第76話 剣士から上級魔法士へ転職

 早朝の激闘により成長したステータスの確認を終えると、職業一覧を表示する。


 以前、レベル10に到達しホブゴブリンに進化した時は【剣士】【闘士】【魔法士】の三つしか羅列されていなかった。


 しかし、今はレベル20に到達し魔物や人類種の所持スキルを強奪したことで、就ける職業が増えていた。


【職業一覧】

[一次職]

 ・【剣士】 ・【盾士】 ・【弓士】

 ・【槍士】 ・【斧士】 ・【闘士】

 ・【魔法士】etc


[二次職]

 ・【上級剣士】 ・【上級盾士】

 ・【上級弓士】 ・【上級槍士】

 ・【上級斧士】 ・【上級闘士】

 ・【上級魔法士】etc


 一体、何次職まであるのか気になるところ。【剣聖】や【賢者】など、有名で強力な職業は何次職で解放されるのか。


 とても気になるので、明日は本屋を探し職業について書かれている本を読んでみよう。


 (魔物討伐が終わったら、ブライアンさんに聞いてみるか)


 さて、現在俺が就ける職業を確認したところで、どの職業にするか考える。


 【剣士】を選択した時は長所を伸ばす方向で決めた。しかし、今回は短所を無くす方向で職業を選択しようと思う。


 俺はユニークスキル【強欲】で魔物や人類種の所持スキルを強奪できる。強奪した所持スキルによっては八つの能力値に偏りができてしまうので、職業選択やスキル選択で補強するべきだ。


 今の俺は知力値と精神値が低いので、選択する職業は一つに絞られる。


 俺は【上級魔法士】を選択した。


【上級魔法士】

 筋力値、頑丈値、敏捷値、器用値+20増加。知力値、精神値、幸運値+40増加。


 職業選択が終わったので、続いてスキル一覧を表示する。ただ、今回は既にスキルポイントの使い道を決めている。


 まずは最重要スキル【隠蔽】のレベルを上げる。【鑑定】や【心眼】で俺が魔物であり、ユニークスキルを所持していることがバレる危険性を減らすためだ。


 (どれくらいスキルポイントを消費するかな…)


 スキルポイントの振り直しができるか分からないので、慎重にスキルポイントを消費する。


 (5ポイント…10ポイント…15ポイント…20ポイント…)


 『【隠蔽】Lv.4にUPしました』


 これで俺の情報を視るには【鑑定】や【心眼】がレベル5以上必要になる。


 残りのスキルポイントは10ポイント。


 一つ目に選択するスキルは【二刀流】だ。装備を新調して短剣を二つ所持することになったので、短剣を二つ同時に扱えるようにこのスキル選択すると決めていた。


 『【二刀流】Lv.1を獲得しました』


【二刀流】Lv.1

 両手に同種または異種の武器を所持し戦闘をする際、攻撃動作や防御動作に補正がかかるスキル。器用値+10


 二つ目に選択するスキルは【雷魔法強化】だ。【雷魔法】より【土魔法】【風魔法】のほうがレベルは高いが、着弾が最も早く回避が困難な【雷魔法】を今後も使っていく予定なので、このスキルに決めた。


 『【雷魔法強化】Lv.1を獲得しました』


【雷魔法強化】Lv.1

 雷魔法による与ダメージが知力値×1.1倍になるスキル。知力値+10


 「アレン、そろそろ狩場に着くぞ。ステータスの確認は終わったか?」


 「はい」


 「それで、冒険者ギルドに運搬する魔物はどうする? 特に依頼は受けてないし俺は何でもいいが」


 「そうですね…オークとワイルド・ベアを運ぶことにします」


 「おう!」


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 狩場に到着し、最初は【探索】でワイルド・ベアを探す。


 【探索】ワイルド・ベア


 すると、有効範囲内に多数の反応を捉えた。


 「では、行きます! ブライアンさん、たくさんお金を稼ぎましょう!」


 「頼んだぜ、アレン!」


 「はい!」


 俺は一番近い場所にいるワイルド・ベアの元まで駆け出す。


 「グゥオオオ!」


 【異臭感知】で迫る俺の存在に気付き、敵意を剥き出しにして走り寄ってくる。


 振り下ろされる剛腕と鋭い爪を半身になって躱し、剛腕を足場にして頭部に近づき、短剣を振り下ろす。


 大剣のように頭部を斬り落とすことはできず、剣身が短いので二〜三割は繋がったままだ。


 しかし、大剣を使っていた時よりも斬れ味に鋭さが増したようで、【斬撃耐性】も意味がないように感じた。


 傷口から大量に出血し絶命しているワイルド・ベアを仰向けにする。そのまま短剣で解体し魔石を取り出す。


 「アレン、お前…さらに速く強くなったな…」


 「今の感じだと、Eランクの魔物は相手にならないです。同時に何十匹と相手にするなら戦いになると思いますが、一匹だけじゃ物足りないですね」


 「既に適性の狩場では無くなったか。アレン、この街に来て何日経った?」


 「三日目ですね」


 「たった三日でEランク狩場が物足りなくなったのか…恐ろしい成長速度だな」


 「ブモォオオオ!」


 ブライアンさんと会話の途中でオークが棍棒を振り上げてこちらに走り寄ってくるので、【縮地】で一気に距離を詰めて頭部を斬り落とした。


 「失礼しました」


 「あぁ、大丈夫だ。アレンはDランク狩場かDランクダンジョンに行くのをオススメするぜ。そのほうがさらに強くなれる」


 「Dランクダンジョン…詳しく教えてもらえますか?」


 

 


 

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