第105話 初見の5種類の魔物

 (598枚…599枚…600枚。4階層で回収した硬貨の約2倍だな)


 増加した原因はDランク魔物であるハイオークとゴブリン・ジェネラルが、1匹で白金貨5枚をドロップしたからだろう。


 懐が暖かくなるのを喜びながら、5階層を後にする。


 【探索】で6階層の入口を探し、階段を上る。眼前に広がるフィールドは5階層と同じようだが、周囲にいる魔物は見たことがない奴ばかりだ。


 【鑑定】と【心眼】で名前と所持スキルを確認していく。


 1匹目は遠目でも分かる筋骨隆々の巨体と2本の黒角が特徴的なオーガだ。体格はハイオークと同じだが、威圧感は桁違いだ。


 その上、物理攻撃にも魔法攻撃にも耐性があるとなると、同ランクの冒険者は倒すのに苦労するだろうなと思った。


 2匹目と3匹目はハイコボルトと同じ外見だが、手には短剣を所持している。この2匹の相違点は所持スキルだけだ。


 コボルト・スカウトは各種感知スキルを、コボルト・トラッパーは罠の作成及び解除のスキルを所持している。


 「あれ? そういえばもう1種類ーーーコボルト・アサシンがいたはずだが…見当たらないな。この階層にはいないのか、それとも姿を隠しているのか」


 まぁ奇襲されても問題なく対処できるので、次の魔物に意識を向ける。


 4匹目は全長2メートル程の大きさ、黒く光沢のある甲殻、赤黒い複眼、一対の触角、三対の脚。


 それは巨大な蟻の魔物であるワーカー・アントという魔物だった。


 俺が見たことある蟻は全長1〜3センチメートルくらいだったので、約65倍の大きさに驚いてしまった。


 ダッシュ・ボアやワイルド・ベアと遜色がないのだから、しょうがない。


 続いて、所持スキルはーーー


【ワーカー・アント】

 ・【打撃耐性】Lv.3

 ・【斬撃耐性】Lv.3

 ・【刺突耐性】Lv.3

 ・【火魔法耐性】Lv.3

 ・【水魔法耐性】Lv.4

 ・【土魔法耐性】Lv.4

 ・【風魔法耐性】Lv.3

 ・【雷魔法耐性】Lv.3

 ・【氷魔法耐性】Lv.4

 ・【強酸耐性】Lv.4

 ・【掘削】Lv.4

 ・【触角感知】Lv.4

 ・【陽光視認】Lv.4

 ・【道程記憶】Lv.4

 ・【香気識別】Lv.4

 ・【蟻酸】Lv.4


 所持スキルの多さに驚き、オーガと同じで物理攻撃や魔法攻撃に耐性があるので、本来であれば倒すのは難しい魔物なんだろうなと思った。


 それに気になるのは、【触角感知】【陽光視認】【道程記憶】【香気識別】の4つだ。


 一体どのようなスキルなのか、とても気になって仕方がない。


 5匹目は白色の羽毛に覆われた巨体と鋭い嘴が特徴的な鳥の魔物。名前はロックバード。


 今もダンジョン内を飛び回っている、奴等の所持スキルはーーー


【ロックバード】

 ・【飛翔】Lv.4

 ・【鳴声伝達】Lv.4

 ・【警戒睡眠】Lv.4


 この魔物も気になるスキルを所持しているな。ただ、飛行する魔物は初めてなので、どのように攻撃してくるか、スイッチを踏んでも誘き寄せることができるのか、不安ではある。


 さて、確認も済んだことだし、一通り戦ってみて問題がないようなら、さっさと魔法で殲滅してしまおう。


 まずはオーガからだ。


 近くにいたオーガに走り寄ると、敵意を剥き出しにして拳を振り抜くので、俺も拳を合わせる。


 「グォオオオ!」


 その巨大な拳を粉々に破壊され、怒り狂うオーガ。重傷を負っても全く衰えることのない敵愾心。


 物理攻撃は問題ないので、次は魔法攻撃を試す。


 鋭い蹴りが放たれたが片腕で防御し、雷撃ライトニングで額を貫いてやった。


 『【雷魔法耐性】Lv.2にUPしました』


 『【火魔法耐性】Lv.3を獲得しました』


 『【水魔法耐性】Lv.4を獲得しました』


 『【土魔法耐性】Lv.4を獲得しました』


 『【風魔法耐性】Lv.3を獲得しました』


 『【氷魔法耐性】Lv.4を獲得しました』


 「耐性があろうと、今の知力値なら魔法攻撃も問題なしっと」


 続いて襲ってきたワーカー・アント2匹。


 こいつらの【蟻酸】は耐性がないので、今の俺でも耐えられない。なので、接近される前に、魔法で倒すことにした。


 「雷撃ライトニング氷弾アイス・バレット


 魔法耐性は種類もスキルレベルもオーガと同じなので、今の攻撃で倒せることは分かっている。


 『【雷魔法耐性】Lv.3にUPしました』


 『【強酸耐性】Lv.4を獲得しました』


 『【掘削】Lv.4を獲得しました』


 『【触角感知】Lv.4を獲得しました』


 『【陽光視認】Lv.4を獲得しました』


 『【道程記憶】Lv.4を獲得しました』


 『【香気識別】Lv.4を獲得しました』


 『【蟻酸】Lv.4を獲得しました』


 ドロップした硬貨を回収していると、各種感知スキルが背後から迫る反応を捉えた。


 (コボルトの奴等が近づいてきてるのか? あぁ違った。ロックバードの奴が低空飛行で近づいてきてるわ)


 こういう風に襲って来るのかと感心しつつ半身になって躱し、嘴を鷲掴み、頭部を殴打しつつ地面に叩きつける。


 『【飛翔】Lv.4を獲得しました』


 『【鳴声伝達】Lv.4を獲得しました』


 『【警戒睡眠】Lv.4を獲得しました』


 

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