第151話 たった一度の魔法で…

 「着いたぞ」


 騎士団長の言葉を聞き、周囲を見渡す。


 王都を出発してどれくらい時間が経っただろうか。


 周囲には魔物も人間も誰一人おらず、少し離れた場所に金属鎧やローブを身に纏う者達が大勢待機していた。


 「ここは?」


 「今回の戦場だ。ここであれば、周囲への被害も気にすることなく、全力で戦えるだろう」


 「なるほど。それで? 騎士様の中には、ローブを羽織る者もいるのですか?」


 「あれは魔法士団の者達だ」


 …冒険者ギルドで騎士団長と会話した時は、騎士団全員を相手すると言ったが…魔法士団まで動かしたのか?


 「おい、エドウィン! 話が違うのではないか!?」


 「お前達の、特にアレンの態度が良くなかった。上の者に報告したら、国の威信にかけてアレンを殺せと命じられた」


 「…」


 「今更後悔しても遅いぞ。何を敵に回したのか、その身で痛感し後悔の念に苛まれながら死にゆくといい」


 後悔だと?


 笑わせる。


 寧ろ感謝する。


 これほどの経験値を持つ鴨達を集めてくれて。


 「その言葉、そのままそっくり騎士団長様にお返ししますよ」


 「どこまでも生意気な奴だ。…開始の合図はこちらでする。貴様も準備しろ」


 騎士団長は招集した軍隊の元へ向かい、俺とディアナ、馬車を牽く御者のみが残される。


 「アレン、お前…死ぬぞ」


 「ハハハ!」


 「な、何がおかしい!」


 「俺が死ねば、ディアナは隷属下から解放される。良いことじゃないか?」


 「あぁ精々する」


 「しかし残念だ。勝負の結果は騎士団長やお前が望むものにならないからな」


 「それはどういうーーー」


 「黙って見ていろ」


 それだけ言い終えると、軍隊とは反対側へ向かう。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 騎士団と魔法士団合わせて約10,000とアレンが向かい合う。


