人もまとめて切断する【政府公認】


 ★三悪人View★

 建物が軒並み崩壊して瓦礫となり、道路にも大きな亀裂が走り、荒廃した町。

 しかも、地下に封じられた汚染物質が湧き出し、継続的な居住を不可能とした。

 大災害頻発の年、政府から真っ先に見捨てられた、男尊女卑の街・滑九字なめくじ町の惨状。


 その街の片隅に、1台の戦車が停まっていた。

 マイナス77式戦車。2010年代の10式戦車の後継機の中では最新だが・・・反重力ユニットを用いた浮遊兵器が主力の昨今では、時代遅れの遺物である。

 それでも鉄条網と塹壕が、各国の民兵ゲリラの基本戦術である以上、まだ一定の需要はあるのだろう。


 それでも9mを超える全長、44口径の滑空砲、キューポラ前にある対空砲、セラミック等を幾重に層にした堅牢な装甲は、相手を威圧するには十分で。

 起動輪に込められたサスペンションで、悪路に陣取って姿勢制御し、一方的に敵を狙い撃つという細かい芸当も可能。


 乗組員は筋肉が鍛え上げられ、ガラの悪そうな3人の男。

 いずれも自衛隊内部で大罪を犯した、確定死刑囚である。

 連中は大多数の真面目な隊員達からは、厳しく非難されている。


「げひひ。超人だか闘士だか知らねえがよ。中坊の女一匹を挽き肉にしてやるなんざあ、こんな楽な仕事ミッションも無いよなあ、ふひゃあ!」


「だがそのガキが、ツキノワグマ数匹を素手で全滅させたことは確かだ。何より獅子は兎を狩るときでも、逃げられぬように全力で追走するものだぞ。」


「デスガ車長。この複合装甲は、熊の外皮や骨格を上回る防御力デスゾ。私めが追加した装甲もありまスシ。それに特殊な発信機で、お互いの位置はレーダーに表示されているので、接近される前に主砲で仕留めてしまうのが、最善デスゾ。」


「確かにな。だが、何があるとも分からん。作戦は主砲による遠隔攻撃と対空砲火、歩兵用武器サイドアームを活用した白兵戦の、2段構えでいく。

 この戦いに勝てば、我ら三人とも【公開死刑執行法】に基づき、大幅な減刑が約束されている。ゆめゆめ油断するな。」


「ぎひい。どーせ減刑されるんならよお。そのガキンチョを辱めて、そのまま轢き潰してヤッてもいーんだろ。そもそも法改正の前じゃあ、俺は死刑にゃならなかったんだ。

 理不尽に対する役得ぐらいあってもいいだろ、げひゃっ!」


 運転手のB太。

 女性自衛官たちに対する、集団での性暴力を行った主導者。被害者の内数人がPTSDで自殺・または重篤な精神障害を負っている。


 女性の人口比が増えた社会では「性暴力は、女性の魂に対する殺人だ」という認識が一般的に膾炙かいしゃした。

「不同意性交罪の最高刑は、死刑とする」への改正は、そうした民意が背景にある。


「ふん。お前のような性獣と一緒にするな。我は、純血高貴なる大和のY染色体ワイせんしょくたいを、夷狄蛮族いてきばんぞく鄙人ひじん共に授けてやっただけだ。

 あんな未開地の不衛生なメス犬どもは、一生まともな男に縁が無い卑賤種なのだし、むしろ感謝して欲しいくらいだな、フン!」


 車長のA男。

 海外派兵された某国の現地で、現地住民の女性たちに集団での性暴力を行った主導者。レイシスト意識によるヘイトクライムという点を除けば、B太と大差はない。

 これにより、某国の反自衛隊感情は決定的に悪化し、現地民による抗議デモや暴動により、多くの犠牲者を出している。


「やれやれ。そんな低級な蛮行より、やはり武器の改造こそが至高デスゾ。

 私めを『ナード野郎』と虐めてきた脳筋風情が、栄えある実験動物として生涯を終えられたのは、無上の幸福デスゾ。

 余分な通信システムを外してまで搭載した自作兵器の威力、超人で実験してやろうじゃないデスカ。」


 砲手のC平。

 兵器改造マニアで、根暗な性格につき、様々な嫌がらせを受けていた。

 ある日、恨んでいた連中の集団に対して「新兵器の実験」を行い、結果として25人以上が死傷している。


「よし、も配置されたな。最終チェックが済み次第、出撃だ。」

 A男が、舐めプで弛緩しそうな空気を引き締める。

 適度な緊張感と、下卑た欲望と共に、準備が終わる。


戦車前進パンツァー・フォー

 我らの栄光のため、中坊メスガキを肉片に帰せしめよ!」

「ふひゃあ!!」「デスゾ!!」


 轟音を上げて履帯が唸り、瓦礫片を轢き潰して、土煙に飲み込む。

 毒素に侵されし鬼城ゴーストタウンに、鋼の要塞がうごめく。

 その車体は死神の鎌のように、鈍い光を放っていた。

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