第36話新商品鴨だしうどん?!
うどん屋は、パン屋の隣にあり、小さな看板とのれんが出ている。
鴨だしうどん始めました?
「いらっしゃい!!あれっ今日家族旅行だったのに、うちでご飯食べるのか?」
「ここのうどんが食べたくてしょうがないからな。」
「いいこと言ってくれるぜ!!旅行に行っても、この店で食べたくなるってそれほど、この店の味が上手いってことだろ。街に店出したら、行列が耐えない店になりそうだな!!まぁ、そこまで混んだら、楽しめなくなるからやらないけどな。」
うどん屋の店主ミヤさんは笑いながら、席に案内してくれる。
ミヤさんは、うどん屋の長男でお父さんの後を継いだらしい。うどん屋をする前は、里外のうどん屋のはじこをして、日々どんなうどんを里に持ち帰るか考えていた。そのおかげもあって、今まで無かったメニューが増えたりして、今まで以上に人気になったのだ。
私たちが案内されたのは4人座れるテーブル席。
私の隣にはサリアが座り、対面にはお父さんが座った。
私たちが座り終わると、ミヤさんがお水を運んでくれた。
「こないだ新作出したんだよ。これこれ。良かったら食べて行って。」
ミヤさんはメニューの表紙を指で指してくれた。
そこに鴨だしうどん!!という文字と共に美味しそうな写真が載っている。
鴨だしうどんか……。食べたことないな。
鴨だし蕎麦が好きでよく食べていたけれど、それのうどんか……。油が乗ってるスープに、うどんが絡み合って……。
想像しただけで、ヨダレが垂れてきた。
「お姉ちゃん一緒に選ぼう。」
「お姉ちゃんもう決まっちゃった。」
「はや!!何にするの?何にするの?」
「鴨だしうどんだよ。」
「新商品!!一口ちょうだい。私のも一口あげるから」
「はーい。」
サリアは笑顔で自分のうどんを選んでいく。
途中、「お姉ちゃん。これどうかな?」とか、「こっちも美味しそうだね!!」と、言ってくれるのでついつい、そっちを食べたくなってしまってしょうがない。
ここのうどん屋は、一つ一つ写真付きでメニューをつくっているから、お腹がすいてる時に見ると迷ってしまう。
これだ!!と決めた所で、やっぱりこっちにしようかな?と迷わしてくるのだ……。
「私決めた!!今日はざるうどん天ぷらセットにする!!しかも、今日の天ぷらはえび天とイカ天だって!!えび天だよ。えび天!!あまり食べられないから楽しみだよ!!」
「えび天!!」
「お姉ちゃんにもあげるから楽しみにしててね!!」
「ありがとう!!」
今日は、初めての鴨だしうどんが食べられるだけでなく、えび天まで食べられるとは……。
嬉しすぎる!!
この店の天ぷらセットは日によって内容が変わってくるのだ。別紙の紙にて、写真と共に天ぷらの内容を教えてくれるシステムとなっている。
数ある天ぷらセットの中でも、えび天は激レアで、1ヶ月に1回あればいい方。
何故えび天がそこまで出ないかと言うと、すばしっこくて取りにくい+処理がめんどくさいらしい……。
パン屋もそうだったが、何故人気メニューは店主がめんどくさいメニューなのか……。
単品で、えび天注文しようかな?
「メニュー決まったか?」
「「決まったよ!!」」
「ミヤお願い!!」
「今行くから待ってて!!」
その後、ミヤさんに注文してうどんを待つことに。
私は結局単品でえび天を注文した。
楽しみすぎてヤバい!!お腹も減ってきたし、早く来ないかな。
私はサリアと今日あったことを話していたら、うどんがやってきた。
「お待たせ!!こっちが、温の山芋うどんえび天トッピング。こっちが、温の山菜うどんえび天トッピング。それと、ざるうどん天ぷらセットに、鴨だしうどんえび天トッピングね。新作食べてくれるとは嬉しいね。味の感想待ってるからね!!」
運ばれていた蕎麦は、注文した方の前に置いてミヤさんは厨房に帰っていった。
これが、鴨だしうどんか。
いいお出汁の匂いが、鼻から体全身に回ってくる。
今まで食べてきたどの鴨だし蕎麦の匂いより、美味しそう。
私は箸でうどんを挟み口の中に入れていく。
やっぱり美味い!!
