第97話 組織の組員を全員始末した
俺は今、暗闇に閉ざされ、重たい空気が漂うスラム街を、彼女の後ろをついて歩いていた。
このスラム街も〈ヴァルダナ〉のスラム街と同じ雰囲気で、気を抜き油断したそばから、命も含めた全てを奪われそうな危険な場所だ。
「着きました。ここが組織の拠点です」
彼女の案内で到着した場所には、冒険者ギルドに匹敵しそうな大きい建物があった。それに、廃屋が建ち並ぶスラム街には似つかわしくない綺麗な建物だ。
「この建物は改築されたものか?」
「私が組織に所属する時には既にこの建物がありました。おそらく改築されたものだと思います」
「そうか。今夜は組員が全員集まっているといいんだけどな。…あぁ、手っ取り早く確認する方法があったな」
「えっ?」
【探索】〈執拗な毒蛇〉に所属する組員
「反応が30人か…運がいいな。それと、一応カーティスもいるか確認するか」
【探索】カーティス
「…反応なし。ここにはいないのか、あるいは【隠蔽】のレベルが高いかのどちらかだな」
早速、俺達は扉を開けて中に入る。
室内にいる全員が組員である彼女に一瞬だけ視線を送ったがすぐに視線を外し、襲撃者である俺に注目する。
室内は左側にソファや丸テーブルが並び、ほとんどの奴はそこでジョッキを片手に、談笑していたみたいだ。
奥には2階へと続く階段があり、扉が2つ並んでいる。
右側にはカウンターと色々な酒瓶が並べられている棚があり、バーテンダーみたいな奴と2〜3人がカウンターに座っている。
あとは…真正面の奥にある扉が1つあるくらいだ。
「おいおい、カミラ。そいつは何者だ?」
1人の男がこちらに近づき、彼女に俺が何者かを尋ねる。
(この女はカミラって言うのか)
「そ、それは…」
「それとも新入りか? だったら、まずは俺達先輩に挨拶しないとな!」
俺の肩に腕を回し、酒臭い息を吐きながら、俺に絡む男。
俺は素早く短剣を抜き男の首を斬り落とす。
『【窃盗】Lv.2を獲得しました』
唖然として俺を見つめる奴等に挨拶する。
「ご挨拶が申し遅れました。私は犯罪組織〈執拗な毒蛇〉の皆さんを殺しにきた者です」
俺の言葉を聞き理解するのに時間がかかったようだが、状況を理解した奴等から武器を抜き始める。
「俺らにに喧嘩を売るとは馬鹿なやつだ」
「この人数相手に生きて帰れると思うなよ!」
「カミラ! お前もただじゃ済まねぇぞ! 組織を裏切ったんだからなぁ!」
大勢から放たれる殺気を無視し、もう一つの短剣を抜き、一気に駆け出す。
一番手前にいた男の喉元に短剣を突き刺すと、全員が怒声を上げて襲いかかってきた。
突き出された槍を半身になって躱し、手首を斬り落とす。振り下ろされた斧を短剣で受け流し、首を斬り落とす。
横薙ぎに振るわれた長剣を容易く受け止め、喉元に短剣を突き刺す。
『【盗聴】Lv.3にUPしました』
「お、俺の手首がぁあああ!」
「怯むなぁ! こっちは30人もいるんだぞ!」
「ぶっ殺せぇえええ!」
振り抜かれる武器を弾き、受け流し、反撃で首を斬り落とす。流石に人数が多いので、一度【跳躍】して距離を取ったりもする。
『【窃盗】Lv.3にUPしました』
「く、くそ! 早く始末しねぇと、こっちが殺られるぞ!」
「オラァ!」
「死ね!」
『【運搬】Lv.1を獲得しました』
「や、やめーーー」
今の男で殺した人数は12人。まだ半分以上はいるため、こいつらの士気も下がらず、殺気を剥き出しにして襲いかかってくる。
『【槍術】Lv.4にUPしました』
『【斧術】Lv.4にUPしました』
『【革細工】Lv.1を獲得しました』
『【銀細工】Lv.1を獲得しました』
『【金細工】Lv.1を獲得しました』
『【盗聴】Lv.4にUPしました』
(残り14人)
「も、もう無理だ! 俺は逃げーーー」
「俺はもう戦わなーーー」
「こ、降参ーーー」
『【疾走】Lv.5にUPしました』
『【絶技】Lv.5にUPしました』
『【酩酊耐性】Lv.2を獲得しました』
(残り10人)
「俺達はさっきまでの奴等とは違うぞ!」
「おい! こうなったら仕方がない。多少建物が壊れるが、魔法で攻撃するぞ!」
「死にやがれ!」
一斉に放たれる
あっという間に間合いを詰めると、対処が間に合っていない奴等から殺していく。
『【水魔法強化】Lv.3を獲得しました』
『【豪運】Lv.3にUPしました』
『【解体】Lv.5にUPしました』
『【逃走】Lv.5にUPしました』
『【舞踏】Lv.1を獲得しました』
『【歌唱】Lv.1を獲得しました』
(残り5人)
『Lv.41にUPしました』
『【詠唱省略】Lv.3にUPしました』
『【剣術】Lv.5にUPしました』
『【氷魔法強化】Lv.3を獲得しました』
『【豪運】Lv.4にUPしました』
『【酩酊耐性】Lv.3にUPしました』
『【勘定】Lv.2にUPしました』
『【記憶】Lv.2にUPしました』
「ほ、本当に全員を倒すなんて…」
後ろでカミラが驚いているが、今更この程度の奴等には苦戦しない。
それより、本番はここからだ。
2階の廊下から俺を見下ろす筋骨隆々の大男。
「あいつがここのボスか…」
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