第35話 街の観光スポット
私たちは、噴水に向かって歩いている。
歩いている内に、サリアの顔色は段々と元に戻ってきたので、安心して噴水を眺められる。もしも真っ赤になってるままだったら、楽しい観光が台無しになってしまうからね。
私たちが行く噴水は、この街で一番の観光名所らしいので、どれぐらい大きいのか?どれぐらい高くまで水が上げられるのかが非常に楽しみ。
「お姉ちゃん。噴水ってなんだろうね? この街で一番の観光名所ってことですごい楽しみなんだ!!」
「そうなんだ!!私は噴水を知っているけど、どんなものかは、着いてからのお楽しみにってことで、どんなものかは言わないからね」
「え!!お姉ちゃん知ってるの!!一緒に初めての噴水デビューしたかったのに!!」
サリアは、少し残念そうに言った。
でもしょうがないじゃん!!
疑似体験時に、近場の公園に噴水があったんだから!!
その公園の噴水は子供たちが遊べるような噴水だった為、鑑賞してすごい!!とはならなかったものの、慣れてしまった為、大きな噴水を見ても何も思わなかったのだ……。
やっちまったぜ!!
「それにしても、まだ噴水があったのね。私が冒険者になる前からあったらしいから、ほんと何百年になるのかしら?」
「お母さんが冒険者やってた頃ってそんなに前なの?」
「……。そんなことないわよ!!お母さんまだまだ若いから」
「……。」
お母さんは、まだまだ若くいたいらしいが、エルフ換算するとまだ若いだろう。
お母さんの場合は、他種族とも冒険者時代にかかわり合いがあった為、自分が年老いていると思ってしまうのだろう。
お母さんは、口に手を当てて「おほほ!!」と誤魔化しているが、なんとも言えない気持ちになる。そもそも、疑似体験時の漫画とかしかそんな「おほほ」とか見たこと無かったし、もしもそれをやっても痛々しく感じてしまうからだ。
だが、見た目が美しい上に、声に上品さがあると何故か痛々しく感じない……。
何故だろうか?
私は、疑問に思いながら歩いていると、いつの間にか噴水がある街の中央に着いていた。
「もしかして、あれが噴水かな?なにか水がすごい出てるけど……。水遊びできそうだね。」
「多分あれは、観賞用だと思うよ。街の中心にあることから集合場所などにもされてるんじゃない?」
「確かに!!あれなら分かりやすいもんね!!それにしても、なんでずっと水が流れているのかな?」
サリアの疑問は最もだ。
噴水を何度も見たことがある私でさえその答えは分からない。疑似体験時のスマートフォンで調べれば1発だが、ここには存在しない……。
そもそも、存在していれば、サリアの写真を撮りまくって容量がいっぱいになってしまうだろう。
私がそんなことを考えていると
「あれはね、水の魔石を使っているのよ。それを交換しているから永久的に水が出ているらしいわ。水が溢れないのは、出てきた水は下水を通って各家庭に流れているらしいわ。」
「お母さんすごい!!家に流れるから誰も遊ばないんだね。流れなかったら、遊びたくなっちゃうよ!!」
「今度、川遊びした時に、似たようなものを作ってあげるからそれで我慢してね」
「わーい!!」
サリアは「お母さん大好き!!」と言いながら、お母さんを抱きしめた。
私も早く魔法の練習をして、「お姉ちゃん大好き!!」ってもっと言われたいなぁ〜。
私たちが噴水を眺めていると突然真ん中から出ている水の勢いが強くなって、先程よりも高い位置まで水が上がっている。
「見て見て!!急にすごい出てきたよ!!あそこまで高く水が出てるなんてほんとにびっくりしちゃうね!!」
「あれはね。一日に一回しかないのよ。それもいつ高く上がるかも分からないから、見れたらその日はラッキー!!という言い伝えがあるのよ」
「ほんと!!今日は、街に行けてラッキーだったのに、もっとらっきーになっちゃったよ。一生忘れない!!」
サリアの目はキラキラと輝いている。私は、噴水を見慣れていたが、家族で見る噴水はいつも見ているのとひと味違って見えた。
家族で一緒にいるって幸せだな。
私は改めてそう思うのであった。
「夕食でも食べに行くか?」
「私、うどん食べたい!!」
「いいわね。街のうどんは里とどれぐらい違うか楽しみだわ。」
「ね。」
私たちが盛り上がっていると、お父さんは少し悲しい顔をしている……。
もしかして、うどん屋がないとか……。
「それなんだけど、この街はうどん屋がないんだよ。この前、ギルドで聞いたばっかりだから、新しい店舗もできてないと思うけど」
「「……」」
やはり、街にうどん屋はなかった。
完全にうどんの口になってしまった為、このまま里に帰って、うどん食べたいレベル。
うどんよ。何故この街で売ってないのよ!!
私がそんなことを思っていると、お母さんがある提案をしてくれる。
「もし良ければなんだけど、里に戻ってうどん食べない?もううどんの口になっちゃって」
「「賛成!!」」
私たちが賛成するとお父さんは少し残念そうな顔をしていた。それに比べて私たちは大喜び。お腹も空いているので早く里に戻ってうどんを食べたい。
「本当に、里のうどんでいいのか?街では街でしか食べられないものがあるが……。」
「「うどんがいい!!」」
「分かった……。うどん食べに行くか!!」
多分お父さんはせっかくの旅行だから、ここでしか食べられないものが食べたかったのだろう。
疑似体験時では、その土地で有名なものを食べたりしていたが、今はそれ以上にうどんがたべたいきぶん。ここまでうどんが食べたくなったのは、うどんを食べに香川県に行った以来だろう。
「それじゃあ。里に帰るか。」
「「はーい!!」」
私たちは街の外の森に戻り、魔法で自宅に帰宅した。
「「ただいま!!」」
先程と同様に玄関に転移したのだが、これがなんとも言えない。やっぱり、外に出てから転移した方が、気分というか。なんというか……。
次回街に行く時は、エルフの森から転移してもらおう。
私たちは、洗面所に行って手洗いうがいをして、リビングにある椅子に座り、荷物は足元に置いた。
「今日は楽しかったね!!」
「ね!!それにしても、お姉ちゃんが買ってもらった本が気になるな。そのレシピで、今までに食べたことがない美味しい料理が食べられるようになるんでしょ!!今から、ヨダレが垂れちゃうよ!!」
「そうだな。今まで作ってくれた料理でさえ、今までに無い間隔、そして、味合わなければ損をすると感じてしまうほどの美味さ。これをもっと味わえるとなると楽しみでしょうがない。早くアリアの手料理が食べたいな」
お父さんの声色が今日一番に良かった。
それだけ、料理に期待がかかっているが、ここで、悲しいお知らせがあります……。
そう、私が苦手な食べ物は一切作らないってこと。
多分この本を読めるのは、私と紗夜ちゃんだけなので、内緒にできるはず。
まぁ、私が嫌いなものは、たぶん家族も嫌いだから大丈夫だよね!!
私は無理やり結論を出して、苦手なものは作らないことに決定した。
そんな時、私のお腹が「ぐぅ〜」となった。
「お腹すいてきたし、うどん食べに行こうか。」
「ちょっと待って。お風呂だけ沸かしちゃっていい?帰ってきたら、お風呂入ってそのまま寝ちゃうと思うから。」
「わかったわ。よろしくね」
「「よろしく!!」」
私はお風呂を沸かすために、風呂場にある魔石に魔力を注ぐ。すると、湯口からお湯が流れてきた。
一応温度確認のために、手でお湯を触るがちょうどいい温度。もう、このままお風呂に入ってゆっくりしてしまいたい。
そんなことを考えていると、お腹が「ぐぅ〜。」となったので、急いでリビングに戻った。
「それじゃあ。うどん屋に行くよ!!」
「「はーい!!」」
私たちは玄関を出てうどん屋に向かった。
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最近食べたネバネバうどんが美味しくて、うどん屋に行くこと決定しました。とろろとオクラが入っているのですけど、冷たいおうどんを食べたのですけど、マジで美味い!!オススメです!!ぜひ食べてみてください!!
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
いつまでかは未定です!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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