第113話 階層主はオーガの上位種

 ※ダンジョンの最終階層を変更しました。

  変更前〈40階層〉→変更後〈10階層〉


 道中魔物襲撃を受けながらも、最後の階層ーーー10階層の入口手前に辿り着いた。


 襲撃してきた魔物の中には、先程の4種類の魔物の他に、2種類の新種魔物がいた。


 1種類目は上半身が馬、下半身がイルカのような姿形をした魔物で、名前はケルピー。


【ケルピー】

 ・【突進】Lv.4

 ・【音波感知】Lv.4

 ・【水魔法耐性】Lv.4

 ・【水泳】Lv.3

 ・【潜水】Lv.4


 2種類目は頭部が犬、身体がカバのような姿形をした魔物で、名前はバニップ。


【バニップ】

 ・【異臭感知】Lv.4

 ・【水魔法耐性】Lv.4

 ・【水泳】Lv.3


 ケルピーが所持する【音波感知】は有り難かったが、それ以外は既知のものばかりで、特に旨みのない魔物だった。


 『【音波感知】Lv.4を獲得しました』


 『【水泳】Lv.6にUPしました』


 そして8階層と同様、【探索】でスイッチは見当たらず、魔物の大群を誘き寄せる手段が無かった。


 …いや、手段はあった。


 〈ヴァルダナ〉のEランク狩場でブライアンさんと行動していた時に使用した【集敵】がある。


 有効範囲は半径50メートルなので、スイッチを踏んだ時よりも魔物が集まるか不安ではあるが、一度だけ試してみよう。


 ー【集敵】ー


 スキルを発動すると、感知範囲に続々と魔物が集まっているのが分かる。ただ、やはり数はそこまで多くないようだ。


 「風鎌螺旋スラッシュ・スパイラル


 左右から襲ってくる魔物達を風鎌螺旋スラッシュ・スパイラルが斬り刻み、バラバラにしていく。


 『【熱源感知】Lv.5にUPしました』


 『【音波感知】Lv.5にUPしました』


 『【神経痺毒】Lv.5にUPしました』


 「まぁこんなものか…」


 スイッチを踏んだ時と比べて魔物達の数は少なく、3つのスキルレベルが上がっただけで終わってしまった。


 残念に思いつつもドロップした硬貨を回収し、10階層へ続く階段を上り始めた。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 階段を上り切ると、眼前には少しだけ道が続いており、その先には巨大で重厚な扉があった。


 残りはこのダンジョンのボスだけだからか、今まで攻略してきた階層と違い、草木や溶岩、海などの地形変化は無かった。


 確か階層主の強さはCランクだったはずだ。Dランクの魔物を数えるのも面倒な程倒してきたので、今更苦戦するとは思えない。


 だが、どのような魔物が出現するかは気になるので、今からとても楽しみだ。


 「さて、扉の手前で屯している奴等は何をしているんだろうな」


 道を進みながら、視線は屯しているパーティーに集中する。向こうも俺に気づき、明らかに警戒心を露わにしている。


 彼等の少し手前で立ち止まり、一度扉に視線を送り、再度彼等に視線を戻して尋ねる。


 「すみません、この扉の先にこのダンジョンのボスがいるのでしょうか?」


 確認の意味も込めて尋ねると、パーティーのリーダーらしき男が立ち上がり、俺の質問に答える。


 「…そうだ」


 「皆さんは扉の先にいるボスがどんな魔物か分かりますか?」


 「あぁ知っている」


 「では、教えて頂けますか?」


 「…ただでは無理だな。俺達がボスと戦って生き延びたからこそ得られた情報だからな」


 資料室の本にボスの名前の記載が無かったのはこれが理由か。自分達だけで情報を秘匿し、ボス攻略後の戦果を独占しているのだろう。


 親切心で教えてくれるかなと思っただけなので、教えてくれないのであれば、直接確かめればいいだけだ。


 「そうですか。皆さんはまだボスに挑戦しないのですか?」


 「そうだな…今は俺達は休憩中だ」


 「では、先に私が挑戦してもいいですか?」


 「…その前に一つ聞きたい。お前は単独で、これまでの階層を攻略して来たのか?」


 ん? 何でそんなことが気になるんだ? 


 「そうですよ。私はパーティーを組んでいませんので」


 「そうか…悪いな、足止めしちまって。俺達はまだ休憩しているから、ボスは好きにしてくれ」


 了承を得たので彼等の横を通り過ぎ、扉に向かう。リーダーらしき男の判断に仲間が驚いでいるが、何に驚いているんだろうな?


 扉に触れると勝手に扉は開き、中には何も無い広い空間が広がるのみ。俺が足を進めると、扉は勝手に閉まった。


 周囲を見渡してもボスの存在は確認できず、ただただ状況を見守っていると、突然大きな発光体が現れ、思わず目を覆う。


 光が弱まったなと思い目を開けると、そこには真っ赤なオーガが佇んでいた。体色以外は普通のオーガと変わらないが、【鑑定】や【心眼】で視た情報には明確な違いがあった。


【オーガ・ベルセルク】

 ・【体術】Lv.5

 ・【狂戦士化】Lv.5

 ・【打撃耐性】Lv.5

 ・【斬撃耐性】Lv.5

 ・【刺突耐性】Lv.5

 ・【火魔法耐性】Lv.4

 ・【水魔法耐性】Lv.5

 ・【土魔法耐性】Lv.5

 ・【風魔法耐性】Lv.4

 ・【雷魔法耐性】Lv.4

 ・【氷魔法耐性】Lv.5


 オーガと比べて全体的にスキルレベルが上がり、討伐難易度が高くなっている。そして、【狂戦士化】というスキルだが、これは結構有名なスキルなので、大体の想像はつく。


 結論、あまり苦戦しなさそうなので、さっさと倒してしまおう。



 

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