 「自身の力を過信する愚かなアレンよ。最後に言い残す言葉はあるか?」


 周囲に響き渡る騎士団長の言葉。


 それに言葉は不要とばかりに、沈黙で返す。


 「命乞いの言葉も無しか。我々〈アルバニア王国〉を守護する盾に、愚かにも歯向かったことを後悔するがいい。戦闘開始!」


 戦闘開始の合図を告げると同時に、まずは魔法士団による各属性の魔法攻撃が大量に飛来してきた。


 ー【魔力纏装】ー


 素早く【魔力纏装】を発動し、逃げ場の無い魔法攻撃の弾幕を防御する。


 【魔力纏装】を発動しなくても、各種耐性スキルでダメージは負わないと思うが、せっかく新調した防具が破損するのは避けたい。


 敵対者が俺一人だからか広範囲殲滅魔法などは無く、単体攻撃魔法のみが飛来する。


 よって、消費する魔力量も抑えられて、持久戦にも備えられる。


 まだ騎士団も控えているし、普通に考えれば俺のほうが圧倒的に不利な状況。


 しかしーーー


 「焼殺太陽イモレイト・サン


 知力値10,000超えの広範囲殲滅魔法を発動する。


 指揮官の指示に従い集団行動を取るお前達は、一人一人や部隊毎に距離が離れすぎてはいけない。


 それが俺にとっては、格好の的となる。


 軍隊の頭上に生成された巨大な太陽を前に、魔法士団の面々が土壁ランド・ウォール氷壁アイス・ウォールを生成する。


 数えるのも面倒なほどの土壁ランド・ウォール氷壁アイス・ウォール焼殺太陽イモレイト・サンの行手を阻む。


 しかし、騎士団と同じく精鋭揃いの魔法士団といえど、一個人の知力値などたかが知れている。


 俺の前では、あまりにも非力だ。


 焼殺太陽イモレイト・サンが容易く障害を焼き払い、大勢の騎士達や魔法士達も悉くを焼き払う。


 『Lv.65にUPしました』


 『Lv.66にUPしました』


 『Lv.67にUPしました』


 『Lv.68にUPしました』


 『Lv.69にUPしました』


 『Lv.70にUPしました』


 『Lv.71にUPしました』


 『Lv.72にUPしました』


 『Lv.73にUPしました』


 『Lv.74にUPしました』


 『Lv.75にUPしました』


 『Lv.76にUPしました』


 『Lv.77にUPしました』


 『【雷魔法】Lv.7にUPしました』


 『【水魔法】Lv.7にUPしました』


 『【回復魔法】Lv.3にUPしました』


 『【回復魔法】Lv.4にUPしました』


 『【回復魔法】Lv.5にUPしました』


 『【回復魔法】Lv.6にUPしました』


 『【回復魔法】Lv.7にUPしました』


 『【火魔法】Lv.7にUPしました』


 『【詠唱省略】Lv.7にUPしました』


 『【氷魔法】Lv.7にUPしました』


 『【光魔法】Lv.7にUPしました』


 『【闇魔法】Lv.7にUPしました』


 『【結界魔法】Lv.4を獲得しました』


 『【結界魔法】Lv.5にUPしました』


 『【結界魔法】Lv.6にUPしました』


 『【結界魔法】Lv.7にUPしました』


 『【体術】Lv.8にUPしました』


 『【身体強化】Lv.8にUPしました』


 『【剣術】Lv.8にUPしました』


 『【盾術】Lv.7にUPしました』


 『【盾術】Lv.8にUPしました』


 『【挑発】Lv.6にUPしました』


 『【挑発】Lv.7にUPしました』


 『【挑発】Lv.8にUPしました』


 『【護身術】Lv.4を獲得しました』


 『【護身術】Lv.5にUPしました』


 『【護身術】Lv.6にUPしました』


 『【護身術】Lv.7にUPしました』


 『【護身術】Lv.8にUPしました』


 『【気配感知】Lv.8にUPしました』


 『【魔力感知】Lv.8にUPしました』


 『【雷魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【斬撃強化】Lv.8にUPしました』


 『【土魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【火魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【水魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【氷魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【打撃強化】Lv.8にUPしました』


