第99話 死闘を制した戦果は美味い
「あとは貴方だけですね。No.2さん」
背後に振り向き、その深く被ったフードの向こうにある目を見透かすように、話しかける。
「…カーティスまで殺られてしまいましたか。二人がかりなら勝てると思っていましたが…貴方は…想定より遥かに強いですね」
No.2の言葉を聞きつつ、薄々と感じる。
(こいつ…撤退も視野に入れたか)
「絶対に逃しませんよ」
「ハハハ、撤退などしませんよ。私は今まで狙った獲物は必ず仕留めてきたのです。貴方を生かすことは、私のプライドが許さない」
「そうです、かっ!」
俺が言い終わる前に一瞬で間合いを詰めてきて、先程の戦闘よりもキレが増した動きで、首を狙ってくる。
(【縮地】も所持しているみたいだな)
右から迫る短剣を同じく短剣で受け止め、続いて心臓を狙う短剣も弾き、相手の懐に入ろうとするが、下顎を狙って靴先の刃が迫ってくるので、後方倒立回転で距離を取る。
顔を上げると同時に、目前に迫るナイフを地面を転がり回避し、体勢を立て直すと、容赦なく側頭部に回し蹴りが放たれる。
咄嗟に腕で防御すると、身体を回転させ、逆足の靴先の刃で再度狙ってくる。
短剣で弾き返し、反撃で相手の首を狙うも、屈んで回避される。すぐに短剣の振るう方向を変え、串刺しにするように振り下ろす。
その短剣は床を貫き、相手は少し先に移動していた。
「…往生際が悪いですね。早く諦めてくれませんか?」
「何故? まだ私は致命傷を負っていませんよ? 貴方の方こそ、中々私を仕留めきれなくて焦っているのでは?」
「…」
No.2は無言になり、突然両手の短剣を投げ捨てた。状況を注視していると、腰に手を回すようにして、二つの短剣を取り出した。
先程までの短剣とは違い、剣身が漆黒に染まっている。
それに何の意味があるのか、考える暇を与えるかとなく【縮地】で距離を詰めてきた。
俺の額を貫こうと迫る短剣の刃先を見ると、紫色の液体が付着していた。
(チッ! 毒か!)
半身になって躱し、胴体を狙う短剣を弾き、首を串刺しにしようとする短剣を握る手首を掴み、鳩尾に蹴りを叩き込む。
吹き飛ばされる相手を見据えながら、自分の短剣に付着した毒液を見る。
(流石に毒はまずいな。状態異常系の耐性は所持してないから、一発でアウトだ)
「いやいや、今の蹴りは効きましたよ」
「飄々と立ち上がっておいて、そうは見えませんが?」
「本当ですよ。貴方の動きは私よりも早いですし、力も私より上ということは、今までの戦闘で分かりましたからね。カーティスでは歯が立たないのも納得ですね」
「…貴方のその短剣、いつの間に毒なんて塗っていたんですか?」
「あぁこれですか。これはダンジョンの宝箱から手にした特殊な武器でして、魔力を消費することで剣身に毒液が生成されるんですよ」
「それはとても凶悪な武器ですね。貴方も元々は冒険者だったのですか?」
「元々ではなく、今もですけどね」
「犯罪稼業と冒険者は両立できるのですね」
「珍しいことではないですよ。まぁ、犯罪稼業のほうが稼ぎはいいですけどね」
「そうですか」
俺は会話しながらも、【詠唱省略】の2つ目に【氷魔法】を選択した。
「
何の宣告もなしに放たれた
「なるほど。魔法も使えるのですね」
「貴方も使えるのでは?」
「残念ながら、魔法職の皆さんには劣る腕前なので、貴方には通用しないでしょう?」
「それはどうでしょうね?
次々と放たれる
「
短剣は受け止められ、逆に首を狙われたので後方倒立回転で距離を取る…が、すぐに【縮地】で距離を詰めてきた。
「
俺が言葉を紡ぐと同時に目を見開き、回避しようとする。
この一撃で仕留めるつもりで、短剣を喉元に向かって素早く突き出す。
「ゴフッ…」
短剣は喉元を貫通し、吐血するNo.2。
それでも、両手の短剣を交差させるように振るい、俺の首を狙ってくる。
咄嗟に短剣を手放し、後方に【跳躍】して回避する。
「死ね、
バリバリバリィィィ
本当に絶命したのか、【強欲】の通知が聞こえるまでは油断できない。
『【縮地】Lv.2にUPしました』
『【縮地】Lv.3にUPしました』
『【二刀流】Lv.2にUPしました』
『【二刀流】Lv.3にUPしました』
『【暗器術】Lv.5を獲得しました』
『【暗殺術】Lv.4を獲得しました』
『【捕縛術】Lv.4を獲得しました』
『【投擲術】Lv.4を獲得しました』
『【罠感知】Lv.4を獲得しました』
『【斬撃強化】Lv.5にUPしました』
『【打撃強化】Lv.4を獲得しました』
『【金剛】Lv.5にUPしました』
『【猛毒耐性】Lv.2を獲得しました』
『【麻痺耐性】Lv.2を獲得しました』
『【睡眠耐性】Lv.4を獲得しました』
『【空腹耐性】Lv.4を獲得しました』
『【革細工】Lv.2にUPしました』
『【銀細工】Lv.2にUPしました』
『【金細工】Lv.2にUPしました』
『【気配遮断】Lv.2にUPしました』
『【気配遮断】Lv.3にUPしました』
『【気配遮断】Lv.4にUPしました』
『【魔力遮断】Lv.2にUPしました』
『【魔力遮断】Lv.3にUPしました』
『【魔力遮断】Lv.4にUPしました』
『【暗視】Lv.5にUPしました』
『【無音歩法】Lv.2にUPしました』
『【無音歩法】Lv.3にUPしました』
『【無音歩法】Lv.4にUPしました』
『【遠視】Lv.5にUPしました』
『【勘定】Lv.4にUPしました』
『【記憶】Lv.4にUPしました』
『【詐術】Lv.4にUPしました』
『【窃盗】Lv.4にUPしました』
『【拷問術】Lv.4を獲得しました』
『【解錠】Lv.4を獲得しました』
『【変装】Lv.4を獲得しました』
『【罠解除】Lv.4を獲得しました』
『【奴隷隷属】Lv.3を獲得しました』
『【鑑定】Lv.4を獲得しました』
大量のスキルを獲得したことにより、No.2が絶命したことを確認した。
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