第64話 二箇所目(左方)も残り僅か

 「次に接敵するのは…左方か」


 【熱源感知】【異臭感知】【気配感知】【魔力感知】で魔物達の動向を確認すると、左方に聳え立つ土壁ランド・ウォールと魔物達の距離が十メートル程しかない。


 すぐに左方に移動し、土壁ランド・ウォールと迫り来る魔物達の間に立ち塞がる。


 先頭を走るのはワイルド・ベアとジャンプ・ディアだ。


 我先にと他の奴等を押し退けて、迫り来る魔物達。


 まずはこれ以上近づかせないために、【土魔法】を詠唱する。


 「土よ、敵を貫き、突き上げろ、土槍衾ランド・ランス


 突然、魔物達の前方に土槍衾ランド・ランスが形成され、ワイルド・ベア七匹とジャンプ・ディア三匹が足止めされた。


 土槍衾ランド・ランスを【跳躍】で飛び越えて来たのはジャンプ・ディア二匹。


 少し頭部を下げて剛角を前面に向けて、【突進】してくる。


 【縮地】で一気に距離を詰めて、一匹目のジャンプ・ディアの頭部に大剣を振り下ろす。


 すぐに二匹目のジャンプ・ディアを仕留めようとするが、右から剛角で身体を持ち上げられ、天高く投げ飛ばされた。


 空中で体勢を立て直し、二匹目のジャンプ・ディアに向けて【雷魔法】を詠唱する。


 「雷霆よ、敵を射抜く矢となれ、雷矢サンダー・アロウ


 バリバリバリィィィ


 雷矢サンダー・アロウは二匹目のジャンプ・ディアの頭部に直撃し、麻痺して行動不能になる。


 そのまま落下する勢いを利用し大剣を振り上げ、行動不能になっているジャンプ・ディアの頭部を斬り落とす。


 土槍衾ランド・ランスを【跳躍】で飛び越えた二匹のジャンプ・ディアを倒した後、足止めされている魔物達の元に向かった。


 土槍衾ランド・ランスを足場にして【跳躍】し、大剣を左手に持ち替えて、【土魔法】を詠唱する。


 「豊穣の根源たる土壌より形成されしは巨大な鉄槌、悉くを叩き潰しその生命を圧壊し、目撃者を震撼させろ、鉄槌圧壊ハンマー・クラッシュ


 魔力を消費して、俺の右手に巨大な鉄槌が形成される。


 大きさは縦幅三メートル、横幅三メートル。


 消費した魔力量は少なくないし、大剣を軽々と振り回す俺でも重いと感じる。


 その巨大な鉄槌を振り上げ、土槍衾ランド・ランスで足止めされている魔物達に向けて、落下の勢いを利用し振り下ろす。


 直後、山林に轟音が響き渡る。


 今の攻撃で仕留めきれたのはワイルド・ベア三匹とジャンプ・ディア二匹だ。


 『Lv.19にUPしました』


 『【異臭感知】Lv.5にUPしました』


 土槍衾ランド・ランスの上に着地し、数の多いワイルド・ベアから倒すことにする。


 一匹目のワイルド・ベアがその剛腕で俺を捕まえようとしてきたので、頭部を足場にして【跳躍】し、奥にいる中央のワイルド・ベアの頭部に大剣を振り下ろす。


 「「グゥオオオ!」」


 左右のワイルド・ベアがその剛腕と鋭い爪を振り下ろしてくる。


 咄嗟に後方に【跳躍】し距離を取ると、【縮地】で一気に距離を詰めて、左のワイルド・ベアの頭部を斬り落とす。


 『【斬撃耐性】Lv.4にUPしました』


 『【刺突耐性】Lv.4にUPしました』


 右のワイルド・ベアが振り下ろしてきた鋭い爪を大剣で弾き返し、大きく体勢が仰け反り、仰向けに倒れたところで首元に大剣を突き刺す。


 『【突進】Lv.5にUPしました』


 さらに奥からオーク達が迫っているのを確認すると、後方に振り返り駆け出す。


 一匹目のワイルド・ベアとジャンプ・ディアが【突進】してくるので、ワイルド・ベアの頭部に大剣を振り下ろし、ジャンプ・ディアの顔面に向けて、大剣を横薙ぎに振るった。


 「はぁ…はぁ…これだけの数を相手にすると、流石に疲れてきたな」


 堪らず弱音を吐いてしまったが、戦意は一切衰えていない。


 寧ろ、レベルの上昇とスキルレベルの上昇により、戦意は高まる一方だ。


 この戦いを終えた時、俺は一体どれだけ強くなっているのだろうか。


 「まだまだ…もっとだ!」


 俺はこちらに迫り来るオーク達の元へ駆け出した。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 【縮地】で一気に距離を詰めて、一匹目のオークの身体を真っ二つに両断する。


 二匹目のオークが巨大な拳を振り抜いてきたので、大剣の剣身で防御し、巨大な拳を足場にして【跳躍】し、剛腕を振り上げる三匹目のオークの首を斬り落とす。


 四匹目と五匹目のオークが同時に巨大な拳を振り抜いて来たので、【跳躍】して躱し、六匹目と七匹目のオークの元へ駆け出す。


 六匹目のオークが振り抜いた巨大な拳を半身になって躱し、その巨大な拳を斬り落とす。


 「ブモォオオオ!」


 大量に出血する腕を押さえながら蹲る六匹目のオーク。それを無視して、七匹目のオークが振り抜いた巨大な拳を足場にして駆け上がり、首を斬り落とす。


 『Lv.20にUPしました』


 出血箇所を押さえながら激痛に悶える六匹目のオークにとどめを刺し、こちらに迫り来る四匹目と五匹目、二匹目のオークに注意を向ける。


 「水よ、敵を両断する鎌となれ、水鎌ウォーター・スラッシュ


 【水魔法】を二回詠唱し、水鎌ウォーター・スラッシュが四匹目と五匹目のオークを斬り刻み、傷口を押さえながら蹲る二匹目のオーク。


 その隙に【縮地】で一気に距離を詰めて、四匹目のオークの首を斬り落とす。


 五匹目のオークが傷口を押さえながら剛腕を横薙ぎに振るってくるので【跳躍】して躱し、頭頂部に左手をついて反動を利用し、空中で体勢を立て直しながら、二匹目のオークの頭頂部に大剣を振り下ろす。


 「ブモォオオオ!」


 五匹目のオークが傷口から血を垂れ流し雄叫びを上げながら走り寄ってくるので、すれ違い様に首を斬り落とした。


 「あとは…ゴブリン・ファイターとゴブリン・マジシャンを倒せば、残りは一箇所だけだ」


 俺は大きく深呼吸をする。


 「行くぞ!」


 大剣を力強く握り直し、ゴブリン・ファイターとゴブリン・マジシャンに向けて、駆け出した。


 


 


 


 



 


 

 

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