うどんをすすると香りが鼻から抜け、口ではうどんの味とこしを楽しむ。うどんを飲み込んだ時の、のどごしが良い。
そして、鴨肉を1口サイズに切って食べてみる。しっかり煮込んであって、味がしっかりしみてて、口で噛まなくてもとろけそうな感じ。
私は、鴨肉が口の中から無くなる前にうどんをすすると、鴨の脂が乗っているうどんと鴨肉が口の中で混ざりあって最高の味わい。
このうどん屋に、何度か行ったことがあるが、その中でもいちばん美味しいのでは!!
次にえび天を食べてみる。
サクッという衣と、中のプリっと感。最高の感触。エビの味が、衣に包まれてより美味しい。
私はつかさずうどんをすする。
うどん本来の味わいと鴨肉の油、えび天の相性が抜群!!
「美味しい!!」
「お姉ちゃんほんとおいしそうに食べるね。私のざる蕎麦も美味しいから、交換こ」
「はーい!!」
そして、次にやってきたのはざるうどん。体が温まってるところに天つゆにつけたざるうどんを口に入れていく。
んん。美味しい!!
うどん本来の味わいと特製の麺つゆ。やっぱりこの店のうどんは最高すぎる。
この店では麺つゆを販売しているが、何故かお店の味と少し違う。家とは違う味わいを味わえるからこそ、お店でもざるうどんが人気なのだ。
えび天も麺つゆ煮付けて食べるが、さっき食べたのとまた違う美味しさ。もう美味しすぎて最高しか出てこなくなってきたが、こればっかりはしょうがない。
本当に美味しいものを食べたら、最高ばっかり言ってしまうのだから。
「美味しいね。」
「ね!!初めて鴨だしうどん食べたけど、こんなに美味しいって思わなかったよ!!次回来た時は鴨だしうどんにするんだ!!」
「じゃあ、半分こにする?」
「する!!」
私はサリアと半分こずっとうどんを食べた。
もしも街にうどん屋ができてもここまで美味しいうどん屋では無いと思う。エルフの里に住んでいるものしか食べられない最高のうどんを食べて、心の中からエルフで良かった!!と思った。
「「ご馳走様!!」」
みんなが食べ終わって、レジに向かうとミヤさんは感想をきいてきた。
「鴨肉のお出汁にうどんが絡まってすごく美味しかったです!!」
「そうか!!喜んでくれて嬉しいよ!!まだ、鴨だしうどん食べれてなかったから、結構不安だったんだよ。ありがとな。鴨だしうどんは、ただでいいからな。」
「え?」
「初めての感想が、こんなに最高だったんだ。これでお金を取るってなったら、俺が俺を許せねぇ。」
「ありがとうございます!!」
「こっちこそ、ありがとな。」
「ありがとう。ミヤ。」
「礼ならアリアに言ってくれ。」
「「ご馳走様でした!!」」
私たちはうどん屋を出た。
外はもう夜になっていて少し肌寒い。ちょうど暖かいうどんを食べたので、体がポカポカしているので、この状態のまま家に着きたい。
結局私たちが、家に着くまで、ポカポカした状態で帰れた。
これからお風呂に入って、もっとポカポカになって、寝る予定だが、お腹いっぱいで、お風呂に入ると眠くなるんだよな。
寝ないように気をつけないと。
「先にお風呂入っていい?」
「入ってきな。疲れてると思うから、ゆっくり入ってきな。」
「待って!!お姉ちゃん一緒に入ろう!!今おなかいっぱいだから、一人で入ったら寝ちゃいそうで……。」
「分かった。一緒に入ろっか」
「やった!!」
私たちは自室に戻り着替えを取って脱衣所で集合するのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回はうどん回です!!せっかく街に行ったのなら街で食べればいいところ里に戻って食べるという少し変わった内容になってます!!
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
いつまでかは未定です!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます