第129話 性交渉は勝負の結果次第

 部屋まで料理を運んでくれた店員が退室するのを見届けると、並べられた料理を見て溜め息を吐く。


 ここ王都で一番高級な宿屋だからこそ、食材や調理法、見た目に拘るのは理解できる。料理を振る舞う相手は貴族や商人なのだから。


 ただ、魔物との戦闘で身体を酷使する俺達冒険者にとっては、量が少なすぎる。


 次に店員が来た時に、ダメ元で交渉してみるか。もし無理であれば、露店で買い漁るか、他の店に食べに行くとしよう。


 近くの料理から口に運び、高級食材の味を堪能する。しかし残念ながら、魔物である俺はバカ舌のようで、あまり味の違いが分からなかった。


 「食べないのか?」


 ここに来るまでの威勢が嘘のように消え、高級料理に目もくれず、俯き座るディアナ。


 先程、2つの要求を渋々了承したディアナであったが、まだ心の中で葛藤があるらしい。


 「この世界は弱肉強食。俺が勝者でディアナーーーお前は敗者だ。今更葛藤したところで何も変わらない」


 「…」


 ディアナも用済みとなれば殺すだろう。それまでの間、単純に性欲処理の相手をさせるのはつまらない。


 元々俺に戦いを挑んできた理由も、強い奴と戦いたいという彼女の野心によるものだし、その願いを聞いてやるか。


 「ディアナ、お前にとっていい話をしてやろう」


 「…」


 「今夜は俺に犯されることになるが、明日以降は勝負で決めることにしよう。俺とディアナが一対一で戦い、敗北すれば俺に犯される、勝利すれば犯さない。それでどうだ?」


 俺の言葉を聞き俯いていた顔を上げる。


 「…それは本当か?」


 「いい話だろう? ディアナにとっては強い奴と戦えるし、勝てばその身を汚されない」


 「よし、望むところだ! 絶対にお前を負かしてやる!」


 ディアナの目に希望の灯火が宿り、料理を食べ始めた。その様子を眺めつつ俺は内心、こいつの自信はどこからやって来るのか不思議だった。


 あの時敗北し、実力差は理解したと思っていたが…まだ他に手札でもあるのか?


 ディアナの自信あり気な様子に疑問を抱きながら、再び部屋を訪れた店員と交渉するのだった。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 店員と交渉した結果、一皿の量が多い料理に変更された。


 この宿屋を利用する冒険者の中には俺と同じことを思う冒険者もいるため、そういう人向けのコースもあるようだ。


 迅速な対応と量が多い料理に満足しつつ、転生前以来のお風呂を満喫した。


 今はディアナがお風呂に入っており、俺はリビングのソファで寛いでいた。


 ディアナがお風呂から上がるまでの間に、今回Bランク狩場で獲得した新規スキルの詳細を確認する。


 ステータスについては現時点で大きな変化はなく、〈赤目の闇梟〉壊滅戦後に変化があると思うので、その時に確認するとしよう。


【毒針斉射】Lv.6

 尻尾に生え揃う無数の毒針を一斉に発射し、獲物や敵対者を麻痺の状態異常にするスキル。スキルレベルの上昇に伴い、麻痺毒の毒性が強くなる。知力値+320


【地穿水砲】Lv.5

 硬く丈夫な地面を穿つほどの水の砲弾を、魔力を消費せずに生成するスキル。生成される水砲の大きさや威力は知力値に比例する。知力値+160


 【毒針斉射】は使用不可のスキルだが、【地穿水砲】は使用可能スキルだった。


 思わず内心で「まじかっ!」と叫んでしまった。


 一番大きいのは魔力消費がないこと。水の砲弾を生成するだけであれば、【水魔法】でも似たようなことはできるし、あまり役立つスキルとは思えなかっただろう。


 それに、水砲の大きさや威力がスキルレベルではなく、知力値に比例するのも有難い。


 知力値7,000以上の水の砲弾は、確実にガーゴイルとは比べものにならないだろう。しかし、この攻撃は【水魔法】に耐性のある魔物に通用するのか?


 一応【水魔法】には分類されないし、【水魔法耐性】が効果を発揮しない可能性もあるよな。


 その辺りは【水魔法耐性】を所持するミスリル・ゴーレムと戦ってみれば分かるか。


 少し考え事をしていると、浴室からバスタオルを巻いたディアナが出てきた。


 「やっと上がったか。すぐに寝室に行くぞ」


 お風呂上がりで体温が上昇しているためか、それとも恥じらいのせいか。頬が紅潮しているディアナを連れて寝室に向かう。


 「ん? その武器は?」


 ディアナが寝室に置かれていた〈狂熊剛爪の短剣〉と〈怪力両断の両刃斧〉を見て、俺に尋ねる。


 「その武器は俺の予備武器だ。滅多に使うことはないがな」


 そんなことはどうでもいいとばかりにベッドの上に座り、胸元とお尻を押さえ緊張しているディアナに声をかける。


 「さて、バスタオルが邪魔だな。さっさとそれを外せ」


 「…」


 少し緊張で手が震えながらも、ゆっくりとバスタオルを外すディアナ。


 普段革鎧で守られているためか、胸部や腰周りは褐色の肌ではなく、白くきめ細やかな肌だった。


 Aランク冒険者という実力者であり、鍛え抜かれた肉体の中に胸やお尻などの女性らしい部分を見ると、とても興奮してくる。


 こちらに中々来ない彼女の手を無理矢理引っ張ると、ベッドに押し倒す。ギュッと目を瞑る彼女の上に跨り、強引に濃厚なキスをする。


 そのまま大きな胸を鷲掴み、意外にも柔らかい感触にさらに興奮し、翌日の朝までディアナの身体を貪り続けた。

 

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