第135話 物理攻撃、一撃討伐

 地下牢に捕らわれ品定めを待つだけだった女達は、全員俺のお願いを聞き入れた。


 一回ずつ全員を抱き終えると、約束通り護衛も兼ねて、スラム街の外まで送り届けた。


 そして今は、事後の余韻に浸りつつ適当な酒瓶を開け、ソファで寛ぎながら飲んでいた。


 「あぁやっぱり、女を抱くのは気持ちがいいなぁ。お前もそう思うだろ?」


 「…」


 この世界は、一般人でもアイドルや女優顔負けの見目麗しい女性が多く、とても目の保養になる。


 それに、そんな女性達の身体を好き放題できるのがとても幸せだ。


 甘美な鳴声や吐息を吐く唇、包容力のある胸、細く折れてしまいそうな括れた腰、自身の衝動をぶつけたくなる尻。


 一般的な男性も程度の差はあれど、抱く本能は同じだと思うが、俺は特に強いと思う。


 やはり、ゴブリン種に転生したことが多かれ少なかれ、影響しているのだろう。いや寧ろ、人類種の雌を犯さないゴブリン種のほうが健全じゃないよな。


 (ハハハ、思考は完全に魔物のそれだな)


 酒瓶一本を全部飲み干すと、対面のソファに座るアレクサンダーに声をかける。


 「それじゃ、俺は戻るぞ。男爵の件、しっかりと頼むぞ」


 「あぁ」


 「それと、隷属化に関することは一切口外するな。もし俺が違和感を抱くことがあれば、お前は楽には死ねないぞ」


 「…」


 「またな」


 悲壮感漂うアレクサンダーを拠点に残し、俺はスラム街を後にする。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 宿泊部屋に戻ると、リビングで腹筋を鍛えているディアナがいた。


 「待たせたな」


 「ふぅ…本当に身勝手奴だ。狩場に行くぞと叩き起こしたと思ったら、部屋で待機しろと命令するんだからな」


 「それについては、悪かったと思っているよ」

 

 「微塵も思ってないだろ! はぁ…まぁそれはもういい。それで、奴等はどうしたんだ?」


 「アレクサンダー以外は全員殺した」


 「…アレクサンダーだけを生かした理由は?」

 

 「ベイジル男爵って知ってるか?」


 「いや聞いたことはないが…その貴族が何か関係があるのか?」


 「〈赤目の闇梟〉の取引相手がその貴族なんだ。組織の奴等が攫った女性を男爵に金銭と引き換えに、引き渡していたんだ」


 「何の目的で?」


 「ベイジル男爵は女性を甚振る悪趣味があってな。その玩具として、攫われた女性冒険者や街娘を購入していたんだ」


 「クソッ! 私が今からその貴族を捕まえに行ってやる!」


 案の定、激怒したディアナが立ち上がり、部屋を出て行こうとする。


 「まぁ待て」


 「待っていらーーー」


 「おい、立場を弁えろよ。お前は今、俺の奴隷なんだ。身勝手な行動は慎め」


 「くっ…」


 「話の続きだ。今夜、〈赤目の闇梟〉の拠点にベイジル男爵が訪れる。アレクサンダーには、生け捕りにするよう伝えてある」


 「そうなのか? だったら、そのまま騎士の詰所に差し出せばーーー」


 「それは却下だ」


 「では、何故生け捕りにするのだ?」


 「救いようのないクズではあるが、それでも貴族だ。相応に財産を抱えているだろう。それを強奪してから奴を殺す」


 「お前も救いようのないクズだな」


 「褒め言葉として受け取っておこう。そうだなぁ…ディアナも一緒にくるか? 絶対に殺さないと約束できるなら、ベイジル男爵を半殺しにする許可を与えよう」


 「本当か!?」


 「あぁ」


 「安心しろ! 私はどんなクズでも殺しはしない。しっかりと手加減して、被害者達の無念を晴らしてやる!」


 「本当に手加減しろよ。Aランク冒険者のディアナが殴れば、一発でも死ぬぞ」


 「任せておけ!」


 正直かなり心配ではあるが、まぁなんとかなるだろう。


 「じゃあ、今度こそBランク狩場に行くぞ。〈ミスリル・ゴーレム討伐〉の依頼を達成しないといけないからな」


 「よし、行くぞ」


 俺達は宿屋を後にして、二度目のBランク狩場に向かった。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 ということでやってきました、本日二度目のBランク狩場。


 ただ今回は、キュウキやマンティコア、ジェヴォーダンを無視して、ミスリル・ゴーレムの生息する鉱山にやってきた。


 「ディアナ、ただついてくるだけでは暇だろ。お前も戦っていいぞ」


 「本当か!?」


 「あぁ。できれば、空中を飛び回るガーゴイルを討伐してほしい」


 「ハハハ! 任せろ!」


 これで俺は、ミスリル・ゴーレムに集中できるな。


 〈赤目の闇梟〉の奴等を殲滅し、レベルとスキルレベルが上がり能力値が増加した今の俺なら、ミスリル・ゴーレムを一撃で仕留められるかもしれない。


 早速一匹目のミスリル・ゴーレムを発見した俺は、素早く距離を詰めて【跳躍】し、頭部に拳を振り抜く。


 まずはバフが発動していない素の身体能力でどうなるか。


 次の瞬間、確かな手応えと共にミスリル・ゴーレムの頭部は、木っ端微塵に粉砕した。


 『【火魔法耐性】Lv.7にUPしました』


 「よし! 一撃討伐成功っと!」


 物理攻撃の課題が解消された俺は、二匹目のミスリル・ゴーレムには魔法攻撃を試すことにした。


 「雷槍サンダー・スピア


 元々筋力値より知力値のほうが高かったので、結果は見ずとも分かる。


 『【雷魔法耐性】Lv.7にUPしました』


 『【風魔法耐性】Lv.7にUPしました』


 物理と魔法共に問題ないことを確認し、夕方まで狩り続けた。



 

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