 『【風魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【光魔法強化】Lv.4を獲得しました』


 『【光魔法強化】Lv.5にUPしました』


 『【光魔法強化】Lv.6にUPしました』


 『【光魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【闇魔法強化】Lv.4を獲得しました』


 『【闇魔法強化】Lv.5にUPしました』


 『【闇魔法強化】Lv.6にUPしました』


 『【闇魔法強化】Lv.7にUPしました』


 『【疾走】Lv.8にUPしました』


 『【剛力】Lv.8にUPしました』


 『【絶技】Lv.8にUPしました』


 『【明晰】Lv.8にUPしました』


 『【不屈】Lv.8にUPしました』


 『【金剛】Lv.8にUPしました』


 『【魔力回復量増加】Lv.7にUPしました』


 『【魔力回復量増加】Lv.8にUPしました』


 『【豪運】Lv.8にUPしました』


 『【魔力増加】Lv.8にUPしました』


 『【打撃耐性】Lv.8にUPしました』


 『【採取】Lv.5にUPしました』


 『【採取】Lv.6にUPしました』


 『【狩猟】Lv.8にUPしました』


 『【農耕】Lv.5にUPしました』


 『【調理】Lv.5にUPしました』


 『【伐採】Lv.5にUPしました』


 『【畜産】Lv.4にUPしました』


 『【畜産】Lv.5にUPしました』


 『【解体】Lv.8にUPしました』


 『【測量】Lv.4にUPしました』


 『【測量】Lv.5にUPしました』


 『【製図】Lv.4にUPしました』


 『【製図】Lv.5にUPしました』


 『【設計】Lv.4にUPしました』


 『【設計】Lv.5にUPしました』


 『【木材加工】Lv.4にUPしました』


 『【木材加工】Lv.5にUPしました』


 『【石材加工】Lv.4にUPしました』


 『【石材加工】Lv.5にUPしました』


 『【建築】Lv.4にUPしました』


 『【建築】Lv.5にUPしました』


 『【革細工】Lv.4にUPしました』


 『【革細工】Lv.5にUPしました』


 『【銀細工】Lv.4にUPしました』


 『【銀細工】Lv.5にUPしました』


 『【金細工】Lv.4にUPしました』


 『【金細工】Lv.5にUPしました』


 『【縫製】Lv.5にUPしました』


 『【採掘】Lv.3にUPしました』


 『【採掘】Lv.4にUPしました』


 『【採掘】Lv.5にUPしました』


 『【鍛治】Lv.1を獲得しました』


 『【鍛治】Lv.2にUPしました』


 『【鍛治】Lv.3にUPしました』


 『【鍛治】Lv.4にUPしました』


 『【調薬】Lv.1を獲得しました』


 『【調薬】Lv.2にUPしました』


 『【調薬】Lv.3にUPしました』


 『【調薬】Lv.4にUPしました』


 『【陶芸】Lv.1を獲得しました』


 『【陶芸】Lv.2にUPしました』


 『【陶芸】Lv.3にUPしました』


 『【陶芸】Lv.4にUPしました』


 『【写本】Lv.1を獲得しました』


 『【写本】Lv.2にUPしました』


 『【写本】Lv.3にUPしました』


 『【写本】Lv.4にUPしました』


 『【演奏】Lv.1を獲得しました』


 『【演奏】Lv.2にUPしました』


 『【演奏】Lv.3にUPしました』


 『【演奏】Lv.4にUPしました』


 『【逃走】Lv.7にUPしました』


 『【逃走】Lv.8にUPしました』


 『【心眼】Lv.7にUPしました』


 『【心眼】Lv.8にUPしました』


 『【気配遮断】Lv.8にUPしました』


 『【魔力遮断】Lv.8にUPしました』


 『【暗視】Lv.8にUPしました』


 『【魔力操作】Lv.7にUPしました』


 『【魔力操作】Lv.8にUPしました』


 『【探索】Lv.8にUPしました』


 『【遠視】Lv.7にUPしました』


 『【遠視】Lv.8にUPしました』


 『【勘定】Lv.6にUPしました』


 『【勘定】Lv.7にUPしました』


 『【記憶】Lv.6にUPしました』


 『【記憶】Lv.7にUPしました』


 『【清掃】Lv.5にUPしました』


 『【運搬】Lv.2にUPしました』


 『【運搬】Lv.3にUPしました』


 『【運搬】Lv.4にUPしました』


 『【鑑定】Lv.7にUPしました』


 『【鑑定】Lv.8にUPしました』


 焼殺太陽イモレイト・サンが軍隊に直撃した後、しばらくレベルアップや新規スキルの獲得、スキルレベルアップの通知が止まらなかった。


 燃え盛る巨大な太陽が消失し、その場には何も残っていなかった。


 騎士や魔法士達の装備や血肉などの残骸が、跡形も無く綺麗さっぱり焼滅していた。


 Dランクダンジョンの魔物の大群や〈赤目の闇梟〉戦で行使した時とは、明らかに威力や範囲の規模が違った。


 たった一度の魔法で、どれだけの人間が死んだのか。


 自分の力に打ち震えながら、まだ半分以上は残っている軍隊に目を向ける。


 恐怖に腰を抜かす者や泣き叫ぶ者、指揮官が全く統制を取ることができず、地獄絵図になっている。


 「ハハハ! まだまだ俺の餌が残ってるじゃねえか!」


 今の攻撃で、どれほどステータスが伸びたのか分からないが…試すにはちょうどいい雑魚が散らばっている。


 「一人も生きては返さないぞ! 全て俺の経験値にしてやる!」


 俺の興奮は限界突破し、再度魔法を発動する。

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